ikkieの音楽総研

第185回 洋楽編 THE ALLMAN BROTHERS BAND ―― 追悼グレッグ・オールマン 数々の名盤を残したサザンロックの雄!

2017 / 06 / 06

SOUNDGARDEN のシンガーだったクリス・コーネルが亡くなり、死因が自殺だったことを知ってショックを受けていたところに、今度はTHE ALLMAN BROTHERS BAND のシンガー兼オルガンプレイヤーのグレッグ・オールマン の訃報が飛び込んできました。一昨年辺りから始まったこの悲しい連鎖は、いったいいつまで続くんでしょうか。どちらも本当に素晴らしいミュージシャンでした。残念です……。さて、今回はそのグレッグ・オールマンのバンド、THE ALLMAN BROTHERS BANDをご紹介!

allmans170606.jpg THE ALLMAN BROTHERS BAND(以下オールマンズ)は、グレッグの兄で、DEREK AND THE DOMINOSでも存在感たっぷりのギターを弾いていたデュアン・オールマン(最近はデュエインと表記されることも)が中心になって69年に結成されたサザンロックバンドです。グレッグが長期静養中だったこともあってかここ数年は表立った活動はしていなかったようだけど、24歳という若さで亡くなったデュアンをはじめとする度重なるメンバーの死やメンバーチェンジ、2回にわたる解散を乗り越えてバンドは活動を続けてきました。

サザンロックとはなんぞや? という疑問を持たれる方もいるかと思うので、一応説明しておくと、サザンロックとはアメリカの南部(ジョージア、フロリダ、テキサスなど)出身のバンドによるブルージーで土臭いロックのこと。ものすごく大雑把に聞こえると思うけど、南部出身ってこと以外にはあんまりはっきりとした定義はない気がするなあ。ブルーズや、ブルーズロックだとか言っても間違いじゃないし。ただ、例えばアメリカの他の地域のバンドとは確実に違いがあるし、イギリスのブルーズロックなんかとは全然違うんだよね。やっぱり音楽には、不思議なことに地域ごとの特色が出ます。そして、アメリカ南部といえばブルーズやソウルの故郷とも言える場所なわけで、本物の黒人音楽を聴いて育った彼らの音楽には、その影響が色濃く反映されている。グレッグのヴォーカルやデュアンのギターは実にソウルフルだし、2人のドラマーによるスイングするグルーヴも、南部ならではのサウンドだと言えるんじゃないかな。

『Whipping Post』
オールマンズといえば、俺はコレかな。グレッグの歌がちょーカッコいい!
フィルモアイーストのライヴ映像って残ってたんだね……。
デュアンの動く姿って初めて観たかも。
 


俺がオールマンズのことを知ったのはいつだったかなあ。『いとしのレイラ 』でエリック・クラプトンよりも印象的なギターを弾いているのがデュアンだと知って、レコードを借りてきたのが最初だったと思うから、中学生のころかな。名ライヴ盤と名高い『Fillmore East 』は必聴盤として音楽雑誌によく載っていたし、とりあえず聴いてみなくちゃ、と思ったのを覚えています。ただ、アメリカの南部在住ではなく、日本の北陸在住の中学生にしては少々背伸び気味だったのは否めなく、何曲かは気に入ったものの、ハマるまでには至りませんでした。あの頃の俺は、もっとわかりやすいハードロックとか、派手なギターソロとかが好きだったし。

『Midnight Rider』
こういうカントリーっぽい曲もオールマンズの魅力。
ディッキー・ベッツのギターもいいんだよね。
 


そんな俺がオールマンズを再発見したのは、ザック・ワイルドのおかげだったりします。ザックがオジー・オズボーンの楽曲にサザンロック的なフレーズやサウンドを取り入れているのがカッコよくて、自分でもやってみたくなったんだよね。そして、そういえばザックが好きなオールマンズのテープ持ってたなと、久しぶりに聴いてみたら、何年か経って俺の耳も肥えてきたのか、以前はよくわからなかった彼らの魅力にようやく気付いたのです。その頃は同じく南部出身のスティーヴィー・レイ・ヴォーンや、ジョニー・ウィンター をよく聴いていて、ブルーズに免疫が出来ていたこともプラスに作用したと思う。デュアンやディッキー・ベッツ のギターにはハードロックギタリストとはまた違う、瑞々しい魅力があったし(ジャムセッションでのデュアンはまさに水を得た魚のよう!)、グレッグの歌声にはサザンロッカーらしい力強さだけではなく、憂いも含まれていて、男に生まれたからにはこう歌いたい……と思ったほど。 

『Melissa』
この曲がいちばん好きです。
エレクトリックのバージョンのギター凄くがいいんだけど、公式動画は見つからず。
グレッグはザックみたいだね(逆だけど)。
 


残念ながらオールマンズのライヴは観たことがありません。91年と92年に来日しているはずだけど、当時はまだ若くてお金もなかったし、より自分好みなHR/HMバンドの来日ラッシュもあって、後回しにしてしまった。次は観に行こうなんて思っていたけど、あれから来日は実現せず。06年にクラプトンのライヴで観た当時の新メンバー、デレク・トラックス のギターが凄くて、これはオールマンズで観たい! と思っていたけど、デレクは脱退。そして、グレッグが亡くなってしまった……。残ったメンバー達が今後もオールマンズを続けていくとは思えないんだけど、以前からそれぞれが自分のバンドでも活動していたし、来日もしている。グレッグやデュアン達が遺した音楽は、これらからもきっとライヴで聴くことが出来るはず! ……でも、やっぱりグレッグの歌で聴きたかったな……。


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