ikkieの音楽総研

第370回 洋楽編 Jack Russell ―― 追悼ジャック・ラッセル 素晴らしい歌声をありがとう......

2024 / 08 / 20

8月15日、GREAT WHITEのオリジナルシンガーで、JACK RUSSELL’S GREAT WHITE を率いて活動していたジャック・ラッセルが亡くなりました。ジャックのことは前回の音楽総研に書いたばっかりだったのに……。実は今回、別の原稿を用意していたんですが、追悼の意を込めてまたジャックのことを書かせていただきます。ジャックはほんとに凄いシンガーでした。

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ジャック・ラッセルは、1978年に長年のパートナーとなるマーク・ケンドール(G)と共にDANTE FOXを結成し(何年か前に当時のデモ音源集 がリリースされてびっくりした)、GREAT WHITEに改名したのち、1983年に自主制作のミニアルバム『Out of the Night』でデビューしています。翌1984年にはセルフタイトルのフルアルバム『Great White 』でメジャーデビューを果たすも、セールス不振のためにレコード会社からドロップされてしまう。しかし1986年リリースの『Shot in the Dark 』がスマッシュヒット、以降はリリースされたアルバムが連続して100万枚を超えるセールスを記録し、大成功を収める。俺がGREAT WHITEのことを知ったのは『Shot in the Dark』がリリースされたころだったと思うけど、初めて聴いたのはその次のアルバム『Once Bitten 』がリリースされた後でした。

高校生だったか、まだ中学生だったか......、洋楽の訳詞なんかを書いていた翻訳家の西森マリーさんのラジオで『Gonna Getcha 』を聴いたのが俺のGREAT WHITE初体験。年末か年始のスペシャルだったような記憶があるから、中3の冬休みとかだったかもしれない。マリーさんが「わたしのラジオは他じゃ聴けないような曲をかけますよ」と話していたとおり、今思えばなぜその曲を、という選曲ではあったものの、なんだかクセになるメロディラインが気に入って、カセットに録音したその曲を何度も繰り返し聴いていました。当時はYouTubeもSpotifyもないし、ラジオは重要な情報源だったんだよね。新聞やFM雑誌でこの時間にロックがかかるぞ、なんて情報を仕入れては、ラジカセの前で録音ボタンに指を置いて待機していたものです。懐かしい。あのカセット、探せばまだあるはず。

『Gonna Getcha』
なぜだかクセになる不思議な曲です
 


当時のロック雑誌では『Once Bitten』に収録された『Rock Me 』の評価がやたらと高くて、これは聴いてみないと、とアルバムも聴いてみたんだけど、『Rock Me』はブルージーと聞いて想像していた泥臭いサウンドではなく、より都会的でアダルトな実に渋い楽曲で、「これはカッコいい!」と興奮しつつも、『Lady Red Light 』や『All Over Now 』のようなスピード感もありつつ、切ないヴォーカルメロディを持った楽曲により強く惹かれたんだよね。『Rock Me』に比べるとブルージーさは少々低めだったけど、俺もまだまだ若かったし。でも、こういった楽曲もまた、GREAT WHITEの魅力だと思う。

『All Over Now』
こういう切ないメロディがGREATWHITEの大きな魅力でした
 


大ヒットした『Once Bitten』に続く『Twice Shy 』は“Once Bitten, Twice Shy”という英語のことわざ(一回嚙まれると二回目は用心深くなる)があるように、二部作とでも言うべき双子のような作風だったけど(完成度は『Twice Shy』が上だと思う)、その次の『Hooked 』はさらにブルージーさが増し、ハードロックというよりもブルーズロックと呼んだほうがよさそうなサウンドでした。音楽的な好みも成熟してきていた俺にはど真ん中の作風で、当時はほんとによく聴いていたなあ。ただ、少々おとなしくなったと感じた人もいるようで、よりハードなサウンドを求めていたファンには不評だったような記憶も(このアルバム以降はグランジ&オルタナムーブメントの隆盛もあり、人気も低迷していくんだけど……、そのあたりのことは前に書いているので、そちらを読んでみてください)。でも、いいアルバムですよ! 『Hooked』は俺のフェイバリット。このアルバムに伴うツアーでは彼らの二度目の来日公演があって、俺は彼らのライヴをようやく生で観ることが出来たんだよね。

『The Angel Song』
バラードを歌わせると、この世代のシンガーの中ではナンバーワンだったんじゃないかな……
 


ジャックの歌はソウルフルだとかエモーショナルだとか評されることが多くて、それはたしかに間違いないんだけど、実はかなりテクニカルなシンガーでもあって、バラードでは感情を込め過ぎずにあえて抑えて歌っている、なんてことをインタビューで話しており、なるほど、と感心したことがある。感情や勢いだけで歌うのではなく、冷静に発声や歌声をコントロールしているのか、と。だからこそ伝わりやすい、ということがあるのかもしれない。生で観た時はその歌声にとにかく圧倒されたし、鳥肌が立つほど感動したけど、ジャックにしてみればしてやったり、だったのかもしれないなあ(笑)。

ジャックは過去にドラッグやアルコールの問題があったと聞く。その長い活動の中で、ライヴ会場で火災が起こり、たくさんの人が亡くなる大変な事故もあった。そして、大きな病気にもなってしまった。なんでそんなに、というほど、辛いことが起こったのに、それでもずっと歌い続けていたジャック。あの歌声が失われることを知ったとき、いったいどんな気持ちだったろうか。ジャックが大切な家族や友人たちと、少しの間でも穏やかな時間を過ごせていたならいいんだけど……。

『Afterglow』
SMALL FACESのカヴァー。こういう曲でのジャックの優しい歌声も大好きでした……
 


ジャックは引退表明の際に、「俺の夢を実現させてくれてありがとう」と、ファンへや友人たちへの感謝の言葉を述べていたけど、ファンだった俺からもジャックへの感謝の言葉を伝えたい。素晴らしい歌声をありがとう。……ジャック、早過ぎるよ……。

My heartfelt condolences to you and your family.
Thanks for all the great singing you have done. I will miss you, Jack!!
R.I.P.




※ikkieのバンド、Antlionのシングルがリリースされました!
ストリーミング&ダウンロードはこちらから
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