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第211回 洋楽編 STEVE CLARK―― 夭折の"リフ・マスター"、スティーヴ・クラーク
2018 / 06 / 26
6/18に起こった大阪北部を震源とする地震で被災された方、そのご家族、関係者の方に心からお見舞いを申し上げます。日本が地震の多い国だというのはよくわかっていても、それにしたって多過ぎじゃないですかね……。これ以上被害が広がらないことと、1日も早い復興を祈っています。……さて、気を取り直していきましょう! 今回はDEF LEPPARDのギタリストだったスティーヴ・クラーク! 今回、本当は違うアーティストのことを書くつもりだったんですが、前回DEF LEPPARDを取り上げてスティーヴ熱が再燃してしまいまして。もっと書きたくなっちゃったんですよね。
スティーヴ・クラークは60年生まれのイングランド出身のギタリスト。91年に30歳という若さで亡くなるまで、DEF LEPPARDのギタリストとして活動していました。俺がスティーヴとDEF LEPPARDのことを知ったのは中1の頃だったんだけど、当時はちょうど『Hysteria 』の長い長いレコーディング中で、新しいニュースの入ってこないDEF LEPPARDは活動を停止しているようにしか見えず。リック・アレン(Dr)の事故のこともあったしね······。雑誌やMTVなんかで新しいニュースがどんどん伝わってくるRATTやBON JOVIといったバンドに夢中になっていました。DEF LEPPARDのことは、曲は良いけど垢抜けないルックスの(カッコ悪い、と上の姉が嫌っていた記憶が)イギリスのバンドぐらいの認識で、スティーヴのこともさほど気にしておらず。ギターキッズだった俺は、PVでソロを弾いていたフィル・コリンのほうが気になっていたかなあ。
『Armageddon it』
コードトーンを使ったシンプルなソロが実にスティーヴらしいっす。
間奏前の「Come on Steve !」が、今となってはグッとくるね……。
そんなスティーヴのことが気になりだしたのはいつのことだったか……、今となってはあんまりはっきりしないけど、レコードのクレジットを見て、スティーヴがバンドのメインソングライターなんだ、と気付いた時だったような。俺はギターソロを聴いたり弾いたりするのが大好きなギターキッズではあったけど、それ以前にメロディアスな曲が大好きな音楽ファンだったわけで、子供ながらにギターソロよりも楽曲そのものを大切にしている(ように感じる)ギタリストに注目していたからね。スティーヴは決してテクニシャンではなかったけど、たまに弾く印象的なソロはメロディアスで楽曲を引き立たせるものだったし、スティーヴが編み出すギターリフはまさに楽曲の中心。スティーヴは楽曲そのものを大切にしているギタリストだったんですよ。フィルだって楽曲を大切にしているタイプのギタリストだけど、スティーヴのほうがよりその傾向が強いように思います。
『Bringin’ on the Heartbreak』
セカンドアルバムからの名バラード。
しかし、いくら80年代だとはいえ、もうちょっとカッコいいPVを作れなかったのか……。
垢抜けないと俺が思っていたのもわかってもらえるのでは。
そうして興味を持ってDEF LEPPARDの曲をコピーしてみると、スティーヴは実に個性的なギタリストでした。開放弦を効果的に使ったアルペジオや、キャッチーながらもひとひねりあるギターリフ。どちらもDEF LEPARD自体の個性でもあるよね。スティーヴはLED ZEPPELINのジミー・ペイジからの影響を公言していたけど、半音階でぶつけるテンションきつめのコード・ヴォイシングからは、THE POLICEのアンディ・サマーズ辺りの影響もあるんじゃないかと思うんだけど、どうだろう。もちろん、その二人に似て聴こえるわけではなく、コピーして分析をしたからこそ気付くようなレベルなんだけど。
そして、垢抜けないなんて思っていたメンバーのルックスも、大ブレイクした余裕からか、スターオーラ満載の洗練されたスタイルに。特にスティーヴはカッコよかったなあ。ギターを腰より下の位置に構えて、しなやかに弾くスタイルには憧れました。地元に住んでいた頃は彼らのライヴに行けなかったから、上京してすぐに新作のレコーディング中だとのニュースを聞いて、今度は観に行ける! と、来日を楽しみにしていたんだけど……、スティーヴは亡くなってしまった……。
『Photograph』
DEF LEPPARDといえば、スティーヴ・クラークといえば、やっぱりこの曲だよね。
キャッチーなリフに美しいアルペジオ……、完璧だわ。
スティーヴが亡くなったのは91年の1月8日。そうだ、冬だったなあ。俺がスティーヴのファンだったことを知っていた友達が、わざわざバイト先まで知らせに来てくれたっけ。アルコールと鎮痛剤などの過剰摂取が原因だという。とてもシャイだったというスティーヴは、空前絶後の大成功によるプレッシャーやストレスからか、アルコールに溺れるようになり、遂には亡くなってしまった。30歳だなんて若過ぎるよね……。DEF LEPPARDはメンバー全員が曲を書いていたから、スティーヴが亡くなった後も大きく音楽性が変わることはなかったし、スティーヴの曲に負けないような良い曲もある。それでもやっぱり何かが欠けているような気がする、なんて思うのはあまりに後ろ向き過ぎるかなあ。……うーん、それでも……。
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/
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