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第338回 俺らの音楽編 ―― 嫉妬心はもう消えた! 100%リスペクト、音楽にも才能を発揮した芸人たち
2023 / 05 / 16
先日、何年振りかに小田急線に乗る機会があったんだけど、頭の中ではずっと「次は代々木八幡、代々木八幡でーございまー、ドア閉まりま」と、とんねるずの『バハマ・サンセット』の冒頭のセリフが流れていました。『バハマ・サンセット』、いい曲なんだよね。......さて、今回の音楽総研はいつもと趣向を変えまして、芸人さんの音楽活動についてあれこれと! 俺のお気に入りの曲をいくつか紹介してみようかな。
はじめに告白しておくと、俺には、テレビなんかのいわゆる企画ものとして発表されるお笑い芸人の曲がとても苦手な時期がありました。20代のころかなあ。人気があるからって、たいして歌唱力もない芸人がふざけて歌っている......なんていう認識だったし、それにくわえて、こっちはまったく芽が出ないのに、という嫉妬心もあったと思う。でも、今となっては、エンターテインメントとして純粋に楽しめるようになりました。歌が上手い人も多いしね。企画ものだろうとなんだろうと、いいものはいい! ......あ、ギター漫談とか、歌マネみたいなのはまた別で、それはなんだか尖っていた20代のころでも大好きでした。
さて、まずはやっぱりとんねるずの『バハマ・サンセット』を。正確には『バハマ・サンセット(New Version) 』になるのかな。この曲はとんねるずが1985年に発表した『成増 とんねるず 1番 』に収録されていて(シングル『一気』に収録されたバージョン とは歌詞が異なる)、歌詞には石橋貴明の地元である板橋区の成増と、木梨憲武の地元、祖師ヶ谷大蔵のお店の名前なんかが登場するんだよね。当時、金沢に住んでいた俺にしてみれば、それどこやねん、て感じだったけど、ウエストコースト風のアレンジ(というより、矢沢永吉の『時間よ止まれ 』風?)が爽やかで、ノスタルジックな曲調もとても気に入っていました。東京に住むようになって、路線図なんかで成増や祖師ヶ谷大蔵という地名を目にした時は「おお、ここがあの!」って感動したなあ。まだ尖りだす前の中学生のころに聴きまくった曲です。
とんねるず 『バハマ・サンセット(New Version)』
コミックソングではあるけど、とんねるずの曲は一流どころが作っているからクオリティがめちゃくちゃ高いんだよね
続いてはビートたけしの『浅草キッド 』。......この曲は音楽総研で紹介せずとも、もはや全国民が知っているような曲かもしれないし、たけしなら『哀しい気分でジョーク 』や、玉置浩二 が作曲した『嘲笑 』みたいに他にもいい曲があるけど、やっぱりこの曲がいちばんのお気に入りです。『浅草キッド』はツービート結成前の相方との思い出が綴られた楽曲で、なんとたけし本人が作詞と作曲を担当している(たけし軍団のグレート義太夫がたけしの歌う鼻歌にコードを付けて仕上げたという)。たけしはけっして上手いシンガーではないけど、味のあるしゃがれ声が実に魅力的で、心が揺さぶられる。同名の小説 もおすすめです。漫才、歌、小説に映画......ほんとに多才な人だよねえ。
ビートたけし 『浅草キッド』
沁みる......! グレート義太夫さん、ギター上手いよね
続いては藤井隆の『ナンダカンダ 』。この曲は浅倉大介 が作曲していて、当たり前といえば当たり前だけど、やたらとクオリティが高いんだよね。俺は浅倉大介のaccess をほとんど聴いたことがないから、最初はTM NETWORK みたいだな、なんて思ったんだけど、浅倉大介はTM NETWORKのサポートメンバーだったこともあるし、小室哲哉 ともたくさんコラボレーションしているみたいだから、俺の感想もそう的外れではなかったのでは......。そして、今回あらためて藤井隆の楽曲をあれこれと聴いてみたところ、こちらの想像以上に本格的なアーティスト活動をされていたようで、ちょっと驚いてしまった。......うーん、紹介するのは『ナンダカンダ』のつもりだったけど、それ以上に気に入ってしまった『You Owe Me 』に変えちゃいます。俺は打ち込みユニットをやっているくせにこの手のサウンドに疎いんだけど、ハウスなんかのダンスミュージック的なアプローチで、めちゃくちゃカッコいい。これ、知らずに聴いたら藤井隆だと気付かないんじゃない? いやもう、凄いなこの人。
藤井隆 『You Owe Me』
この曲めっちゃカッコよくないですか。アルバムの他の曲も凄くいいから、ぜひ聴いてみて!
最後はマキタスポーツ。マキタスポーツは"作詞作曲ものまね"という、長渕剛 など、そのアーティストが書きそうな曲や、ビジュアル系などのアーティストが書いた風の曲を作るネタをやっていて、先に挙げた人たちとはちょっとニュアンスが変わってくるんだけど、まあ、凄いのでぜひ聴いてみてください。なかでもおすすめはLUNA SEA あたりが書いたようにしか聴こえない『お母さん 』。ビジュアル系なのにお母さん! 朗々と歌い上げるロマンティックなヴォーカルメロディだけでなく(低音でしゃくるのも忘れない)、やたらと多いキメだったり、やり過ぎ一歩手前のエフェクティヴなギターのクリーントーン、どこかで聴いたようなギターソロ......、もう拍手したくなるくらいのそれっぽさ! とんでもなく緻密に作り上げられているけど、だからこそ......なのか、笑えるんだよね。ビジュアル系が好きな人にこそ、ぜひ聴いてもらいたいな。
マキタスポーツ 『お母さん』
なんだこの曲(笑)。アレンジもマキタスポーツなのかな? コーラスもめっちゃそれっぽいよねえ
さて、今回は4人の芸人さんを紹介しましたが、ROCKETMAN 名義で長く音楽活動をしているふかわりょうや、ジェニーハイ のメンバーとして活動している野生爆弾のくっきーと小籔千豊など、ミュージシャンとしてかなり本格的に活動している方が他にもたくさん。彼らにとって音楽は本業ではないのかもしれないけど、もっともっとやってほしい、なんて思ってしまいます。......うん、嫉妬心はもうなくなった。
※文中敬称略
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