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第155回 洋楽編 COVERDALE・PAGE ----賛否両論だった世紀の合流
2016 / 05 / 10
先日、またしてもショックなニュースを耳にしました。なんと、WHITESNAKEのデイヴィッド・カヴァデールが引退を表明したとのこと。ニュースの出どころは海外のサイト で、日本の音楽サイトでは見かけないし、WHITESNAKEの公式サイト でも特に触れられていないから、いまひとつ信憑性に欠けるんだけど、デイヴィッドは2017年に引退することを考えているらしい。ただ、記事をよく読むと、引退を考えてはいたけどまだやるよ、と言っているようにも読める。俺の英語力では細かいニュアンスまでは理解出来ないんだけど、いわゆる“釣り記事“のような気がします。英語が堪能な方、どなたか訳していただけませんかね。去年のライヴは本当に凄かったし、まだまだ続けてほしいなあ。さて、今回はそのデイヴィッドと、LED ZEPPELINのジミー・ペイジがユニット組んだCOVERDALE・PAGE をご紹介! この2人の合流には、賛否両論ありました。
COVERDALE・PAGEは前述の通り、元DEEP PURPLEでWHITESNAKEのシンガー、デイヴィッド・カヴァデールと、LED ZEPPELINのギタリストだったジミー・ペイジが結成したユニット。93年に発表されたアルバムと、たった一度きりの日本ツアーを行ったのみで消滅しています。2人が一緒にやると初めて聞いたときは驚いたなあ。DEEP PURPLEとLED ZEPPELINの元メンバーが一緒にやるということもだけど、一時期のWHITESNAKEはかなりLED ZEPPELIN的なサウンドを取り入れていて、ジミー本人からも批判されていたからね。
当時のジミーはLED ZEPPELINの再結成を目論んでいたものの、シンガーだったロバート・プラントに拒否されて実現していなかったらしい。それでロバートっぽくなってきていた(?)デイヴィッドに目を付けた……というわけではないだろうけど、ロバートの代わりを務められるほどの実力や音楽性を持っているだけではなく、ミュージシャンとしての存在感や格も考えると、デイヴィッドしかいなかったのでは。そして、ジミーが本格的に動き出すとなると、「すわ、LED ZEPPELIN再結成か?!」となるのは当然のことで、実際、デイヴィッドがLED ZEPPELINに加入するといった噂が流れていたのを記憶している。まあ、WHITESNAKEにジミーが加入、よりは可能性がありそうな気がするよね。あのジミー・ペイジが誰かのバンドに入る、なんてことは考えられないもの。一方のデイヴィッドはCOVERDALE・PAGE以前からジミーに対するリスペクトを表明していたし、この当時のWHITESNAKEは解散状態だったから、このオファーは願ってもないチャンスだったんじゃないか(2人の合流はロックシーンでは伝説的な存在のA&R(※注)、ジョン・カロドナーのアイディアだった)。
『Pride and Joy』
ツェッペリン的な楽曲の上にデイヴィッド・カヴァデールらしいメロディが乗るという
不思議な感覚に興奮しました。
もう1枚ぐらいアルバム作ってほしかったなあ。
そして発表されたアルバムは、2人の音楽性がミックスされた期待通りの素晴らしい作品だった……と言いたいところだけど、期待が大き過ぎたせいか、心から満足出来るものではなかった。もちろん、その辺のアーティストに比べればとんでもなく完成度の高い作品だったよ。LED ZEPPELINの解散以降、初めてジミーがLED ZEPPELIN的なアプローチを行って、全盛期を彷彿とさせるギターを弾いているのも嬉しい限り。ただ、ジミーよりもデイヴィッドのファンだった俺には、無理やり喉をつぶしたような声で歌ったり、やたらとハイトーンのシャウトを連発したりするデイヴィッドに違和感を覚えてしまった。楽曲にしてもWHITESNAKEを超えているとは思えないし、LED ZEPPELINだってもちろん超えていない。武道館で観た来日公演も、初めて生で観るジミー・ペイジに興奮はしたけど、『Still of the Night』 を弾くジミーを観るのはなんだか悪い冗談みたいだったし、嬉々としてLED ZEPPELINの楽曲を歌うデイヴィッドは痛々しかった……。それでも、感動する瞬間もたくさんあって、良くも悪くもすごく印象に残っているんだけどね。COVERDALE・PAGEのライヴが行われたのは、日本での数回だけだったことを思えば、2人の共演を生で観られたのは本当にラッキーだったんだなあ。
『Take Me for a Little While』
ジミー・ペイジのアルペジオや泣きのソロがたまらない……んだけど、
ライヴではジミーが音色を切り替える「ボツッ」っていう音が
無音のパートで鳴って苦笑いでした。
今回の原稿を書くにあたって久しぶりにアルバムを聴いてみたけど、やっぱり2人の相性はそんなに良くないと思う(笑)。それでも、何故だか後を引く作品だ。COVERDALE・PAGEの再結成は絶対ないだろう……とは思いつつも、アクセル・ローズがAC/DCで歌ったり、RAINBOWが再結成されたりと、信じられないようなことが次々と起こるような時代なんだから、可能性はあるかもしれないよね。封印してしまうにはもったいない曲がたくさんある。ライヴだけでもやってくれないかなあ。
※注 A&R:アーティスト&レパートリーの略で、アーティストの発掘や契約を担当するレコード会社の職務のこと。ジョン・カロドナーは当時ゲフィン・レコードに在籍、数々の名作に携わっていた。
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