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インタビュー/記者会見
『チェ 28歳の革命』『チェ 39歳 別れの手紙』ソダーバーグ監督、チェ役のデル・トロ来日記者会見!
20世紀最大のカリスマの美しき39年を描く"生"と"死"の2部作、『チェ 28歳の革命』と『チェ 39歳 別れの手紙』。スティーヴン・ソダーバーグ監督とチェ役を演じたベニチオ・デル・トロが来日し、明治大学アカデミーホールで学生を交えた記者会見を行いました。
Q:「ラウル・カストロ役にブラジル人の役者(ロドリゴ・サントロ)を起用した理由をお教えください。
監督:もっとキューバ人の役者を起用したかったんだけど、これ以上は法的に無理だった。 その他の役者はキューバの市民権を持っている人でないと、この国で撮影をすることができなかったんだ。残念なことだけど。
Q:『チェ 28歳の革命』ですが、ハバナに入る前で映像が終わった意図をお聞かせください。
監督:その質問がでるということは、僕の映画作りが失敗したということかな...(笑)。
この映画で選んだ素材は2つの軍事行動の部分。取り上げなかったのは、映画にとってはあまり関係ない部分だったから。優れた知性と行動力を備えたチェという男を描く上では、この選択にしたんだ。
Q:役どころとの共通点はありますか?
デル・トロ:彼は真実を求める人で、僕らも彼をどう描くかということに真剣に取り組んだんだ。そこが似ているところかな。
Q:演じるにあたってこだわった点は?
デル・トロ:最初はプロデューサーからも「チェに似てる」と言われたんたけど、本当に彼に似せることにこだわり続けたら正気を失っていたと思うよ。確かに、似させることはできる。でも、彼は実際に存在した人間だから、彼そのものになりきることは不可能なことなんだ。だから僕は俳優として、演技に専念した。学んだことを自分の解釈で投影してみて、あとは監督と編集スタッフに任せたよ。
Q:2部作ということで、まったくスタイルの違う作品でしたね。
監督:監督というのは2種類いると思う。1つは、いつも1つのスタイルで作る監督。もう1つは、ストーリーに合わせてスタイルを変える監督。自分は後者ですね。 1作目は、キューバ革命についてチェが書いた本をもとに、勝者として革命に勝利し、高いところから俯瞰している彼を描いた。2作目は彼の残したボリビア日記をもとにしたんだけど、こっちはそうした、距離を置いたところから全体を見るという視点は欠如していて、彼自身、次の日に何が起こるかわからない。そうした状態で書かれた日記なので、観客をハラハラさせ、何らかの脅威を感じる手法がいいと思ったんだ。
Q:リーダーに必要なものは何だとお考えですか? ハリウッドのリーダーにはなりたいですか?
デル・トロ:まず、「聞く」ことだね。人の話に耳を傾けること。そして必要ならばすぐに行動に移すこと。
ハリウッドのリーダー? うん、いいんじゃないかな(笑)。
Q:もしチェ本人がこの映画を観たら、どう感想を持ってもらいたいですか?
デル・トロ:彼か喜んでくれたら...というのはおこがましいけれど、僕たちの努力は認めてもらえるんじゃないかな。 実際に彼を知っている人たちに話を聞いたということ、そして彼の書いたもの、書かれたものをいろいろと読んで、史実に忠実に作った努力を誇りに思ってくれたら...とは思うよ。
監督:彼が生き返ったら、この映画を観ることなんかよりもっとマシなことをして欲しいと思うよ(笑)。そして、もし東京に来たらリッツカールトンホテルに泊まって欲しい(笑)
確かに、彼が今のこの世界に戻ってきたらどう思うかというのは、多くの人が考えるところだろうね。この映画に、もしも彼の幽霊がこの世界を見たらどう思うかというシーンを入れようと考えたこともあるけど、でも実際に映画としてどのようにできるかどうか。結果、このアイデアは機能しそうになかったから諦めたんだ。
Q:マスコミからの質問はここまでで、ここからは明治大学の学生さんからの質問に移りましょう。 ここで明治大学のOBである、大仁田厚さんを司会に迎えましょう。
大仁田:僕もチェのファンです。 では、学生さんからの質問に参りましょう。
Q(学生):20歳の頃には、どんな夢を持っていましたか?
監督:すでに映画を作っていて、7年だったよ。大学生だったけど学校には行ってなかったな。僕はとてもラッキーだった。若い頃に自分が本当にやりたいことを見つけることができたし、それを家族も支援してくれた。ルイジアナで生まれ育ったからエンタメ業界に知り合いはいなかったから、やることは一生懸命やることだけ。そうしているうちらチャンスが来ると信じて努力していたよ。
デル・トロ:僕はちょうど、俳優になりたいと決めた頃だね。みんなにも好きなものを追ってほしい。20歳ごろというのは、自分の夢にロマンを持ち、いろいろなことを決めるのに最適な時期。僕はその頃は家族の応援は得られなかったけど、みんなは是非、好きなことに突き進んでいって欲しいよ。
Q(学生):映画作りの信念がありましたらお聞かせください。
監督:観客が、映画を観る時間を価値あるものと思って欲しいということだね。例えば本の読者が、本を読む前とあとで「自分は変わった」と思うようにね。
Q(学生):昔、日本でも学生運動がありましたが、今の学生はとてもクールです。そんな学生に何かメッセージは?
デル・トロ:ものごとというのは「何かが必ず決まっていて、こうしなければいけない」ということはない。何かが違うと感じたら、黙するのではなく、声をあげて欲しい。この世界はまだまだ変わっていけるんだからね。
監督:改革したければ行動することだね。そのためには仲間も必要だよ。それから、何かを批判するのであれば必ず「代替案」が必要だということ。60年代は、反対だけして「こうしよう」というアイデアが何もなかったからね。
大仁田:じゃ、最後の質問を。 あれ? 君、格闘家の石井くん?
石井:はい、明治大学4年、石井慧です。 お2人は今まで、革命を起こしたことはありますか?
監督:まだです(笑)。
デル・トロ:俳優になると決めてから、家族との軋轢があった。それが僕の革命だね。
大仁田:得意の石井節、なんか言ってよ。
石井:それは考えてなかったんで...。帰ってからゆっくりこの映画を観て、勇気づけられて格闘技がんばりますので、応援よろしくお願いします。
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、ジュリア・オーモンド、 カタリーナ・サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ
公開:『チェ 28歳の革命』1月10(土)より 日劇PLEXほか全国ロードショー
『チェ 39歳 別れの手紙』1月31日(土)より 日劇PLEXほか全国ロードショー
公式サイト:http://che.gyao.jp/
ジャンル:洋画
シネマピア映画記事:http://www.asobist.com/entame/cinemapia/0132.php
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エンタメ : インタビュー/記者会見 記:林田 久美子 2009 / 01 / 13