ikkieの音楽総研

第291回 洋楽編 Måneskin ―― 新時代を築く、新世代ロックスター誕生の予感!

2021 / 07 / 20

またしても悲しいニュースが飛び込んできました。7月14日、CINDERELLAのギタリスト、ジェフ・ラバー が亡くなったとのこと。現時点では死因は明らかにされていません。ジェフはこのところあまり表舞台に立っている印象はなかったけど、58歳でまだまだ若かった。健康であれば、またCINDERELLAや他のバンドでの活動を耳にすることもあったはず。ジェフはライヴのパフォーマンスがカッコいいんだよね。また日本に来てほしかった……。残念でなりません。俺の少年時代のヒーローたちがどんどん亡くなっていく……。

……さて、気を取り直していきましょう! 今回の音楽総研は、1956年から開催されているという、欧州のアーティストが参加して行われるユーロビジョン・ソング・コンテストで今年優勝し、一躍世界中のロックファンから注目されることになったイタリアのMåneskin をご紹介! デンマーク語で月光という意味のバンド名は、日本語ではいまのところ“マネスキン”表記のようだけど、本人たちの発音を聞くとマとモの間のようにも聞こえるし(発音記号を調べると“モ”が近そう)、いつか“モネスキン”に変わるかも。……と、そのくらいまだまだ謎が多いバンドですが、まあ、カッコいいんだよね! 失礼ながら、ロック後進国だと思っていたイタリアからこんなバンドが登場して、大いに驚いております。

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Måneskinは2017年にデビューしたイタリア、ローマ出身のバンド。メンバーはダミアーノ・デイヴィッド(Vo)、トーマス・ラッジ(g)、イーサン・トルキオ(ds)に、紅一点のヴィクトリア・デ・アンジェリス(B)の4人。メンバーの平均年齢はなんと20歳......ということは、デビュー当時 はまだ10代だったのか。

公式プロフィールによると、彼らが影響を受けたアーティストはブルーノ・マーズ ARCTIC MONKEYS RED HOT CHILLI PEPPERS から、元ONE DIRECTION ハリー・スタイルズ ……と幅広く、そのラインナップの通り、音楽性も一筋縄ではいかず、ロックと言い切るのも難しいくらい。影響元に挙げられていたアーティストの中だと、ARCTIC MONKEYSに直接的な影響を受けていそうだけど、それでも彼らに似ているわけではない。ユーロビジョン・ソング・コンテストで披露された『Zitti E Buoni 』(なんて読むのかわからん)はグラムロック的な薫りがぷんぷんするし、いわゆるクラシック・ロックにも影響を受けていそうだ。

『Zitti E Buoni』
グランプリを獲得したユーロビジョン・ソング・コンテストの映像。イタリア語のロックってありだね

 


その『Zitti E Buoni』をラジオで聴いたのが、俺の彼らとの出会い。サイケな薫りもするグラムロック的なギターリフに「お、カッコいいな」と思っていたら、一言もなんと歌っているのかわからないイタリア語のヴォーカルにびっくり。久しく英語以外の洋楽を聴いていなかった耳に響く、イタリア語と聞いてイメージする通りの巻き舌で歌われるダミアーノのヴォーカルがなんとも新鮮だった。また、そのダミアーノの粘り気のある低音のヴォーカルがなんとも色っぽくてね。すぐにスマホアプリのShazamで、誰の曲なのかと検索していました。

バンド名が判明してYouTubeで動画を探してみると、件のコンテストの動画がいくつかヒット。すぐに観てみると、ダミアーノ以外のメンバーには少々垢抜けなさというか、(俺がおじさん故に)若さ故の微笑ましさも感じるものの、全員にロックスター然とした華がある。とくにダミアーノには現時点で十二分にロックスターとしてのオーラがあった。これは売れるでしょう! と思ったら、本国イタリアではアルバムがチャート1位を記録し、ダブルプラチナムを獲得、ヨーロッパツアーでは14万人を動員しているという。ヨーロッパではすでにブレイクしていたのね。失礼しました。ユーロビジョン・ソング・コンテストの優勝以降は、アメリカや日本でもSpotifyのチャートで1位を獲得、これは化けそうだ......!

『I Wanna be Your Slave』
この曲は英詞。誰かに似ているようで誰にも似ていない……

 


ポピュラーミュージックの世界において、ワールドワイドに成功するアーティストは、やはりどの国の出身であっても英語で歌っていることがほとんどだ。それにならってか、Måneskinにも英語で歌っている曲がいくつかあるけど、なぜかあまり英語に聴こえないんだよね。発音がイタリア風なのか、歌い方がイタリア風なのか……、早口で歌われる楽曲にはヒップホップやレゲエの影響がありそうなのに、そうは聴こえず、純イタリア風に聴こえる。日本人アーティストが英語で洋楽的な楽曲を演奏しても、どこかオリエンタルに聴こえるという話を聞いたことがあるけど、Måneskinにもそれは言えるのかもしれないなあ。ただ、それがマイナス要素かというとそうではなくて、逆にプラス要素になると思う。英詞は増やさず、このままイタリア語メインでやるほうがいいんじゃないだろうか。

『Zitti E Buoni』
日本語字幕バージョン発見! こんなこと歌ってたのか

 


コロナが終われば、きっとフジロックやサマーソニックでの来日があるだろう。そうすれば、日本でももっと人気が出るはずだ。久しぶりに世界的なロックスターが登場しそうな予感にワクワクしている!

 



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