ikkieの音楽総研

第116回 ライヴレポート編 NIGHT RANGER――ギタリスト新加入でどうなった? 良かった、こうなった!!(後編)

2014 / 10 / 28

今回も前回に引き続き、10月6日に渋谷公会堂で行なわれたNIGHT RANGERのライヴレポートをお届け。確かな演奏力、素晴らしい楽曲に加え、新加入のケリー・ケリー(G)の実力も申し分なく、会場は大いに盛り上がっています!

エリック・レヴィー(Key)のシーケンサーで始まったのは、マイケル・J・フォックスの映画  のテーマソングだった『The Secret Of My Success  』。ジャック・ブレイズ(B,Vo)はちょっとマイケル・J・フォックスっぽい……と思っているのは俺だけかなあ。小柄でジョーク好きな明るいキャラクターがダブるんだよね。続いて演奏された『Night Ranger  』では、ブラッド・ギルス(G)とケリー・ケリーが交互にソロを弾く聴きどころもあったけど、ちょっとあっさりと終わった印象。ただ、これはこの日の音響の悪さのせいもあったかも。サウンドバランスがあまり良くなく、ギターの音が聴こえにくかった。

nr_live111.jpg
コンパクトデジカメ、携帯電話のみ撮影可能でした。
ケリーがドラムセットから離れてハンドマイクで歌っているところ……のはず
続くニューアルバムに収録の『High Road  』では、とにかく客席を飽きさせないというバンドの姿勢が大いに発揮された。「俺の歌の後にYeah! Yeah! Yeah! って、3回歌うんだよ」とのジャックの指導のもと掛け合いをリハーサル、それほど浸透していなかったであろうこの新曲に、客席からはこの日いちばんの歌声が! 30年以上の歴史を誇るバンドだけに、どうしても往年のヒット曲のほうが客席の反応は良いんだけど、この曲も負けていなかった。ベテランライヴバンドの底力を実感したよ。しかし、この曲が80年代当時に発表されていたらバンドの代表曲になっていたんじゃないか。懐古主義的な、以前の楽曲の焼き直しではなく、80年代の若いNIGHT RANGERと変わらないパワーを感じさせる楽曲なんだよね。そういえば、ジャックの「31年前のライヴに来た人いる?」との問いにブラッドが手を上げて、「あんたメンバーでしょ!」なんてやり取りも(笑)。これもベテランならではのテクニック?


『High Road』
これほんと良い曲だと思う。
「俺は正しい道を選んだ、自由をつかんだ、決して歳をとらない......」って歌詞も良いね

ケリー・ケリーがアコースティックギターに持ち替え、ジャックが参加していたDAMN YANKEESの『High Enough  』をプレイ。良い曲だけど、この曲よりもNGIHT RANGERの曲をやってほしい……。しかし、ブラッドもアコースティックギターに持ち替えて演奏された『Good Bye  』はNIGHT RANGERの文句なしの名曲で、ジャックも「とても大切な曲」と紹介した。実はこの曲が俺のフェイヴァリット。この曲を聴かなきゃ帰れません。Mr.バラードシンガー、ケリー・ケイギー(Dr,Vo)の歌声が心に沁み渡る。そして、エンディングでエレキギターに持ち替えたブラッドのソロがあまりに素晴らしくて、涙腺が緩んでしまった。穏やかに淡々と綴られるアコースティックパートから、ドラマティックなエレクトリックパートへ切り替わる、このダイナミクス! これがハードロックのバラードの醍醐味だよ。続くキャッチーで切ないメロディのロックソング、『When You Close Your Eyes  』も『Good Bye』に次ぐ俺のお気に入り。この名曲の連発に客席の盛り上がりは最高潮に!


『Good Bye』
ジャックが亡くなったお兄さんのことを思って書いたという名バラード。
ジェフのアコースティックやソロも良いけど、イントロとエンディングのブラッドのギターが素晴らしい!

Don't Tell Me You Love Me  』のイントロをブラッドが弾き出すと、ライヴの終わりを察した客席から悲鳴のような歓声が起こった。この曲は疾走感溢れる演奏に切ないメロディ、ツインギターが堪能できるNIGHT RANGERの魅力がたっぷり詰まった名曲だけど、この日の観客がいちばん注目していたのはギターソロかもしれない。ブラッドが余裕しゃくしゃくで彼らしいソロを弾いた後に続く、ケリー・ケリーのソロに会場中が耳を凝らす……! そしてケリーはオリジナルメンバーのジェフ・ワトソンが弾いた凄まじいソロを見事に再現、大喝采を受けた。いや、凄いギタリストだ。バンドは曲間に『Hotel California  』や『Highway Star  』を挟む遊び心を見せ、さらにギターバトルもたっぷり聴かせてくれて大満足。そしてひとまずライヴ本編は終了した。

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ジャック・ブレイズ。ちょっとマイケル・J・フォックス思い出さない?
観客達は当然バンドを呼び戻し、アンコールを要求! 近作からの『No Time To Lose Ya  』、大ヒットシングル『Sister Christian  』と続き、最後は当然『(You Can Still)Rock In America  』だ。ケリー・ケリーは8フィンガーズをやらなかったけど、そんなことがどうでもよくなるぐらい良いソロを弾いたし、バンドの演奏はもちろん完璧だ。そしてついにライヴは終了……客席に明かりが点いた時のため息の大きさといったら! 

ポジティヴなオーラが溢れ、何時間でも観ていたいと思わせる楽しいライヴだった。プロフェッショナル達が本気で観客を楽しませ、自分達も思い切り楽しんでいる。こんなバンドのライヴが凄くないわけがない! また来年も来てほしいなあ……。


10月6日 渋谷公会堂 セットリスト
1. Glowin’ Up In California
2. Seven Wishes
3. Rumors in the Air
4. Knock Knock Never Stop
5. Sentimental Street
6. Crazy Train (OZZY OSBOURNE)
7. Sing Me Away
8. The Secret of My Success
9. Night Ranger
10. High Road
11. High Enough (DAMN YANKEES)
12. Good Bye
13. When You Close Your Eyes
14. Don’t Tell Me You Love Me -Includes- Hotel California (EAGLES)
Highway Star (DEEP PURPLE)
Encore
1. No Time to Lose Ya
2. Sister Christian
3. (You Can Still) Rock in America



『Don't Tell Me You Love Me』
83年の日本公演から。この日、この会場にいたという人が今回もたくさん来ていました。もちろんブラッドも(笑)。
それにしても、この曲のジェフのソロは本当に凄いなあ



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