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第321回 洋楽編 OZZY OSBOURNE ―― 帝王、オジー健在! 豪華ゲスト参加のニューアルバムをリリース
2022 / 09 / 20
台風14号、心配ですね......。俺が住んでいる東京は今のところそれほど大きな影響はなさそう......と思っていたら、地下鉄の駅が冠水して、長いこと運転が見合されていたみたいです。暴風域に重なる地域はかなり被害が出始めているみたいだし、これ以上大きな被害が出ないことを祈るばかりです。みなさま気を付けて! ......さて、今回の音楽総研は、2年ぶりにアルバムをリリースしたオジー・オズボーンについてあれこれと。ニューアルバム、凄くいいです!
9月9日に全世界同時発売された『Patient Number 9 』(患者番号9番という意味らしい)は、オジーのソロアーティストとして12枚目のオリジナルアルバム(全曲カヴァーのみのアルバム も含めるとスタジオアルバムとしては13枚目)。先行リリースされたタイトルトラックでもあるシングル『Patient Number 9』にはジェフ・ベックが参加しており、一聴してそれとわかる個性的なソロを披露しているほか、BLACK SABBATHのトニー・アイオミ 、長年オジーのバンドに参加していたザック・ワイルド、PEARL JAM のマイク・マクレディにくわえて、なんとエリック・クラプトンという豪華なレジェンドギタリスト達が参加。
リズム隊には前作にも参加していたRED HOT CHILI PEPPERS のチャド・スミス(Dr)、GUNS N’ ROSESのダフ・マッケイガン (B)のほか、METALLICAのロバート・トゥルヒーヨ(B)、JANE’S ADDICTION のクリス・チェイニー(B)、今年3月に50歳という若さで亡くなってしまったFOO FIGHTERS のテイラー・ホーキンス(Dr)という、こちらも豪華なメンツがオジーのために集まった。
『Patient Number 9』
ジェフ・ベック参加のタイトルトラック。誰と書いても、誰が弾いても......オジーだ......
プロデュースは前作に続いてアンドリュー・ワット が担当。アンドリューは31歳という若さだけど(オジーの子供たちより若い)、昨年のグラミー賞でプロデューサー・オブ・ザ・イヤーを獲得するという逸材で、数々のヒット作を手掛けている。オジーは前作でのアンドリューの仕事ぶりが気に入り、今作でも彼とタッグを組んだとのこと。今作の作風は前作『Ordinary Man 』を踏襲しており、それまでのオジーのアルバムと比べるとメロウ(!)な楽曲もあって、少しヘヴィさが減っているように感じるけど、とにかくキャッチーな歌メロが印象的だ。まあ、メロディはオジーが書いているのか、いつも通りのオジー節ではあるんだけど、アンドリューのプロデュースの妙か、不思議とこれまでのどの曲にも似ていないし、2022年リリースにふさわしい現代的なサウンドでもある。そして、73歳という年齢が信じられないほど、オジーの歌声がこれまでと変わらないんだよね。
オジーにはここ何年かずっと健康不安説があって、パーキンソン病であることを公表しているほか、今年に入って大きな手術をしたというし、コロナにも二度感染している。今作に伴うインタビューでの口調が、こちらの想像以上に体調が悪いのでは、と思わせるほどに弱々しくて驚いてしまったんだけど、先に書いたように歌声には力がある......。オジーは「アンドリューは何度も歌い直させないのがいい」とインタビューで語っていて、これは単にオジーがそういうやり方が嫌いなだけかもしれないけど、オジーの体調を考慮して、という側面もあったのかも。いずれにせよ、それが功を奏したのか、オジーの歌声には活力があって、健康不安説なんて信じられないほど。
『Degradation Rules』
BLACK SABBATHのトニー・アイオミ参加。トニーがオジーのソロアルバムに参加するのは今回が初!
そして二人が揃うと一気にサバスっぽくなるね
豪華なギタリスト陣についても書いておくと......、うーん、ザック・ワイルドとトニー・アイオミ以外はそれほど相性が良くないのでは(悪くはない)、というのが正直なところ。その二人とオジーの相性の良さは百も承知だけど、いかにベックやクラプトンのプレイが素晴らしくても、聴きなれたザックの熱いプレイが聴こえてくると、「この音が足りなかった!」と思っちゃったんだよなあ。そして、前作同様、オジーのアルバムなのに、キラーリフがないな、とも。トニーが参加した曲は彼が書いたリフなのか、「おお、サバスだ!」と感じるカッコよさはあるんだけど、それ以外はどうも......。アンドリューはリフよりもメロディや全体のアレンジを重視する人なのかな。楽曲の完成度の高さは文句なしに一級品だけど、そこだけが少し寂しい。......まあ、俺がギタリストだから気になるだけで、そうでない人は気にならないかも。長年のオジーファンの難癖みたいなもんだと思って聞き流してくださいな。
『Nothing Feels Right』
ザック・ワイルドが参加。今のところこの曲がいちばん気に入っています。ライヴではやらなさそうだけど(笑)。
ザックのソロが聴こえてくると「これこれ!」ってなるよね
オジーは今作に伴うライヴに前向きだという。前作もコロナ禍や自身の体調の悪化のせいでツアーがキャンセルされているし、いい曲ばかりが揃った前作の楽曲も、まだライヴではプレイされていない。前作と今作の充実した内容を思うに、そりゃオジーもライヴでやりたいよね。こちらももちろん大歓迎だし、日本にも来てほしい! ただ、オジーの健康状態を思うと、無理はしないでね......とも思います。オジーの創作意欲はまだまだ衰えていない、それがわかっただけでも十分です......。
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