ikkieの音楽総研

第111回 洋楽編 STRYPER――また観たい聴きたい、日本でウケた"クリスチャン・メタル"

2014 / 08 / 19

先日、ツイッターで凄く気になるニュースを見つけた。DOKKENLYNCH MOB  で知られるギタリストのジョージ・リンチと、STRYPER  のギタリスト兼シンガーで再結成BOSTONにも参加していたマイケル・スウィートが、新たにSWEET/LYNCHなるバンドを結成したという。名前からして当然その2人が中心なんだろうけど、ベースはWHITE LION MEGADETH  のジェイムズ・ロメンゾ、ドラムにはしばらくWHITESNAKEにいたブライアン・ティッシーが参加しているようで(個人的にこの二人のコンビはザック・ワイルドのPRIDE AND GLORY  のイメージが強い)、80〜90年代のHR/HM好きにはたまらないメンツだ。

stryper.jpg ジョージはあまりビッグネームとやりたがらないというか、ちょっとアングラな人や、まったくの新人と新しいバンドを組むのが好きそうなイメージがあったから、このニュースには驚いた。でも、もちろん嬉しい驚きだ。STRYPERはDOKKENやLYNCH MOBよりもポップなイメージがあるし、2人の相性を疑問視する人もいそうだけど、自身のファン層が期待するよりもヘヴィなことをやりたがるジョージには、その名の通り甘い歌声のマイケルのようなシンガーのほうが、適度なキャッチーさが保てそうで良いんじゃないかと予想している。実際、少しだけ公開されたデモ音源 でも相性の良さが感じられた。これは続けてほしいなー! マイケルなら、DOKKENの曲も難なく再現してくれそうだしね。全然声が出なくなったドン・ドッケンよりも良さそう。……さて、そんなわけで今回の音楽総研は、マイケル・スウィートのSTRYPERをご紹介! 84年デビューのベテランバンドで、今現在も現役で活動しております。

STRYPERはメンバー全員が敬虔なクリスチャンで、神を讃える内容の歌詞が多く、そのままズバリ、クリスチャン・メタルと呼ばれています。バンド名もイザヤ書に出てくる言葉から取ったとか。でも、皆さんご存知の通り、HR /HMというのは悪魔崇拝だの、黒魔術だのという反キリストなイメージが強くて、キリスト教団体からも抗議を受けたりしてるわけでね。俺もその存在を知ったばかりのころは、クリスチャンのメタルなんて変なの、と思っていました。でも、欧米にはヘヴィメタルに限らずクリスチャン・ロックのマーケットが確立されているらしく、そういうバンドがたくさんいるみたい。ゴスペルのロック版みたいな感じなのかなあ。まあ、HR /HMのドラマチックなサウンドは、賛美歌にも合いそうな気がするよね。


『Calling On You』
黄色と黒のシマシマが彼らのトレードマークでもありました。
ギターソロ後の賛美歌のようなハーモニーは圧巻!
歌詞に登場する"You"は恋人への"あなた"ではなく、ジーザスのことらしいっす

STRYPERのサウンドは、メロディアスな楽曲とツインギター、そしてまさに賛美歌のようなゴージャスなヴォーカルハーモニーが特徴。クリスチャン・メタルと聞いてなんとなく想像するよりもヘヴィだと思うけど、歌メロがとにかくキャッチーで、一回聴くだけで一緒に口ずさめるほど。アメリカではクリスチャンのみならず一般受けも良かったようで、ミリオンセラーを記録していたし、80年代当時はここ日本でも武道館でライヴをやるほど人気があった。ただ、俺も含めほとんどの日本人には、神を讃える内容の歌詞や、聖書を客席に投げ込んだりする行為の真意は伝わっていなかったんじゃないかなあ。聖飢魔II  の逆バージョンぐらいに思っていた人もいそう。まあその分、日本では楽曲そのものの良さが認められていたとも思う。洋楽ファンは歌詞の内容を気にしない、というと語弊があるかもしれないけど、聞こえが良ければいいという人が多いはず。メロディやサウンドが好みかどうかのほうが重要なんだよね。


『Honestly』
名バラード! ちなみに、JOURNEYのアーネル・ピネダもフィリピン時代にカヴァーしてます

一方で、欧米ではやっぱり歌詞の内容がダイレクトに伝わるわけで、実は苦戦していたとも聞く。クリスチャン向けのイメージが強過ぎたのかな。実際、一時期はそれまでの品行方正なイメージを払拭し、レザーを着てタフなイメージを演出したりもした。でも、これで人気も落ちちゃったんだよね。そしてその後、バンドの顔だったマイケルが脱退、92年には解散……。それでも再結成を望む声は多く、00年に再結成、05年にはオリジナルアルバム  を発表した。それ以降もライヴを中心にコンスタントに活動を続けている。日本でもラウドパークに出演したし……フェス嫌いの俺は行かなかったけども。動画サイトで映像を観る分には、マイケルの声は衰えていないどころか以前より太いぐらいだし、ゴージャスなハーモニーも健在だ。メンバーのルックスがそれほど崩れていないのもいい。以前ほどクリスチャンなイメージが全面に出ていない気もするけど、それはもうバンドの個性として広く認知されているだろうから、ことさらに強調する必要が無くなったんじゃないか。今の時代ならきっと、色眼鏡で見られず、彼らの音楽も正当に評価されるだろう。また日本にも来てほしいなあ。フェスじゃなかったら観に行きます。


『Sympathy』
2013年発売の最新アルバムからの楽曲。今もカッコいいぞ! シマシマは止めたのかな



※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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