トップページ > エンタメ > ikkieの音楽総研
ikkieの音楽総研
第182回 洋楽編 STEVE VAI ―― 天才、奇才、異才にして、革新者......、宇宙人の異名を持つスーパーギタリスト、スティーヴ・ヴァイ!
2017 / 04 / 25
東京ではようやく暖かい日が続くようになり、ずいぶんと過ごしやすくなってきました。でも、すぐに梅雨になって蒸し暑くなるんだろうなあ。やだやだ。さて、今回は前回ご紹介したGeneration Axe主宰のスティーヴ・ヴァイ をご紹介! ロックシーンに身を置きつつも、いわゆるロックギタリストとは一線を画し、トリッキー&エキセントリックなスタイルで宇宙人とも称される、異色かつ天才肌のギタリストです。
スティーヴ・ヴァイはニューヨーク、ロングアイランド出身のギタリスト。60年生まれとのことだから、今年で57歳か。10代の頃にジョー・サトリアーニ からギターレッスンを受け、さらにバークリー音楽大学で学んだ後に、フランク・ザッパ のバンドに加入(その加入の経緯も、フランク・ザッパの曲を自分で採譜して送ってみたところ、まずは採譜者として雇われ、その翌年にはギタリストとして採用されたというから、キャリアのスタートからして普通じゃない)。それ以降は元RAINBOWのグラハム・ボネットが率いるALCATRAZZ や、デイヴィッド・リー・ロス(以下デイヴ)、WHITESNAKEなど数々の一流アーティスト達と共演し、現在はソロアーティストとして活動しています。
俺がスティーヴのことを知ったのは85年ぐらいだったかなあ。一時期のスティーヴィー・ワンダー のように髪を細かく編み込んだスティーヴを雑誌で見て、なんだか変な人だと思ったのをよく覚えています。その頃のロックミュージシャンにそんな髪型の人はいなかったし、ギターの色も蛍光グリーンや目にも鮮やかなイエローだったり、目玉のイラストが書いてあったりと、まあ、普通じゃない匂いがプンプンしていたんだよね。それがちょうどALCATRAZZの頃だったかな。プレイを聴いたのも同じ頃だったけど、聴いた曲が当時の俺の好みではなかったから、アルバムを手に入れたりはせず。スティーヴ・ヴァイのことを強烈に意識したのは、VAN HALENを脱退したデイヴのバンドに参加してからでした。いやもう、これが凄いのなんのって。
『So Happy』
曲(?)の途中から延々と女の子のお喋りとスティーヴのギターがユニゾン。
……常人の発想にはないよね、こんなの。
この曲が収録されているのは84年発売のファーストソロアルバム。名盤です。
アルバム『Eat 'em and Smile 』のオープニングを飾る『Yankee Rose』で、スティーヴはなんとギターでデイヴと会話。これは比喩ではなくて、本当に喋っている(ように聴こえる)んだよね。他の曲では後にMR.BIGを結成するビリー・シーン(B)と超絶ユニゾンプレイを披露するわ、ジャズっぽいプレイも楽々弾きこなすわで、なんて上手い人なんだろうと驚いたよ。フランク・ザッパのバンドにいたと知って、なるほど、それでこの幅広さかと納得したんだけど、当時の俺はザッパを聴いたことがなかったという。ははは。そして、ALCATRAZZ時代からイメージチェンジをしたスティーヴは、華やかでカッコ良くなってもいてね。デイヴ、ビリーという派手な2人にも負けていなかったし、3人が並んだ姿はとてつもなくゴージャスで、スウェットを着てステージに上がってしまうVAN HALENよりも、俺は断然こちらを支持! 本当にカッコ良かった。
『Yankee Rose』
スティーヴのギターは泣かないけど、笑うし喋るぞ、と大騒ぎになりました。
しかし、相性が良かったはずのデイヴとのコラボレーションは2枚のアルバムのみで終了し、スティーヴは当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったWHITESNAKEに電撃加入。これには腰が抜けるほど驚いた。ブルーズ嫌いを公言していたスティーヴが、ブルーズベースのハードロックバンドだったWHITESNAKEに合うはずがないもの。案の定、発表されたアルバム は、完成度は高いものの、全くWHITESNAKEらしくない作品で、両者の相性もお世辞にも良いとは言えず……。俺にはお互いの魅力を消しあっているようにしか聴こえませんでした。個人的には、WHITESNAKEのアルバムの中で唯一嫌いな作品です。ライヴも観に行ったけど、スティーヴの弾くブルーズは、ただブルージーなラインをなぞっているようにしか聴こえなくてね。何でも弾けるスティーヴにも苦手なことがあるんだな、と思ったっけ。デイヴとならそういうプレイもばっちり決まりそうな気がするのに。マイナーキーのブルーズがダメなのかな。
『The Audience is Listening』
この曲大好き。ここでもまたギターで喋っています。
それでも同時期に発表されたソロアルバム は、難解さもありながらも、メロディアスでキャッチー、というスティーヴの魅力が満載の素晴らしい作品で、発売から30年近く経った今でもよく聴きます。ただ、WHITESNAKEショックは俺の中で長らく尾を引いたままで、苦手意識が出来てしまい、ずっと気になる存在ではあり続けていたのに、新作を聴くことはほぼ無くなってしまいました。しかし、先日のライヴを観て反省! バンドの演奏を完璧にコントロールしつつ、観客をエンターテインするその姿は、まるでオーケストラの指揮者のようだったし、スティーヴはやっぱり素晴らしい音楽家であり、芸術家だということを再確認したよ。あの日のライヴ以降、ずっとスティーヴの作品を聴いています。しばらくはスティーヴ漬けになりそう!
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/
Tweet |