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インタビュー/記者会見
『東京写真研究倶楽部』
「写真で遊ぶかぁ!」というところから始まり......。
写真家・高井哲朗インタビュー
現在、東京都港区にある高井写真研究所にて、定期的に開催されている『東京写真研究倶楽部』。その魅力について、広告写真界において数々の受賞歴を持つ写真家・高井哲朗氏に話を聞いた。
最初は、写真関係の学校等で、講演会やワークショップを開いていました。回を重ねるうちに学生たちがスタジオに遊びに来たいというようになって、そのあたりがきっかけになり「写真で遊ぶかぁ!」ということで始まりました。
勉強会をするつもりはなく、かといってサロンにするつもりもない。もともと自分が写真を学校で覚えるよりも友人同士で遊びながら覚えていった経験があったので「遊びの中から、楽しみながら知らない間に覚えちゃう!」そういった感じにしたかった。
もうちょっとこうしたいなって思ったときに、いろいろなジャンルのプロのカメラマンや、レタッチャー、メイク、スタイリストがその場にいれば、相談できるし、情報交換もできる。
ライティングなどは、最初のセッティングをする程度で、後は各々で動かしていますね。慣れてくると最初からセッティングする学生さんもいます。写真をプロとして活動している人、これから始めようとしている人、写真に関係ない人などいろいろな人々が集まって、楽しく写真を遊んじゃっています。
テーマを決めて撮影したこともあります。ある時のテーマが『動き』ということで、髪がカリフラワーのように“ボーン”と舞うような写真を撮影しましたが、仕掛けをしている人までが写真に写っちゃって(笑)、でもそれが面白い写真になったりします。
モデルさんは、倶楽部に参加されている人たちの中から、カメラマンがモデルになったりと、その場の雰囲気で入れ替わりで撮影しています。普段、撮られなれていない人でも、ストロボが焚かれ撮影が進むと表情が変わってきます。そこがまた面白い。同じ被写体でも撮影者が違うと、まったく違った作品になりますしね。みんなでワイワイと子供の遊び場のようになっています。
最近では、商品撮影もしています。自分の作品を持ち込み撮影してDMに使用したりする人もいますよ。
土曜日の倶楽部では、カメラマン志望やメイク・スタイリスト志望の学生さんが多いので、メイクをしてのモデル撮影もあります。また、参加されているプロのカメラマンに撮影していただける、ラッキーなときもありますよ。
最初は月に1回のペースで開いていましたけど、それが2回、3回と増えて、現在はお休みのときもありますけど、金曜、土曜、月曜と週3回のペースにまでなっています。現在、100人以上のメンバーが在籍しており、毎回違ったメンバーがグルグル動く、そういった面白味もあります。10人程度の固定したメンバーで教室を開いてもつまらないでしょう。人がワイワイとお祭りみたいなところが好きです。
最近の学生さんはガツガツとした感じはありませんけど、テーマをあたえるとしっかりと撮りますね。学生さんにとってギャラリーがいる中での撮影は、かなりプレッシャーじゃないかな?(笑)
『東京写真研究倶楽部』に参加されている学生さん、そしてとライティング、レタッチ等でアシストをしてくれる高井写真研究所スタッフ・東さんに倶楽部について話を聞いた。
東京モード学園 メイク学科3年
岩永朋子さん
倶楽部の雰囲気は、とても自由な感じですね。学校だとクラスメイトにメイクをしますが、ここではいろいろな方が参加されていますので、メイクの幅も広がり、とても勉強になります。プロのカメラマンさんなど、ふだんあまり交流のない方とも、お話が出来るのでとても楽しいです。ライティングも本格的なのでイイ感じに撮影していただけます。ナチュラル系が多いですけど、モデルさんのイメージにあわせて、髪を遊んでみたりもします。撮る人でライティングがまったく違う場合もありますので、ひとつの作品でいろいろなタイプの写真が仕上がり、それも魅力のひとつです。フランスに留学することが将来の夢で、モード系ファッションショー、コレクションのヘアメイクをしていきたいです。
日本大学芸術学部 写真学科
小暮和音さん
写真家さんやプロのカメラマンさんなどが撮影されることもあり、とても勉強になります。また、写真を本格的に勉強されてない人が、モデルさんと会話をしながら表情を引き出していたり、びっくりさせられることもあります。自分が撮影するときは、後ろにたくさんのギャラリーがいて、あまり経験のない私としてはプレュシャーがかかり緊張しますね。もう「ヤバイ! ヤバイ!」といった感じでした(笑)。でも、その経験が今は生きていて大勢の中での撮影もこなせるようになりました。モデルさんにのまれてしまうこともありますけど、それもまたイイ経験です。将来は広告写真のジャンルに進みたいですね。また、作家活動もしていきたいです。
日本大学芸術学部 写真学科
小柴託夢さん
学校では同世代としか接することがないので、ここではいろいろな方とお会いでき、とても楽しいです。ふだんは使えない高価なカメラや機材が使用できることも魅力です。高井さんと出会えて、商品撮影の価値観が変わりました。今では人物撮影よりも好きになっています。ここでは、商品をメインに撮影させていただくことが多く、ライティングなど、とても勉強になります。まだまだですけど、高井さんに褒められたときなどは、とても嬉しい。将来はレタッチもできるカメラマンになりたい。ここでたくさんのことを勉強させていただいています。
フォトグラファー
東 謙次さん
この倶楽部は“写真を楽しもう”ということだけで、後はなにも決まっていない。最初は戸惑いましたけど、会員用のノートに自分の顔写真を載せようというところから始まりました。参加された方々がお互いを撮影するといった感じでしたね。だんだん回が進むにつれて、今のようにヘアメイクをしたり、商品撮影や花の撮影をするようになりました。学生さんは、初めは見ているだけでしたけど、経験を重ね今では機材の場所から使い方まで把握していて、「スタッフじゃないの?」って思うほどです。プロのカメラマンさんは、参加されている学生さんに仕事のアシスタントを頼んだりと、そういった交流の場にもなっています。現場を知ることがいちばんの勉強になると思います。
(インタビュー写真撮影/中村うらら)
『東京写真研究倶楽部』
■場所
高井写真研究所
東京都港区白金1-16-6 ストーク白金B1
TEL 03-3441-8893 FAX 03-3473-6033
http://www.kenkyujo.co.jp
■会費
¥3000
(ひやかし¥1000)
パシリ・見学は無料
■2012年6月の予定
6/4,11,18,25(月)14:00〜22:00
6/8,15,22,29(金)14:00〜22:00
6/9,16,23,30(土)14:00〜22:00
高井哲朗(Tetsuro Takai)プロフィール
1978年 フリーとして活動。
1986年 (株)高井写真研究所設立。現在広告写真を中心に活動中。
■受賞歴
1984年 第20回 広告部門 APA賞受賞 (Kodak E-6ポスター)
1987年 第29回 雑誌広告賞受賞(AMEX Gold Card)/第7回 ラハティ ポスタービエンナーレ 第1位(New Basics ポスター)
1988年 第22回 広告部門 APA賞受賞(Uyedaジュエリー雑誌広告)
1989年 第30回 クリオ賞 プリント部門受賞(ハワイアントロピカルポスター)U.S.A
1992年 第35回 The Newyork Festivals Finalist Award (Kodak雑誌広告)
2002年 第30回(社)日本広告写真家協会公募展 APA 奨励賞受賞
2003年 第31回(社)日本広告写真家協会公募展 APA 奨励賞受賞
2007年 第35回(社)日本広告写真家協会公募展 APA 奨励賞受賞
■個展開催
1989年 東京•大阪 コダックフォトサロン
1993年 ベルギー アントワープ Galerie24/インド ポンペイ CPA'S Piramal Gallery
1996年 スコットランド グラスゴー MNS Photogallery
1998年 デンマーク ハーニング Denmark Photo Museum
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エンタメ : インタビュー/記者会見 記:尾崎 康元(asobist編集部) 2012 / 05 / 31