ikkieの音楽総研

第226回 洋楽編 BOB DAISLEY & FRIENDS――盟友ゲイリー・ムーアに捧ぐ! ボブ・デイズリー&フレンズ、魂のトリビュートアルバム

先日、レディー・ガガ主演の映画、『アリー/スター誕生 』を観てきました。ベタ過ぎるストーリー展開にしらけてしまうところもあったけど、アリーを演じたガガはさすがの歌唱力だったし、共演のブラッドリー・クーパーも、本職が俳優だとは信じられないほどの味のある歌声で(ブルース・スプリングスティーン U2のボノを彷彿……と言ったら褒めすぎ?)、なかなか見応えのある映画でした。とくにステージ袖から観るライヴの臨場感が凄くてね。ブラッドリー演じるロックスター、ジャクソン・メインのライヴをドキドキしながら見つめるアリー……、あのシーンにはミュージシャンやスタッフ、そして一部の幸運なファンしか知らないであろうリアルさがあったし、アリーと一緒にドキドキしながら観ていたよ。そして、ガガとブラッドリーのデュエットは一聴の価値あり! 映画館の大画面、大音量で観るのをおすすめしますよう。

1901tributetogary.jpg さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回の音楽総研は昨年10月に発売されたゲイリー・ムーアへのトリビュートアルバム、『Moore Blues for Gary/A Tribute to Gary Moore 』についてあれこれと。良いアルバムなんだ、これが。

ゲイリー・ムーアは2011年に亡くなった北アイルランド出身のミュージシャン。ギタークレイジーとも称されたマシンガンのような速弾きや、情熱的な泣きのギターで人気を博していました。そして、その人気はファンのみならず、多くの著名ギタリストがゲイリーからの影響を公言しています。

俺がトリビュートという言葉を知ったのは、オジー・オズボーンが1987年に発表したランディ・ローズ(1982年に死去)在籍時のライヴアルバム、『Tribute 』がきっかけでした。ランディの肉声まで収録されたこのアルバムに、オジーがTribute(賛辞、捧げものなどの意)というタイトルを付けたのには得心が行くし、これはとても良いアルバムだったんだけど、いつの間にかカヴァーアルバムのことを「トリビュートアルバム」なんて呼ぶようになって……まあ、亡くなった人に捧げることだけがトリビュートではないし、本当にそのアーティストに影響を受けた人たちがリスペクトを込めて作っていればいいんだけど、90年代以降に乱発されたトリビュートアルバムは、単なるジャムセッションのように感じるものも少なくなくてね。最初のうちは興味深く聴いていたものの、だんだん聴かなくなっていました。……でも、このアルバムは違う。

『Empty Rooms』
ゲイリーの相棒、ニール・カーターがヴォーカル。
この曲、高校の頃によく聴いていた大好きな曲でした。
オーディオのみ。
 


今回のアルバムは、ゲイリーと何度も共演しているベーシストのボブ・デイズリー が発起人で、グレン・ヒューズ スティーヴ・モーズ スティーヴ・ルカサー ジョン・サイクスなど、ロックファン垂涎の豪華アーティストが参加しているんだけど、ボブをはじめ、ゲイリーの相棒というべき存在だったニール・カーター や、ドン・エイリー エリック・シンガーダリン・ムーニー など、ゲイリーのバンドメンバーだった人物が中心になっていることによって、そこいらのトリビュートアルバムとはひと味もふた味も違う、説得力のある作品に仕上がっている。ゲイリーの息子のジャックとガス(歌声がそっくり!)も参加しているし、追悼作品としてはこれ以上ないってくらいだよね。

『Still Got The Blues』
ゲイリー直系のジョン・サイクスのプレイが素晴らしい!
Thunderのシンガー、ダニー・ボウズもさすがの歌唱力。
二人でバンドやればいいのに(笑)。
 


そしてもちろん、その内容も素晴らしい! 大幅にアレンジされたものは少なく、ゲイリーのプレイをなぞりつつ、それぞれが個性を加えている感じで、ゲイリーのファンはもちろん、それぞれのアーティストのファンも満足のいく出来だと思う。ほんとにどの曲もどのプレイも良いんだけど、とくに印象に残ったのはジョン・サイクスが弾いた『Still Got The Blues』。ジョンはゲイリー自身が「俺みたいだ と言っていたほどゲイリーっぽいし、イントロが聴こえた瞬間、思わず「そっくり!」って声が出た。ただ、今回は思う存分ゲイリーっぽく弾いても良かったわけで、ジョンも意識して似せたところもあるんじゃないか……ということにしておこう。もうね、水を得た魚のようにゲイリーっぽく弾いています。まあ、もちろんジョンにはジョンのスタイルがあるし、ああ、ジョン・サイクスだ、と思うプレイもたくさん聴こえてくるのでご安心を(?)。ジョンは早く自分のアルバム出しなさいよ。

『Parisienne Walkways』
スティーヴ・モーズ(現DEEP PURPLE)とBLACK STAR RIDERSのリッキー・ウォーウイックが参加。
リッキーはTHIN LIZZYのメンバーとしても活動していたことがあるし、フィル・ライノット風に歌うのはお手の物。スティーヴのギターも素晴らしい!
 


実は、ゲイリーが急逝して以降、どうしても寂しくなってしまうということもあって、なんとなくゲイリーの音楽から遠ざかっていたんだけど、今回のトリビュートアルバムを聴いて、何年かぶりにゲイリーの音楽に浸っています。オリジナルと聴き比べたくなっちゃってね……。聴けば聴くほど、大きな喪失感に胸がつまりそうになるけど、ゲイリーが遺した、エメラルドのような音楽を聴かない手はない。ゲイリーが亡くなって、来月でもう8年。俺は少しでもゲイリーに近付けたかなあ。いつかトリビュートアルバムに参加出来るぐらいにならないとね。


※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













エンタメ ikkieの音楽総研   記:  2019 / 01 / 22

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