ikkieの音楽総研

第235回 洋楽編 FASTER PUSSYCAT―― いかがわしさ満載! 結成30年を超えるLAの老舗ロックンロールバンド

2019 / 06 / 11

2010年に始まったikkieの音楽総研ですが、この6月でなんと丸9年を迎えます。書き始めた時は10回も続けばいいんじゃないか、なんて思っていたけど、もう235回目ですよ! こんなに長く続く(続けられる)とは思ってもみませんでした。今後どのくらい続けられるかは今のところまったくわかりませんが、皆さんに読んでいただける限りは書き続けたいと思っています。これからもよろしくお願いしますね! さて、235回目の今回はFASTER PUSSYCAT をご紹介! 前回紹介した『ザ・メタル・イヤーズ』にも大きくフィーチャーされていて、そういえばこのバンド好きだった、と久しぶりに思い出したんですよね。

190610fasterpussycat.jpg FASTER PUSSYCATはテイミー・ダウン(Vo)が中心になってロサンゼルスで結成され、1987年にデビューしたロックバンド。当時はLAメタル・ブームの真っ只中で、アメリカや日本でも大人気でした。GUNS N’ ROSES(以下GN’R)と同時期のデビューだったこともあり、当初は何かと比べられていたような記憶があるし、なんならGN’Rより期待大、的なことを書いていた雑誌もあったなあ。残念ながらGN’Rほどの大物にはならなかったけど。

俺がFASTER PUSSYCATを初めて聴いたのは、深夜の洋楽番組で観たPVでした。FASTER PUSSYCATって最近話題になってるやつか、と期待して観たんだけど、これがまあ、びっくりするぐらい下手でねえ。これでプロなの? 俺のほうが上手いじゃん! と、ギターを始めて1〜2年ぐらいの中学生が感じてしまうほど。ただ、キャッチーでいかがわしい雰囲気のロックンロールはどこか癖になるような不思議な魅力があって、何度も聴いているうちに、なんだか気になるバンド、という感じの位置づけにはなっていたかな。

『Bathroom Wall』
初めて観たのがまさにこのPVでした。ひ、ひどい演奏……(笑)。
白いレス・ポールを持ったブレント・マスカットが当時女性に大人気だったんだけど、
男の俺が見ても可愛いと思った(笑)!
 


そんなわけで、彼らのことはさほど熱心に追いかけてはいなかったんだけど、同じ洋楽番組で観たセカンドアルバム からのPVにびっくり。とにかく曲がいいし、背伸びしているような印象だったバッドボーイズ風のルックスも、貫録すら感じられるほど様になっていて、ものすごくカッコいいバンドに変わっていたんだよね。アルバムを聴いてみると、もともとの作曲センスの良さに、おそらくツアーで鍛えられたのであろう格段に上達した演奏力が加わり、デビューアルバムとはくらべものにならないほど完成度の高い作品に仕上がっている。これには本当に驚いた。そして、それはセールス面にも反映し、『House of Pain  』を初めとするシングルもヒットを記録、アルバムはゴールドディスクを獲得した。いや、いいアルバムなんだよ、ほんと。俺のまわりのロックファンはみんなFASTER PUSSYCATのことをナメていたから、これ聴いてみなよ! って、何人にも貸したもの。でも、ライヴを観るとそれほど上手いバンドではなかったかな、やっぱり。楽しいライヴだったけど。

『House of Pain』
大ヒットした名バラード! この曲は歌詞も良いんだよねえ。
 


急成長を遂げたFASTER PUSSYCATは1992年にサードアルバムを発表、これもなかなかいい出来だったんだけど、グランジ・オルタナ勢の隆盛もあってか、彼らのようなサウンドは時代遅れになってしまった。そして、1993年には解散をしてしまう……。それでも、バンドはテイミーと、ブレント・マスカット(G)、グレッグ・スティール(G)のオリジナルメンバーを中心に2001年に再結成。またあのスリージーなロックンロールが聴けるぞ、と期待していたら、彼らは以前の楽曲をインダストリアル風のアレンジでミックスし直したアルバムを発表して、ものすごくガッカリした。まあ、テイミーはもともとヒップホップだとか、いろいろと流行りを取り入れる人でもあったし、新しいことに挑戦したい人なんだと思う。でも、FASTER PUSSYCATはこれじゃないでしょ、と思った人は多かったはず。俺は受け入れられなかったなあ。

『Poison Ivy』
俺のフェイヴァリット!
AERSMITHばりにカッコいいって言ったら言い過ぎかな?
この路線で続けてほしかった……。
 


そして、このサウンドの変化は、ファンだけではなくバンドメンバーも同じように思っていたのか、インダストリアル路線のテイミーと、元のサウンドに戻したいメンバーとでバンドが分裂。テイミーのFASTER PUSSYCAと、ブレントのFASTER PUSSYCATという、二つのFASTER PUSSYCATが存在するという時期もあった。RATTQUEENSRŸCHEもそうだったけど、こういうのほんと止めてほしいよね。見てらんないよ。

そういった紆余曲折を経て、FASTER PUSSYCATはオリジナルメンバーがテイミーのみというラインナップで現在も活動を続けている(ブレントのバンドは名前を変更)。目下の最新作は2006年に発表されたアルバムで、インダストリアルではないものの、当時の流行りに寄ったというか……、以前とはやはり違うバンドだと思ってしまう。それ以降、オリジナルアルバムは発表されていないし、YouTubeなんかでしか現在の彼らを知ることが出来ないけど、なんだか昔ほどの華を感じないのは、昔の彼らが好きな俺の贔屓目かなあ。古い曲ばっかりやっているのも、なんだかね……。


※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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