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第326回 洋楽編 MICK MARS ―― ミック・マーズ、ツアーからの引退を発表! この機会にあらためて過小評価に物申す
2022 / 11 / 29
11月24日、25日と、Instagramで知り合ったフランスのアーティスト、SUN のライヴを観に行ってきました(この原稿が書けたら27日にも行く予定)。コロナ禍でライヴが出来なくなって、SNS やYouTube での活動に力を入れ始めたころに「カッコいい人がいるよ!」とうちのシンガーが見つけてきて、フォローしてみたらすぐにフォローバックしてくれたんだよね。それでDMやコメントでやり取りするようになったんだけど、その彼女たちが日本でライヴをやると聞いたので、喜び勇んで出かけてきました。実際に観たライヴはネットで観るより10倍くらい迫力増しで凄くてね、ライヴはやっぱり生で観ないとな、とあらためて感じた次第です。しかし、英語がもうちょっと話せるようにならないとなあ。向こうが話していることは9割くらい聞き取れるのに、気の利いた返しがすぐに出来ない。ミュージシャン同士、もっと深い話もしてみたかったし……。※この原稿を書いている最中に27日のライヴの前にお茶することになったので、原稿を書きつつ、慌てて英語での問答を想定したりしています。
……さて、前置きが長くなりましたが、今回はツアーからの引退を発表したMÖTLEY CRÜEのギタリスト、ミック・マーズについてあれこれと。
今年の10月にMÖTLEY CRÜEのギタリスト、ミック・マーズが長年患っていたという強直性脊椎炎のために、ツアーからの引退を発表しました。ライヴを観に行くと、ミックはもう何年も前からステージ上手の定位置からほとんど動かず、他のメンバーのように首を振ったりもしなかったから、やっぱり病気のせいで動けないのかな、とは思っていたし、ラジオで引退のニュースを聞いたときも、残念だけど仕方ないか……と、比較的冷静には聞いていたかな。それでも、そんなに深刻な状態だったとは思っておらず、その点については、すごくショックでした……。
以前にも書いたけど、80年代、ミックはなぜか下手なギタリストの代名詞のように扱われていてね。これに俺は以前から異を唱えていて……、ミックはテクニカルではないだけで、実際にはすごく巧いギタリスト。ルックスだけを真似たようなMÖTLEY CRÜEのフォロワーには、たしかに初心者かと言いたくなるような下手なギタリストが大勢いたけど、ミックは違う。楽曲の肝となる印象的なリフや、心に残るフレーズをたくさん編み出してきている。これはその辺の下手なギタリストには絶対に出来ないこと。……そういえば、80年代当時はMÖTLEY CRÜEはギターキッズからあんまり人気がなかった記憶があるけど、今にして思えば、それはミックがテクニカルなプレイヤーじゃなかったからなんだろうなあ。まあ、そんな時代だったとはいえ、過小評価され過ぎだよ。
ミックの凄さは、その音圧も含めた唯一無二のギター・トーンだったり、スライドバーを多用する個性的なスタイルだったりといろいろあるけど、とくに強調しておきたいのは、リズムギターのタイトさ! たとえば代表曲の『Live Wire 』……、映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』でも、他のギタリストとの違いとしてさりげなく描かれていたけど、あの速い曲をダウンピッキングで弾き切るのは至難の業で、ダウンで弾くかどうかでスピード感がまったく違うし、曲のイメージがガラッと変わるんだよね。個人的には、ミックのダウンピッキングは「ダウンピッキングといえばこの人!」というMETALLICAのジェイムズ・ヘットフィールドと比べても遜色ないと思っています。
『Live Wire』
デビューアルバムの1曲目! この曲を初めて聴いた時は衝撃だったなあ……。しかし、このリフをダウンで弾くの凄い
そして、それにくわえて、ミックのリズムギターには独特のグルーヴがあって(これはトミー・リー のドラムも重要だけど)、それがMÖTLEY CRÜEらしさに直結したりもしている。『Girls, Girls, Girls 』や『Dr. Feelgood 』のギターは一聴すると簡単そうなんだけど、ミックならではのあのノリはなかなか出せない。自分がやったバンドも含めて、MÖTLEY CRÜEのカヴァーバンドはたくさん観たけど、今挙げた3曲をカッコよくやっているバンドを観たことがない。他のパートはうまくカヴァーしていたとしても、みんなギターがイマイチなんだよなあ。ミックのギターって難しいんですよ、ほんとに。
『Piece Of Your Action』
バッキングやソロでミックらしいスライドのプレイが聴けます。
これ、昔はスライドバーで弾いていることに気付かず、
なんでこんなにねっとりしてるんだろ、なんて思っていました
今後のツアーでの代役は、マリリン・マンソン やロブ・ゾンビ などでの活躍で知られるジョン5 に決まったという。この代役、俺は予想が的中したんだけど、自伝映画でのミックのプレイはジョン5が担当していたというから、実力は申し分ない。そして彼のゴスっぽいルックスも意外とMÖTLEY CRÜEにハマるだろう。でもまあ、ミックのギターが無いとかなり印象が変わるよね……。ただ、ミックはツアーには参加しないとはいえ、音楽活動から引退するわけではなさそうだし、MÖTLEY CRÜEの新曲が発表されるようなことがあれば、そこにミックも参加しているはず! 以前レコーディングしていると話していたソロアルバムだっていつか聴けるよね? どちらも近いうちに聴けることを期待してるよ、ミック!
『Dr. Feelgood』
ミック以外にこの曲をカッコよく弾いている人を見たことがない。シンプルでも難しいんだよね
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