ikkieの音楽総研

第41回洋楽編 BLACK SABBATH
――悪魔（笑）復活、あるのか初来日!?

2011 / 11 / 29

2011年11月11日、11時11分11秒……と、世間が大はしゃぎしていた同時刻、伝説のバンドの再結成が発表されました。「BLACK SABBATH」がオリジナル・ラインナップで再結成する……！

BLACK SABBATHはトニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワード、オジー・オズボーンの四人で結成され、1970年2月13日、金曜日にデビュー。名前は例のホラー映画から取り、楽曲のコンセプトも人を怖がらせる音楽を……というおどろおどろしいものでした。
ファーストアルバムなんか、ジャケットは怖いわ、針を落としてまず聴こえてくるのが雷雨の音と鐘の音だわ……こ、怖いんですけど！　オジーの回でも書いたとおり、悪魔崇拝だの黒魔術信奉だのはあくまで演出（失笑）だとわかっているけど、なんか聴いちゃいけないものを聴いているような気がしたものです。今回もね、これ書くのに久しぶりに聴いたら、後ろに誰かがいるような気がして止めちゃいました（苦笑）。夜中にヘッドフォンで聴くのはやめましょう。

まあ、そんなふうに怖がりながらも、『オーメン』なんかのホラー映画が好きだった俺は、ゴシックな雰囲気にたまらなく惹かれたし、英国のバンドならではの湿り気も感じてね、大いに気に入りました。ほんとは怖い曲もそんなにないし（笑）。
で、あのオジーが歌っているので、実はどの曲もキャッチーなのです。呪文のようなメロディではあるけど、スッと耳に入ってくる。それこそが魔術だったりして（笑）。それから、トニー・アイオミのギターも、次から次へと出てくる印象的なギター・リフに、ヘヴィ・メタルってほんとにこの人から始まったんだなあ……と思ったっけ。

ファーストアルバム
『BLACK SABBATH』さて、BLACK SABBATHはここで紹介したいくつかのバンドと同じように、メンバー交代を何度も行っていて、これまた同じように時代ごとにサウンドが変わります。時代ごとにファンがいて、オジー時代じゃないとダメ！
なんていう極端な人もいるようですが、俺はそのほかの時代にも、それぞれ魅力を感じています。思い入れで言うならやっぱりオジー時代だけど、ロニーがいたころも凄いしね……ってそう、オジーが抜けたあと、シンガーの座についたのは元「RAINBOW」のロニー・ジェイムズ・ディオでした。

リアルタイムで聴いていた人たちにはとんでもない事件だったんだろうなあ。タイプが違いすぎるんだもん。大雑把に言うと、オジーはキャラクター勝負のシンガーだけど、ロニーはロック界でも最高峰の実力派シンガーなわけで、違うバンドだと感じる人も多いかもしれない。俺もロニーを擁したBLACK SABBATHを初めて聴いたときは、RAINBOWみたい……と思ったものです。でも、よく聴いてみると、あのBLACK SABBATHが演奏しているわけで、ロニーが歌おうが、曲調が変わろうが、紛れもなくBLACK SABBATHなのでした。
ポップな曲をやりたくなくてRAINBOWを辞めたロニーと、シンガーにもっとメロディを歌って欲しかったBLACK SABBATHは相思相愛だったのでは。しばらくの間だけど（苦笑）。うん、ロニーも抜けちゃうのですよ。バンドって大変。

ロニーが抜けたあとは、シンガーだけでなく、ベーシストとドラマーも交代と脱退を繰り返し、ついにギターのトニー・アイオミだけになってしまいます。バンド存続の危機だったわけですが、ロニーそっくりに歌うことも出来るトニー・マーティンを得て復活。でも、だったらロニーでいいじゃん！　となるのがファン心理でねえ。トニーは上手かったけど、いかんせんカリスマ性が足りなかった。
そしたらなんと、ロニーが復帰（笑）。ただ、音楽性が変わりすぎて不評だったからか、このラインナップは短命に終わりました。

それでもロニーが二度目の復帰をしたとき、今度はオジー陣営がBLACK SABBATHと名乗っていいのはオリジナル・ラインナップだけだ、と。うーん……。そんなわけでロニーを擁するバンドは、ロニー時代のアルバムにちなみ、「HEAVEN AND HELL 」と名乗るんだけどね。これは素晴らしかった。ファンは敬意を込めて、このバンドをBLACK SABBATHと呼んでいたように思います。でも、2010年、ロニーは胃ガンで亡くなってしまう……。

このままBLACK SABBATHは封印か、と思われていたところ、まさかのBLACK SABBATH再結成宣言！　その名前を名乗るということは、オジーのいるオリジナル・ラインナップなわけですよ。やっぱりそのラインナップは特別。来日したこともないし……。メンバーの年齢を考えると、大掛かりなツアーはおそらく最後になるでしょう。来日公演があるのかはわからないけど、あのBLACK SABBATHをこの目で見て、伝説の重みを体感したい。その日が来ることを、祈るような気持ちで待っています。

『Black Sabbath』 with Ozzy

『Heaven And Hell』 with Ronnie