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第269回 洋楽編 STEVE STEVENS――強烈な個性を持ちながら裏方もなんなくこなす! 必殺仕事人スティーヴ・スティーヴンス
2020 / 09 / 15
コロナっていつ収まるんですかね......。そろそろライヴやりたいし、観にも行きたい。安心してライヴが楽しめる日がくるのはいつになるんでしょうか。さて、今回の音楽総研はスティーヴ・スティーヴンス をご紹介! 先日YouTubeで公開されたチャリティーイベント でスティーヴの姿を久々に観て、この人のことはまだ書いてなかったなあ、と思いまして。 ビリー・アイドル 『Flesh For Fantasy』 『Top Gun Anthem』 STEVE STEVENS ATOMIC PLAYBOYS 『Atomic Playboys』
スティーヴ・スティーヴンスはニューヨーク出身のギタリスト。ビリー・アイドル やMÖTLEY CRÜEのヴィンス・ニール などの大物シンガーとの共演で知られているほか、スタジオミュージシャンとして、マイケル・ジャクソンをはじめとする数々の一流アーティストの作品に参加しています。なかでも、トム・クルーズ主演の『トップガン 』のサウンドトラックに収録された『Top Gun Anthem 』はグラミー賞を受賞! とんでもない経歴だよね。
俺がスティーヴのことを知ったのは、彼がビリー・アイドルのバンドにいたころで、83年か84年ぐらいだったと思う。ビリーはソロアーティストなのに、ギタリストがやたらと目立っているなあ、と不思議に思ったのをよく覚えています。当時の俺はまだ小学生で、ロックを聴き始めたばっかりだったし、ソロアーティストにも相棒のような存在のギタリストがいたりすることがあると知るのは、まだまだ先のことでした。ビリー・アイドルにしても、楽曲は気に入っていたものの、ルックスはパンクっぽいのにサウンドはニューウェイヴっぽい、でもそのわりにスティーヴのギターはハードロックっぽい......と、ロック初心者の俺にはよくわからない存在だったので、スティーヴのことはなんだか気になる人、程度の認識だったなあ。
ビリー・アイドルはどの曲にしようか迷ったんだけど、スティーヴの特別扱いがわかるこの曲を。
このギターシンセ欲しかった!
そんな俺のスティーヴに対する認識がガラッと変わったのは、先に書いた『Top Gun Anthem』を聴いてからのこと。キャッチーなメロディも印象的だったけど、スティーヴのハードロックテイストあふれる派手なソロを聴いて、こんなに弾ける人だったのか! と、びっくりしたんだよね。当時、あの曲を聴いて驚いたギターキッズは多かったと思うよ。俺はあれでビリー・アイドルのバックの人、ではなく、凄腕ギタリストのスティーヴ・スティーヴンス、として認識したし、やっぱりハードロック畑の人だったと確信して、ハードロック好きの俺はなんだか嬉しかったな。
映画好きの方には懐かしい曲じゃないでしょうか。このギターソロには衝撃を受けました。
ビリーのバンドを脱退したスティーヴは、マイケル・ジャクソンの大ヒットアルバム『Bad 』に参加し、『Dirty Diana 』のPVにも出演。ビリー・アイドルだって十分にスターだったけど、マイケルは世界一のスターだったわけで、とんでもなく出世したなあ、と驚いたっけ。しかも、スティーヴらしい派手なソロや、トレードマークのおもちゃの光線銃を使ったプレイもしっかりとフィーチャーされているし……。しかしスティーヴはマイケルのバンドメンバーにはならず、自身の名前を冠したSTEVE STEVENS ATOMIC PLAYBOYS を結成し、89年にアルバムを発表。
ATOMIC PLAYBOYSはペリー・マッカーティ のヴォーカルも良かったし、スティーヴがここまで思い切りハードロックをプレイしているのを聴いたのはこのバンドが初めてだったから、こういうのが聴きたかった! って、すごく興奮したよ。ジャズやフラメンコの要素までも取り入れつつ、近未来っぽい世界観がスティーヴにぴったりで、すごく将来性を感じたんだけど、残念ながらこのアルバム1枚で解散。そして、このバンドの後にスティーヴはHANOI ROCKSのマイケル・モンロー やサミ・ヤッファらとバンドを組み、またしても驚かされました。……だって、絶対に合わなそうだし。
このバンド、カッコ良かったんだけどなあ......
JERUSALEM SLIMと名付けられた新バンドは、メンバーの豪華さも手伝ってかなりのニュースになったものの、MÖTLEY CRÜEを脱退したヴィンス・ニールのバンドにスティーヴが引き抜かれ、デビュー前にあっけなく消滅してしまう(数年後に制作途中だったというアルバム が発表された)。HANOI ROCKSの解散のきっかけにもなったヴィンスとの因縁にため息が出る思いだったけど、まあ、スリージーなR&RバンドだったHANOI ROCKSのメンバーと、スタジオミュージシャンタイプでテクニカルなスティーヴの相性はやっぱり良くなかったと思う。そして、ヴィンスとのコンビも結局アルバム1枚のみ で解消したスティーヴは、それ以降ソロアルバム を発表したり、様々なプロジェクト に参加しつつ、ビリー・アイドルのバンドに復帰。まあ、それがいちばんいい気がするね。
誰の曲でギターを弾いても、それがたとえマイケル・ジャクソンであっても、すぐにスティーヴだとわかるギターはやっぱり凄いし、スティーヴがバンドを渡り歩くのはスタジオミュージシャンやバックミュージシャンではなく、表に出る一人のアーティストとして活動したいからこそだったと想像しているんだけど、バンドに留まる様子はないんだよね。かといってソロ活動に積極的なわけでもなく......、うーん。そろそろ新作も聴きたいぞ。
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