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第247回 洋楽編MICKY MOODY & BERNIE MARSDEN ―― ブルージーなWHITESNAKEを支えた名ギターデュオ
2019 / 11 / 12
先日、わたくしのライフワークでもあるユニット、TAI-ONでライヴをやってきました。TAI-ONは打ち込みのトラックを使用するユニットなので、今回やったライヴバー のような環境でやるのはなかなか難しいんですが、いい感じでやれたと思います。動画 もちょっとだけあげているので(本当にほんのちょっと)、良かったら見てみてくださいね! さて、今回の音楽総研はWHITESNAKEのギタリストだったミッキー・ムーディ とバーニー・マースデン についてあれこれと。前回はスティーヴ・ヴァイがいたころのWHITESNAKEについて批判的なことを書いたので、なぜそう思うのか、っていうことも書いておかないとね。
ミッキー・ムーディとバーニー・マースデンはともにイングランド出身のギタリストで、ミッキーは学生時代にFREEやBAD COMPANY などのシンガーとして知られるポール・ロジャース とバンドを組んでいたという。スライド・ギターを取り入れたブルージーなスタイルが特徴で、現在のWHITESNAKEでも重要なレパートリーとしてプレイされている『Slow an’ Easy 』の作曲者。そして、ミッキーはWHITESNAKEの結成前、DEEP PURPLEを辞めたデイヴィッド・カヴァデールの2枚のソロアルバム に参加しており、大半の曲をデイヴィッドと共作している。バーニーは元DEEP PURPLEで後にWHITESNAKEに加入したイアン・ペイス (Dr)とジョン・ロード (Key)が結成したPAICE ASHTON LORD や、UFOなどで活動。ミッキーよりはハードロック寄りのスタイルで、後にリメイクされた『Here I Go Again 』や『Fool for Your Loving 』はバーニーが中心になって書かれている。
『Fool for Your Loving』
こういう哀愁漂う男臭い曲こそがWHITESNAKE!
上手の帽子に髭のギタリストがミッキー、下手のぽっちゃりしたギタリストがバーニーです。
二人が残っていたとしても、大ブレイク後の派手な衣装は似合わなかっただろうね(苦笑)。
大成功こそしていなかったものの、二人はWHITESNAKE加入前から英国では優れたプレイヤーとして知られていたらしく(バーニーはポール・マッカートニーのWINGS に加入する可能性もあったという)、デイヴィッドはまずこの二人のギタリストにバンド結成を持ちかけたようだ。デイヴィッドの2枚のソロアルバムはソウルやR&Bの影響を大きく感じさせる内容で、DEEP PURPLEのようなハードロックの要素はまったくないんだけど、WHITESNAKE結成に際して、デイヴィッドはソロアルバムよりもロック要素を強めたいと考えていたようで、ソロアルバムに参加して気心の知れたミッキーに加えて、よりロック色の強いバーニーが加入することになったのは自然な流れだったんだろう。
『Love Hunter』
この曲も大好き! このライヴ映像は初めて観たなー。
俺がWHITESNAKEを初めて聴いたのは、ジョン・サイクスが加入した『Slide It In』に伴うツアーで、ミッキーもバーニーもすでに脱退していたから、正直なところ「WHITESNAKEといえばジョン・サイクス」というイメージが強い。それでも、ジョンが加入して以降も『Fool for Your Loving』のような曲は重要な曲としてプレイされていたし、何より、後追いで聴いた過去のアルバムはどれも素晴らしく、ミッキーとバーニーが書く曲のほうがデイヴィッドのソウルフルでブルージーな歌声の魅力をより際立たせていると感じた。ジョンと作った『WHITESNAKE 』にはまだブルージーな要素があったし、ヘヴィブルーズと言えるような楽曲が収録されていたけど、エイドリアン・ヴァンデンバーグが曲を書いてスティーヴがギターを弾いた『Slip of the Tongue 』には皆無……。名曲『Fool for Your Loving』のリメイク には心底ガッカリした。もちろん好みの問題はある。単純に売り上げ枚数を比べるなら、ミッキーとバーニーの時代のアルバムを全部足しても『Slip of the Tongue』のほうが売れていそうだから、そちらのほうが好きだという人が多いんだろう。でも、もともとはブルーズロックをソウルフルにプレイするバンドだったことを思うと、どうにも割り切れないんだよね……。
『Ain't No Love in the Heart of the City』
現在もライヴでやり続けているWHITESNAKEの魂とでもいうべきナンバー。
ライヴでいろんなスーパーギタリスト達が弾くのを観たけど、
ミッキーとバーニーのコンビがいちばんグッとくる……。
ミッキーは現在、奥様とのバンドALI MAAS AND MICKY MOODY で活動し、バーニーはソロアーティストとして活動している。それぞれが相変わらず素晴らしい音楽をクリエイトしているし、彼らがWHITESNAKEに戻る可能性は限りなく低いと思う。そして、WHITESNAKEのニューアルバムも素晴らしい内容だったから、こちらも過去のメンバーとやる必要はなさそうだけど、もう『Still of the Night 』みたいな曲はやらなくてもいいんじゃないかなあ……。だからと言ってミッキーやバーニーともう一度、とは言わないけど。あ、KISSのポール・スタンレー がソウルやR&Bをカヴァーするツアーをやったように、デイヴィッドもブルーズやR&Bをカヴァーするツアーをやるっていうのはどうでしょう? ……そして、そこにミッキーやバーニーが一緒にいたら最高なんだけどな。
※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/
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