ikkieの音楽総研

第331回 洋楽編 MR. BIG ―― ついに活動再開! 大きな期待とほんの少しの不安......

2023 / 02 / 07

鮎川誠さんが亡くなられましたね......。鮎川さんは日本でいちばんカッコいいギタリストだと思っていました。憧れていたレジェンド達がどんどん亡くなっていく。本当に残念です......。

......気を取り直していきましょう。今回の音楽総研は活動再開を表明したMR. BIG! 久しぶりの嬉しいニュースでした。

mrbig.jpg
MR. BIGはVAN HALEN加入の噂もあった実力派シンガー、エリック・マーティンと、そのVAN HALENを脱退したデイヴ・リー・ロスのバンドで脚光を浴びていた技巧派ベーシストのビリー・シーン 、80年代のギターヒーロー群雄割拠の時代に世界最速と目されていたポール・ギルバートに、ロバート・プラント のバンドやIMPELLITTERI などでの活躍で知られていたパット・トーピーの4人で結成されたハードロックバンド。超絶技巧で知られていたビリーとポールがいることで、その2人を前面に出したテクニカルなサウンドかと思いきや、エリックのソウルフルなヴォーカルを中心にしたブルージーな楽曲も多く、ファーストアルバム『Mr. Big 』が出た時はかなりの衝撃を受けたことをよく覚えています。


『Addicted To That Rush』
この曲を初めて聴いた時はまさに度肝を抜かれました。
弦楽器コンビの超絶技巧も凄いけど、なによりエリックの歌声に驚いた!

 


MR. BIGは、日本ではデビューしてすぐに人気に火が付いたものの、世界的にブレイクするのはセカンドアルバム『Lean Into It 』からシングルカットされた『To Be With You』が全米チャートのナンバーワンを獲得してからでした。ただ、個人的に今でもよく聴くのは『Mr. Big』で、リリース当時はこんなにカッコいいのになんで日本以外じゃ売れていないんだろう、なんてことを思っていたものだけど......まあ、今にして思えば『Mr. Big』は少々粗削りではあるし、セカンドアルバム以降のほうが楽曲の完成度は高く、一般的に受け入れられやすいというのもよくわかる。たしかにいい曲ばっかりだしね。

『To Be With You』
この曲は不思議と全然古く聴こえないなあ。名曲はいつまでも色褪せず......

 


サードアルバム 以降はグランジ・オルタナ系アーティストの隆盛もあり、本国アメリカでの人気は残念ながら持続しなかったようだけど、日本での人気は相変わらず高く、メンバーチェンジ、解散を経てのオリジナルメンバーでの再結成は日本武道館を始め、全国ツアーも大盛況。それ以降もアルバムが出るたびに来日し、海外アーティストのツアー規模が縮小されていくなかでも変わらず大きな会場でやっていたから、ファンとしてはこのまま順調に活動してほしいと思っていたんだけど......、2018年にパットがパーキンソン病の合併症により亡くなってしまう。......ああ、偶然だけど、この原稿の掲載日はパットの命日だった......。

パットが亡くなって以降、活動を休止していたMR. BIGがついに再始動する。これはすごく嬉しいニュースではあるんだけど、パットのドラムが大好きだった俺にとっては、少々複雑でもあります。音楽総研でも何度か書いたけど、ドラマーが替わると違うバンドかと思うほどサウンドが変わってしまうことが多いんだよね。後任はまだ公表されていないけど、ビリーやエリックが「誰もが知っているドラマー」、「パットと同じ(歌の)高い音域をもっている」といったことを話しているから、有名で歌も歌えるドラマーらしい。4人のハーモニーはMR. BIGの大きな魅力だったし、歌えることを重要視するのはよくわかる。


『Wind Me Up』
パットのドラムがほんとに気持ちいい。いちばん一緒にやってみたいドラマーでした......

 


歌も歌える(現役の)ドラマーといえば、まっさきにNIGHT RANGERケリー・ケイギー が浮かんだけど、まあ、ケリーはないな。MR. BIG的なテクニカルなドラムは叩かなそうだし、NIGHT RANGERも忙しそうだし。ケリー以外だとJOURNEYディーン・カストロノヴォ 、ビリーの人脈からマイク・ポートノイ 、ビリーとのB'z 繋がりでブライアン・ティッシーなんかも候補になっていそう......だけど、その誰もがパットっぽいドラムを叩かなそうなんだよなあ。パットが影響を受けていたLED ZEPPELINのジョン・ボーナム的なプレイをするということであれば、LED ZEPPELINのトリビュートをやっているブライアン・ティッシーが近いかもしれないけど、個人的にはWHITESNAKEでのブライアンのプレイにあまり好感を持っていなかったこともあって、何か違うと思ってしまう......。とりあえず挙げた3人の中では歌の上手さで言えばディーンが一番、バンドとの関係の深さはマイク、プレイで言えばブライアンかなあ。大穴でKISSのエリック・シンガーってのはないかな。エリックのドラムならMR. BIGにフィットしそうなんだけど。

ただまあ、彼らに限らず、海外のドラマーには「実は歌が上手い」なんて人がたくさんいそうだし、まったく別の意外なドラマーかもしれない。もっと若い人の可能性もある。パットは俺のフェイヴァリット・ドラマーの一人で、パットがいないMR. BIGにはすごく違和感を覚えそうだと今から心配しているけど、エリックによれば「新しいドラマーはパットの大ファンで、オーディションのビデオでパットの叩き方やチューニングを手本にしているのがわかった。パットも彼を認めると思う」とのことだから、そう心配をすることもないのか......。しかし、誰が叩くにせよMR. BIGの活動再開が嬉しいことには変わりはない。来日公演は絶対に観に行くぞう!
 

 


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