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第156回 洋楽編 RATT ――長年のファンとして、今のRATTに物申す!
2016 / 05 / 25
インターネットが普及して以来、海外の情報もあまり時間差なく日本にも伝わってくるようになりましたよね。フェイスブックやツイッターなどのSNSをミュージシャン自身がやっていることも多く、ファンの質問に直接答えてくれたり、出回っている噂の真相を教えてくれたり。それでも、中にはオフィシャルな発表なのかそうでないのかもわからないようなニュースもあって、困惑してしまうことも。去年の秋ごろだったか、RATTの公式ツイッターがボビー・ブロッツァー以外は知らない顔ばかりの写真を投稿、ボビーのソロプロジェクトの宣伝かと思ったら、なんとそれが現在のRATTのメンバーだというので物凄く驚きました。最近ベーシストの交代があったようだけど、今もツアーは続いているみたい。……ちょっと納得いかないなあ。そんなわけで、今回は久々にRATTを取り上げます。長年のファンとして、今のRATTに物申す!
RATTはスティーヴン・パーシー(Vo)、ロビン・クロスビー(G)、ウォーレン・デ・マルティーニ(G)、フォアン・クルーシェ(B)、ボビー・ブロッツァー(Dr)の5人で84年にメジャーデビュー。ハードなサウンドながらもキャッチーで華やかな楽曲と、メンバーのグラマラスなルックスで人気を博し、MÖTLEY CRÜEとともにLAメタルブームの火付け役になりました。80年代から90年代の前半にかけてここ日本でも大人気でしたが、グランジやオルタナの台頭により人気が低迷し、一旦は解散。そして、中心人物だったロビンが亡くなり、スティーヴンはバンドを出たり入ったり……、挙句メンバー間の確執によるバンド名をめぐる訴訟が起こるなど、決して順風満帆とは言えない活動状況でした。
『Round and Round 』
84年、RATTが一番勢いに乗っていた頃のライヴ。
これぞRATT!
それでも、10年に元QUIET RIOT のカルロス・カヴァーゾ(G)が加入して発表されたアルバム は全盛期を彷彿とさせる充実した内容で、さらに12年には再結成に参加していなかったフォアンがバンドに復帰。今度こそ完全復活か?! と期待していたら、何本かライヴをやったのみでフェードアウト……。そして、またしてもスティーヴンが脱退してしまう。近年のライヴ映像をYouTubeで観ると、スティーヴンは全く高音が出ておらず、何とかしてよ、と言いたい状態ではあったけども、やはり、スティーヴンのあの歌声こそがRATTの象徴だったし、スティーヴンがいないならそれはもうRATTではない、というのが大方のファンの意見だと思う。歌声だけでなく、RATTはスティーヴンが作ったバンドで、スティーヴンがメイン・ソングライターだったわけだしね。
『You're in Love』
スティーヴン&フォアンの共作。
フォアンも良い曲書くんだよね。この曲がいちばん好きかも。
ただ、以前の訴訟の結果、現在はウォーレンとボビーがバンド名の権利を持っていて、スティーヴンがいなくてもRATTを名乗ることが出来るらしい。……変なの。うーん、百歩譲ってウォーレンとボビーがいたらRATTが成り立つとしても、今回はウォーレンがいないし、フォアンだっていない。全盛期のメンバーはボビーが一人、他は誰?って感じのバンドを、どうしたってRATTだとは認められないんだよね。案の定、ツイッターやYouTubeには「これがRATT?」という批判的なコメントが並んだし、ウォーレンからは訴訟を起こされてしまった。その結果を受けてか、現在はバンド名をBOBBY BLOTZER’S RATT EXPERIENCEとしているらしいけど、イベントの告知なんかにはRATTとしか記載されていないようだし、現メンバーでの写真にもRATTと書かれている。これはアウトなんじゃないの? 知らないで観に行ったらがっかりするどころの騒ぎじゃないよね。
ボビーのドラムはRATTのリズム面での特徴を担っていたはいえ、決して上手い人ではなかったし、そんなに曲を書く人でもなかった。そして、さほど目立つ存在でもなく……つまり、全く中心人物ではなかったわけで、あえて言葉を選ばずに言えば、ボビーよりもウォーレンが一人でRATTと名乗ったほうがまだマシだ。ボビーはバンドのビジネス面を担当していたと聞いたことがあるけど、それならなおのこと、自分一人でRATTと名乗っても売れない、とは思わなかったのかな。
RATT EXPERIENCEバージョンの『Round and Round』。
でもバックドロップにはRATTとしか書いてないね。
シンガーは今のスティーヴンよりも上手いかもしれないけど......これはなあ。
フォアン脱退時のベーシスト、ロビー・クレインが復帰。
活動期間の長いバンドがメンバーチェンジをしてしまうのはしょうがない。でも、せめてバンドの顔であるシンガーか作曲の中心メンバーがいないと、バンドの個性を維持することは難しいんじゃないか。今後RATTがどうなるのかはわからないけど、現在のメンバーでニューアルバムを作ったとしても、それはもうRATTじゃないでしょ。RATTならではの楽曲を書いていたメンバーが一人もいないわけだし……。シーンからRATTがいなくなることにはもう慣れている。それでも全盛期を知っている俺としては、やっぱり期待したいんだ。スティーヴンやウォーレンが思い直してくれることを、切に願います……。
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