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第4回 バンド編 MÖTLEY CRÜE
――清くなく正しくない、正しきハードロッカー
2010 / 07 / 27
ikkieの音楽総研、今回ご紹介するバンドは、50を過ぎてもバッド・ボーイズ、「MÖTLEY CRÜE」でございます!
前回ご紹介した「VAN HALEN」との出会いにより、すっかりハード・ロックに魅せられてしまった少年ikkie。中学校に入学したころには、勉強そっちのけでハード・ロック/ヘヴィ・メタル(以下HR/HM)を聴きあさる日々を送っておりました。
ちょうどそのころ、ロックの世界では「LAメタル」というHR/HMの一大ムーブメントが起こっていて、俺も夢中になっていたのですが、その中でも特に好きだったのが、今回ご紹介する「MÖTLEY CRÜE」です。
「MÖTLEY CRÜE」の存在を知ったころの俺は、耳も少しずつ肥えてきていて、ギターが上手いバンドを好んで聴くようになっていたんだけど、「MÖTLEY CRÜE」は、ギターがどう、歌がどう、とかそういうことを一切気にさせないバンドでした。ロックの初期衝動を感じさせる勢い重視のサウンド、“Do Or Die”な刹那的で退廃的なイメージ、バンド全体から発散される怒りのオーラ……。それはそれは毒々しくて禍々しくて、「これこそ俺が求めていた『ロック』そのものだ!」と、少年ikkieはあっという間に夢中になっていました。「MÖTLEY CRÜE」からは自分と同じような社会への反抗心や、隠しきれない繊細さを感じたし、どうにも馴染めない学校生活や、いろんなことに不安と不満が募っていた俺は、彼らに共感せずにはいられなかったのです。
またね、メンバーそれぞれが個性的でカッコ良かった。
当時の雑誌には彼らのツアー中や私生活のとんでもない乱痴気騒ぎの様子が毎月載っていて、そりゃあもう、セックス・ドラッグ・ロックンロールを地で行く凄い内容なわけですよ。ドラッグ、アルコール、ケンカがらみで警察沙汰はざらだし、グルーピーたちとのここには書けないあぶない話もいっぱい。そして極めつけはベーシストのニッキー・シックスがドラッグの過剰摂取で医学的には二度死んだ……。007か。
……正直言ってちょっと引くぐらいの内容だったりもするんだけど、少年時代の俺は、そういう記事を読んでは「ロックンローラーってやっぱりこうなんだ!」って、物凄く興奮したものでした。いや、ドラッグや暴力を礼賛するつもりはまったくありません。彼らの音楽はとても素晴らしいし、スキャンダラスな部分ばかりをクローズアップしたくない。でもね、そういう部分もまた「MÖTLEY CRÜE」の危うい魅力を引き出している……と、言えなくもないんだなあ。彼らがもしも品行方正だったとしたら、あそこまで凄いバンドにはならなかっただろうし(ちなみに、現在は酒もドラッグもやらないそうですよ)。
で、俺自身はといえば、やんちゃな時期も多少はあったものの、ドラッグなんて両親が近所の人に後ろ指さされてしまうとか、殴るのも殴られるのもイヤだ……と、生来の育ちの良さ(笑)がにじみ出てしまうので、悪ぶってみても、どうしたって彼らのようなバッド・ボーイズの雰囲気は醸し出せませんでした。だからなおのこと、憧れてしまうのかも。ライヴで観たニッキーは悪そうで、クールで、本当にカッコ良かった。その存在自体がもう、ロックそのもの!
さて、最後に紹介するのは彼らの名バラード『Home Sweet Home』です。「MÖTLEY CRÜE」はやっぱりHR/HMバンドってことで、激しい曲を紹介してもいいんですが、まずはこのバラードから。扉(←第1回目参照)ってことで入りやすいのはやっぱりこの曲かな、と。そして、ぜひ歌詞もじっくり聴いてください。バンドのソングライター、俺の永遠のヒーロー、ニッキー・シックスは稀代のパンクスでありロックスター、そして名作詞家でもあるのです。
「俺の心は世界中が読める開かれた本のよう……」(和訳)と、ロックスターの心情を綴ったこの曲は、ほんとに名曲です。
うーん、この曲を聴いてたら、繊細だったころの自分を思い出してなんだか切なくなってきたぞ。
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