ikkieの音楽総研

第213回 俺らの音楽編――ヴィブラートが下手な人、多くないっすか

2018 / 07 / 25

先日、Twitterを見ていたら、RATTのスティーヴン・パーシー(Vo)がニュー・ラインナップとしてウォーレン・デ・マルティーニ(G)とカルロス・カヴァーゾ(G)がいない写真をアップしていて、思わず「なんじゃこれ!」と声が出てしまった。オフィシャルホームページにはすでに新メンバーの写真がアップされていて、北米ツアーも行っているという。YouTubeで観た新メンバーでのライヴは、いくらスティーヴンとフォアン・クルーシェ(B)がいるといっても、RATTにあったギリギリの危うさや、グラマラスな魅力が根こそぎ無くなっていてがっかりした。メインソングライターで創設メンバーでもあるスティーヴンさえいればRATTなのかもしれないけど、10年ぐらい前に加入したカルロスはともかく、ずっと中心メンバーだったウォーレンがいないのはどうなんだ……。そして、それは世界各国のファンも同意見のようで、コメント欄にも「ウォーレンはどこだ?」だの、「ウォーレンがいなければRATTじゃない」といった批判的なコメントが並んでいる。海外のニュースサイトにはウォーレン達は解雇されたと書いてあったけど、真相はいかに……。まあ、今のラインナップは長続きしないだろうね。この人たち、いい加減に落ち着いてくれないかなあ。

……さて、気を取り直していきましょう! 今回も前回に引き続き、俺の“気になる”シリーズです。ギターの弾き方で、ずっと気になっていたことがあるんだよねえ。

ライヴハウスで対バン(同じ日に出演するバンドのこと)の演奏を観たり、YouTubeでアマチュア(だと思われる)ギタリストの動画なんかを観たりしていると、ヴィブラートが下手なギタリストが多くてね。いつも気になっています。正直なところ、上手いと思う人はほんの一握り。とんでもないスピードで速弾きをしていたり、リフをカッコ良く弾いていたりしても、ヴィブラートが下手だとがっかりしちゃう。まあ、カッコ良くリフが弾けるならソロを弾くのが下手なだけなんだろうから、METALLICAのジェイムズ・ヘットフィールドみたいにリズムギターに特化していればいいと思うけど、メロディやギターソロを弾くのなら、ヴィブラートにこそこだわろうよ。

イングヴェイ・マルムスティーン 『Icarus’ Dream Op.4』
イングヴェイが新日本フィルハーモニー交響楽団と共演したときの映像。
驚異的な速弾きが話題になることが多い人だけど、フレーズに合わせたヴァリエーション豊かなヴィブラートを聴いてみて!
 


下手なヴィブラートにはいろんなパターンがあるけど、いちばん多いのが、揺らす音程の幅が小さくて、ピッチが悪いヴィブラート。ヴィブラートは音を揺らせばいいとだけ考えているのか、音程を気にせず、ただ弦を上下させている人がほんとに多いんだよね(そして、そういう人はおしなべてヴィブラートのスピードが速い)。ロックを含む西洋音楽にはキー(調)があって、そのキーの中で使える音階(アヴェイラブル・ノート・スケール)も決まっているわけだから、基本的にはヴィブラートだってその音階の中でやるべきじゃない? 例えばキーがCメジャー(ハ長調)だった場合、アヴェイラブル・ノート・スケールはC/D/E/F/G/A/B(いわゆるドレミファソラシドね)で、Cにヴィブラートをかけるなら、隣り合ったDまで音程を上げて揺らすし、EならF。単純に考えると、キーがCメジャーのときに、CにC#でヴィブラートをかけたら、外れた音でしょ? 

全音や半音でヴィブラートなんて音程差が大きくないか、なんてことを言われたことがあるけど、下手な人がよくやる半音にも満たない音程差のヴィブラートは、俺には外れた音にしか聴こえません。外れた音を入れることが悪いわけじゃないし、アヴェイラブル・ノート・スケールだけしか使っちゃいけないわけじゃないけど、意図的にその音を入れるのと、外れているのがわかっていないのでは大違い。わかっていないで外れているのだとしたら、ミュージシャンとして問題があるよ。

SATSUMA3042 『BARK AT THE MOONのエンディングソロの解説』
YouTubeで世界的に有名なお好み焼き屋さん。
ジェイクのソロを解説しているんだけど、動画の前半で俺が気になっている下手なヴィブラートを説明してくれています。この人も速弾きが凄いけど、耳がいいんだろうね。ほんとに上手いです。
 


ただ、このやり方はフレーズにもよるし、ギターの構造上、コードにヴィブラートをかけるときには適していないので、毎回こうしなきゃいけないということではないです。そこが難しいところなんだけど。それに、ヴィブラートってジャンルによってかけ方がかなり変わるんだよね。ジャズやクラシック畑のギタリストは、ロック系の弦を上下に揺らすヴィブラートとは違って左右に揺らすし、音程差も小さい。それでも、彼らのヴィブラートはピッチが悪いとは思わないし、とても音楽的。音程のことを詳しく書いといてなんだけど、より重要なのはそこです。下手な人のヴィブラートは、音楽的じゃないんだよな。音痴なんだもん。

何を持って音楽的かと言うのかは難しいところではあるけれど、少なくともピッチが悪いヴィブラートは音楽的ではないよね。ロックの世界では、少々ピッチが悪くても勢いがあればいい、なんて言われることがほんとに多い。でも、あんまり酷いのは聴いていられないでしょ? 下手でも音痴でも、心に響く演奏や歌はたしかにある。それでも、それだけで良し、としている人の音楽はあんまり聴きたくないな、俺は。

ケリー・サイモン 『The Messiah Will Come Again』
ロイ・ブキャナンの名曲をゲイリー・ムーアのバージョンでカヴァー。
ケリー氏も"超絶"速弾きギタリストとして有名ですが、ヴィブラートも絶品!
 




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とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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