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第36回 洋楽編 Steve Marriott
――俺は言う。「有名じゃなきゃ聴かないの?それはもったいないよ」
2011 / 10 / 04
ここしばらく続いているブリティッシュ・ロック祭りですが……好評か不評かは置いといて(えええ!?)、書いていてとても楽しいので、もうちょっと続けようかと思っております。
さて、今回はハスキーなソウルフルヴォイスの持ち主、「Steve Marriott(スティーヴ・マリオット)」ですよう! ブリティッシュ・ロックの奥深い世界への扉を少しずつ開いてる感じですなあ。
まあ、ロックファンには知られた名前だし、俺も根がミーハー(死語?)だから、あまりマニアック過ぎる方向へは行きませんけども。
スティーヴ・マリオットはイングランドに生まれ、幼少時には子役として活動したりしていたそうですが、その名前が世界に轟くようになったのは1965年に結成した「SMALL FACES 」から。
SMALL FACESは「THE WHO」なんかとともに、60年代のモッズ・ムーヴメントを牽引したバンドです。英国ではかなりの影響力を持っていて、ポール・ウェラーなんかがファンであることを公言していますね。スティーヴ脱退後は、あのロッド・スチュワートとロン・ウッドが加入し、「FACES 」に名前を変え……こっちのほうが日本じゃ有名だなあ。
……そう、ここ日本では、スティーヴの知名度はいまひとつ高くないのです。SMALL FACES脱退後にピーター・フランプトンと結成した「HUMBLE PIE 」にしても、ファンだという人にお目にかかったことがない。名前は知ってるよ、って人は多いけどね。
早々と辞めてしまったピーターがソロで大ヒットを飛ばし、いまだにTVなんかで曲が使われることがあるのに対し、スティーヴもHUMBLE PIEも、今じゃほとんどその名前を聞かない。ミュージシャンからもあまり名前を聞かないし……。だからこそ、「Superfly」がカヴァーしているのを聴いて大喜びしちゃったんだけどね。志帆ちゃん偉い。一緒にバンドやりたいなあ。飲みに行きたいなあ。……あれ? え、えーと、スティーヴですよ、スティーヴ。
……ごほん。俺がスティーヴの存在を知ったのは、LAメタルのバンド、「W.A.S.P 」がHUMBLE PIEのレパートリーだった『I Don’t Need No Doctor』をカヴァーしていたことから。その前から名前を知っていたかどうかは覚えてないけど、とにかくその曲が気に入って、オリジナルも聴きたくなったんだよね。W.A.S.Pはヘヴィに演奏していたから、70年代のバンドの演奏だとどうなんだろ? なんて少し心配してたんだけど、ほとんど一緒で(笑)、全然古臭くなかったし、すぐに気に入りました。さらにその元ネタがあのレイ・チャールズだったと知り……、そうなるともちろんレイ・チャールズのヴァージョンも聴きますよねえ。さあ、楽しい音楽旅行のはじまりはじまりー! ですよ。
こういう楽しみ方をみなさんにも知ってもらいたいなあ……。もちろん、もうすでにそうやって楽しんでいる方もたくさんいらっしゃると思いますけど。
そうやって聴いてみたHUMBLE PIEやSMALL FACESは凄い迫力で、何よりスティーヴの歌が素晴らしかった。スティーヴはモッズと言われたSMALL FACESの出身だけど、R&Bやソウルからの影響を強く受けたヴォーカルスタイルで、ソウルフルかつ激しく歌い上げる人でした。日本ではR&Bなんていうと、キレイな声で朗々と歌い上げる人が多いけど、R&Bって、実は激しくシャウトする人が多いよね。日本じゃ受けないのかな。R&Bってもっとこう……うーん、今回どうも愚痴っぽい(苦笑)?
彼と同時代のアーティストがクラシック・ロックなんてカテゴライズされて、再評価されたりしているのに、スティーヴやHUMBLE PIEがあんまりその波に乗っていないのが悔しくてねえ……。
個人的には、「LED ZEPPELIN」のロバート・プラント、「QUEEN」のフレディ・マーキュリーにだって負けない、世界最高峰の歌声の持ち主だと思っています。彼のソウルフルなシャウトは、ヘヴィメタル・シンガーだって裸足で逃げていきそうなほどなんだけど……。
まあ、60年代、70年代には日本でも有名だったのかもしれない。80年代以降はそれほど成功していなかったし(本人がそれを望んでいなかったと思われるフシも)、しょうがないのか? だけど、おいおいちょっと待てよ、と。有名なバンド、ヒットしているバンドじゃないと聴かないのか、と。それじゃああまりにもったいないよ。
スティーヴ・マリオットは91年、寝煙草による火災で亡くなっています。そういうのもなんだか不遇な感じがしちゃってねえ……。健在でないことが彼の音楽を聴くきっかけを少なくしているのだとしたら、それはあまりにもったいない。聴かずにいるには、素晴らしすぎる男なのですよ……。
少しでも気になった方、ぜひ聴いてみてくださいね!
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