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第328回 邦楽編 NEMOPHILA ―― 待望のセカンドアルバムリリース! 2023年、さらなる飛躍の予感......!
2022 / 12 / 28
先日、初めて内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)を受けてきました。十二指腸の辺りに少し荒れている様子が見られたものの、もともと調子が悪かった胃なんかは問題がなくてひと安心……だったんですが、鎮静剤がめちゃくちゃ効いてぐっすり寝てしまい、検査中の記憶がまったくなくてね。起きてから内視鏡で撮った写真を見せられても、「これほんとに俺の胃か?」と、ずっと半信半疑でした(苦笑)。……年末年始にまた暴飲暴食して、また胃カメラ、なんてことのないように気を付けます。皆さまもご自愛を。さて、今年最後の音楽総研は、先日リリースされたNEMOPHILAのセカンドアルバムについてあれこれと。あ、そういえば去年のラストも今年の一発目もNEMOPHILAだった!
12月14日、NEMOPHILAのセカンドアルバム『Seize the Fate 』がリリースされました。リリース以降、もう何度聴いたかわからないくらいヘヴィローテーションしていますが……、いや、このアルバム凄いよ! 先行配信されていた4曲のうち、ハラグチサン(B)が作曲した『Style』が個人的にはなかなかの問題作で、こういうミクスチャー方面に振られると俺の好みからは外れてしまうなあ……なんて不安も若干あったんだけど、ファーストで提示されたNEMOPHILAらしいハード&ヘヴィな側面は十二分に継承されていて、そんな心配は無用だったうえに、これまで以上にキャッチーでポップな楽曲があったり、葉月 (G)作曲のスケールの大きなバラードや、前作 以上にブルータルな楽曲もあったりと、意外なほどにバラエティに富んだ内容で驚いた。
NEMOPHILA 2nd ALBUM「Seize the Fate」[Teaser]
セカンドアルバムのティーザー動画。
どれもカッコいいけど、4曲目の『Back into the wild』が俺のフェイヴァリットです!
RED DRAGON CARTELの『Speedbag』をちょっと思い出すかも......?
また、前作はプロデューサーの秋山健介氏の曲が多かったけど、今回はメンバーのペンによる楽曲が大幅に増えていたのもまた嬉しい驚きだった。秋山氏の楽曲は文句なしにクオリティが高く、それが(メンバーそれぞれにキャリアがあったとしても)スタートして間もないバンドの個性をより際立たせていたように思うけど、今回のバラエティに富んだ幅広い音楽性は、5人のメンバーそれぞれがソングライティングに関わったことも影響していると思うし、彼女たちの個性や実力を前作以上に示すことも出来たのではないだろうか。
初めて聴いた時にまず衝撃を受けたのは三味線と能楽師による謡(うたい)が大きくフィーチャーされた和風メタルの『炎天 -ENTEN-』で、この曲はSAKI (G)が作詞と作曲を担当している。こういうアレンジは下手をするとコミカルにも聴こえかねないように思うんだけど、三味線と謡の凄みもあいまって、他では聴けない迫力を感じさせる楽曲だ。これはぜひライヴで聴いてみたいけど、1曲だけのために能楽師と三味線奏者がツアーに帯同するのは難しそうだし、音源と同期するのかな。もちろんその二つが無くても十分魅力的な楽曲なんだけど。
『Seize the Fate』
アルバムタイトルトラック。NEMOPHILAならではの疾走感がいい!
俺が不安を感じてしまった『Style』を書いたハラグチサンは、『ZEN』も書いていて、これもまた凄いなと感じた楽曲だった。メタルコアというのか、どえらくヘヴィなリフで押しまくり、mayu(Vo)の歌にいたってはスクリームのみという振り切りっぷり。ハラグチサンは前作の『HYPNOSIS』しかり、今作の2曲しかり、アルバムの中でもアクセントになる楽曲を書くという印象だ。
名曲ぞろいの今作の現時点での俺のフェイヴァリットは『Back into the wild』で、これはむらたたむ (Dr)が書いている。彼女にはポップな楽曲やテクニカルな楽曲が得意そうなイメージを持っていたので、失礼ながら、この曲のようなオーセンティックなハードロックが彼女の作曲なのは意外だった。しかも、こういう曲がなかったから狙って書いたとのことで、狙って書けるというのもまた凄い。そして、mayuの歌がまたハマっている。mayuが叫ぶだけのシンガーでないことは、もうファンの誰もが知っていることだと思うけど、アップテンポのいわゆるNEMOPHILAらしい楽曲だけでなく、こういうクラシックロック的な楽曲でのmayuの歌声をもっと聴きたいねえ、なんて思っていたら、続く『Rock'n'Roll Is?』がより王道なロックソングで、これまた素晴らしい。
『A Ray Of Light』
名曲!
アヴリル・ラヴィーン あたりがやりそうなポップ・パンクの『Waiting for you』は、NEMOPHILAの"ゆるふわ"なかわいらしさがよく出ていて、ライヴで盛り上がりそう......なんだけど、この曲と『ZEN』や『炎天 -ENTEN-』が同じバンドの楽曲で、同じアルバムに入っているというのが凄いね。それでも、(曲順の良さもあるにせよ)まったく違和感はないし、その違和感のなさは、NEMOPHILAの演奏に個性があるからで、さらにmayuの歌声が聴こえれば、それはもうNEMOPHILAだと感じさせる域に来ているからじゃないかな。セカンドアルバムにして早くもその域! 凄いぞ。
......さて、もっともっとこのアルバムの魅力を書きたいところだけど、とりあえず今回はこの辺で(いつも葉月のことがあまり書けない......)。個人的には、この年の瀬に今年のベストアルバムが登場したと興奮した大名盤なので、未聴の方はぜひ聴いてみてくださいね! 2022年は、NEMOPHILAにとって大きく飛躍した年だったと思う。前にも書いたとおり、「大化けの可能性あり」というのは大当たりだったでしょ? 来年はもっと凄いことになると思うよ!
(文中敬称略)
※新年最初の掲載は1月10日の予定です。また来年お会いしましょう!
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