トップページ > エンタメ > ikkieの音楽総研
ikkieの音楽総研
第129回 洋楽編 JOHN CORABI――モトリーでの1枚は失敗作? はたまた最高傑作?? 翻弄され続ける名シンガー
2015 / 05 / 07
MÖTLEY CRÜE最後の日本公演を観てから、早3カ月。彼らは今年いっぱい活動を続ける予定とはいえ、もうライヴを観る機会はなさそうだし、やはり大きな喪失感を味わっております……。さて、今回の音楽総研はそのMÖTLEY CRÜEから一時的に離脱していたヴィンス・ニールの後釜を務めた男、ジョン・コラビ をご紹介! ジョンはたった一枚の、失敗作と呼ばれてしまうことも多いアルバムを残しただけで脱退してしまったけど、実はとても良いシンガーでした。ジョンが参加したアルバムをMÖTLEY CRÜEの最高傑作と評する人もいます。どっちが正しいのかな?
ジョン・コラビは91年、THE SCREAM のシンガーとしてデビュー。THE SCREAMはジョンのハスキーでブルージーな歌声を活かしたアメリカン・ハードロックバンドで、アルバムの出来も良く将来有望と思われていたんだけど、ジョンがMÖTLEY CRÜEに引き抜かれてしまったことによって解散。活動期間が短かったから、ジョンがいたバンドとして知ってはいても音を聴いたことがない、なんて人も多いのでは。俺はMR.BIGのポール・ギルバートがいたRACER X のメンバーが結成したバンドとして彼らに注目していたんだけど、実際に聴いてみたのは、当時MÖTLEY CRÜEのニッキー・シックスがやたらとTHE SCREAMを褒めていたから、でした。俺も結局はモトリー絡みです。
アルバムを気に入ったというニッキーにジョンがお礼の電話をしたことから、バンド加入のストーリーが始まったらしい。その場でオーディション参加を持ちかけられたものの、ヴィンス脱退はまだ極秘事項だったため、THE SCREAMのメンバーには、ニッキーに礼を言っておいた、とだけ伝えたという。そして、同じ日にメンバーとラジオに出演中、DJが「モトリーがヴィンスを解雇!」とニュースを読み上げ、ジョンのMÖTLEY CRÜE加入を怪しんだ他のメンバー達がジョンを見た……という、まるで映画のようなやりとりがMÖTLEY CRÜEの自伝 で読めます。そういえば、元SKID ROWのセバスチャン・バックが入るなんて噂もあったけど、まあ、合わなかっただろうな。
『Hooligan's Holiday』
ジョンがいたころのMÖTLEY CRÜEの代表曲。
これ初めて聴いた時はびっくりした。すごくカッコ良いけど、やっぱりモトリーには聴こえないね......
ジョンの加入後に発表されたアルバム『MÖTLEY CRÜE 』は、物凄く良く出来た作品だった。ジョンのハスキーな歌声は、新しいMÖTLEY CRÜEのヘヴィなサウンドにピッタリで、ヴィンスの大ファンだった俺も「しまった、すげえカッコ良いぞ」と思ったのを覚えている。曲調もヴィンス時代にあったポップさやいかがわしさは無くなり、シリアスな硬派さが際立っていて、グランジやオルタナ勢が台頭していた当時の流行にもマッチしていたと思う。ある意味でMÖTLEY CRÜEを見直した人もいたんじゃないか。そして、それはジョンの貢献が大きかった。でも、俺は複雑だったな。これはMÖTLEY CRÜEなのか……? と思っちゃってね。バックのサウンドは紛れもなくMÖTLEY CRÜEで、ヴィンスが歌ってもハマりそうな曲もあったけど、あの声じゃないとダメだ、と思わずにいられない。歌唱力だけで言うならば、断然ジョンのほうが上だ。それでも、ヴィンスには毒々しいほどの華があって、それこそがMÖTLEY CRÜEに必要なものだった。彼らがMÖTLEY CRÜEと名乗らず、違う名前で新しく結成したバンドだったなら、俺は諸手を挙げて歓迎していたと思う。そして、俺と同じ意見の人は世界中にいたようで、このアルバムはさほどヒットせず、ツアーも途中で打ち切られ、MÖTLEY CRÜEはヴィンスを呼び戻す。
『Smoke the Sky』
これもめちゃくちゃカッコいい。
ヴィンスが歌ってもハマリそうだけど、ヴィンスだとここまでハードに聴こえないだろうね
MÖTLEY CRÜEをクビになったジョンは、同じくオリジナルメンバーでの再結成を受けてクビになってしまったKISSのブルース・キューリックとUNION というバンドを結成したり、これまた同じくKISSを抜けたり入ったりさせられているエリック・シンガーのESP に参加したりするも、どちらも長続きせず。その後はなんとRATTにギタリストとして参加、なんだかギターも上手い便利なシンガー……というような立ち位置で、いろんなバンドを渡り歩いている。現在は基本的にはソロアーティストとして活動しているようだけど、あれだけの実力を持ったシンガーなんだから、もう少し優遇されても良い気がするんだけどね。なんだかロックスターに翻弄され続けているようなイメージがあるなあ。ただ、MÖTLEY CRÜEのメンバーとは、ヴィンスも含め概ね良好な関係のようで、MÖTLEY CRÜE後にも共演しているし、シンガーのヴィンス以外となら新バンド結成、なんてことがあるかもしれない。ニッキーはSIXX:AMがあるから難しいかな。
ジョンには、ぜひともその実力通りの評価を受けてほしいと思う。またあのクールなハスキーボイスを世界中に轟かせてくれるのを期待している!
『Misunderstood』
これはヴィンスとじゃ出来なかったタイプの曲じゃないかな。
ヴィンスがいたころよりも、曲のグレードが上がった気がしたけど……、“普通に”カッコいいバンドになってしまった、とも思ったかな
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/
Tweet |