ikkieの音楽総研

第337回 俺らの音楽編 A Guitarist Who Can Sing Well ―― 名ギタリストにして名シンガー、天が二物を与えた男たち

2023 / 05 / 02

前回、IRON MAIDENのことを取り上げて、あらためてギタリストのエイドリアン・スミス の楽曲が好みだということに気付いたんですが、エイドリアンって実は歌も上手くて、自身のバンドやプロジェクトではヴォーカルも兼任しているんですよね。その辺りも、エイドリアンが俺好みのキャッチーなメロディを生み出すことに繋がっていそう。楽器で書くメロディと自分で歌って書くメロディには違いがあるような気がするし、歌が上手いほうが、よりヴォーカル向きのメロディを書けそう......というのが俺の持論。まあ、必ずしも、歌が上手い=メロディを書くのが上手い、とはならないんだけども。

そんなわけで、今回の音楽総研は、ギタリストなのに歌が上手くて驚いちゃった、というギタリストをご紹介! ただ、いかに歌が上手くとも、Y&Tデイヴ・メニケッティ ジョン・メイヤー のように、最初から歌うギタリストとして登場した人は省きますね。あくまで、実は歌も凄かった、という人だけです。

まずはやはりエイドリアン・スミスを。初めてエイドリアンの歌声を聴いたのは、IRON MAIDENのシングル『Wasted Years 』のB面に収録された『Reach Out 』でした。これね、エイドリアンの歌がいい、って噂を聞いて借りてみたんだけど、BON JOVIブライアン・アダムス か、ってくらいの爽やかなポップソングで、まずびっくり。そして、その爽やかな曲に乗るエイドリアンの歌が意外なほど上手くて、またびっくり。しかし、衝撃度合いは歌声よりも楽曲のポップさのほうが上でした。ソロプロジェクトのA.S.a.P ではリードシンガーとしてアルバム全編で堂々たる歌唱を披露。A.S.a.Pもキャッチーなハードポップサウンドで俺はけっこう気に入っていたけど、IRON MAIDENのファンにはあまり評判がよくなかったような。そしてエイドリアンはバンドを脱退......。IRON MAIDENには1999年に復帰しているけど、2021年に突如リッチー・コッツェン とのプロジェクト、Smith/Kotzen をスタート。この組み合わせは意外すぎて驚いちゃったけど、相性は抜群で、アルバムの内容も素晴らしい! そして、リッチー・コッツェンもまた、ギタリストなのにとんでもなく歌が上手い人です。


Smith/Kotzen 『Scars』
IRON MAIDEN時代の『Reach Out』のころより、さらに磨きがかかったエイドリアンの渋いヴォーカルが堪能できます。
リッチーの歌もカッコいい! そして、エイドリアンのギターってブルージーなんだよね。その辺も俺好みです

 


続いて紹介するのはザック・ワイルドオジー・オズボーンのバンドを脱退後、1994年に結成したPRIDE & GLORY でのザックの歌声には本当に驚いた! サザンロックへの憧憬がたっぷりとつまったこのアルバムで聴けるザックの歌声は、グレッグ・オールマンを彷彿とさせるパワフルかつソウルフルなもので、ザックの風貌にはぴったりだったけど、ここまで歌える人だとは誰も思っていなかったんじゃないだろうか。ザックはPRIDE & GLORYの解散以降、現在までBLACK LABEL SOCIETY でヴォーカルとギターを兼任しています。

PRIDE & GLORY 『Horse Called War』
いやー、カッコいい。こんなに野太い声で歌ってみたいもんです。ザック、またこんなバンドやってくれないかな

 


続いてはジョン・サイクス! 世界中で大ヒットを記録した名盤『Whitesnake 』の立役者であるにも関わらず、リリース前に解雇されるという憂き目にあったジョンはBLUE MURDERを結成し、ヴォーカルも兼任することになった。当初は専任シンガーを入れるつもりでいたものの、バンドにフィットするシンガーが見つからず、仕方なくジョンが歌うことになったらしい。しかし、WHITESNAKEデイヴィッド・カヴァデールTHIN LIZZYフィル・ライノット のいいとこ取りをしたようなジョンのヴォーカルは、仕方なく歌ったようにはとても聴こえず、こんなに歌えるならジョンが歌えばいい、と誰もが納得したはず。個人的には、BLUE MURDERでのジョンのヴォーカルを聴いて『Whitesnake』のコーラスを歌っていたのはやっぱりジョンだったと確信し、なんだか複雑な気持ちになったりもしました。こちらの想像以上にジョンの貢献度は高かったんだろうな、と......。

ジョン・サイクス 『Bad Boys』
WHITESNAKE時代の楽曲をジョンのヴォーカルで。
ギターだけ弾くのも難しい曲なのに、軽々と歌まで歌っちゃうのほんとに凄い(音と手が合ってない気もするけど)。
ちなみにこの時のリズム隊はWHITESNAKEのトミー・アルドリッジとマルコ・メンドーサで、
ジョンのバンドに参加したのがデイヴィッドにバレてWHITESNAKEをクビになってしまうという......

 


そして最後はやはりこの人、リッチー・サンボラです! リッチーの歌が凄いことはもはや世界中のロックファンが知っていそうだけど、たぶん、『Wanted Dead or Alive 』を聴くまでは気付いていなかった人が多いよね。少なくとも俺はそう。しかし、『Wanted Dead or Alive』を聴いて、度肝を抜かれるとはこういうことか、と実感するほど驚いちゃった。ソウルフルで伸びやかなリッチーの歌声は、ジョン・ボン・ジョヴィに勝るとも劣らないほど魅力的で、存在感が凄かったんだもの。そして、満を持して発表されたソロアルバム は、ギタリストが歌ってみました、などというレベルではなく、シンガーとしてのリッチーの歌声を堪能できる素晴らしい内容で、ますますファンになったよ。先に挙げた他のギタリストたちも文句なしに歌が上手いけど、個人的には"ギタリストの歌"という域を超えていないようにも感じています。でも、リッチーの場合はそうではなく、シンガーとして純粋に凄いと思う。ただ、リッチーの歌を聴いていると、ジョンの歌が聴きたくなってくるんだよね......。

リッチー・サンボラ 『The Answer』
ファーストソロアルバムに収録の名バラード。リッチーの歌声、沁みる......!

 


さて、今回ご紹介したのは、もはや歌うギタリストとしての地位を確立している人たちばかりなので、なにも意外なところのない人選になってしまったように思うけど、それぞれの歌声を初めて聴いたときはやっぱり衝撃的だったんですよ。ミュージシャンなら誰もが歌も上手い、なんてことはまったくなくて、彼らのように歌えるギタリストって、実は稀有な存在。......味がある、って人はけっこういるけども。


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