インタビュー/記者会見

【ボートレース】年末の風物詩"決定戦"スタート(その1)
黒須田守の「賞金女王決定戦の見どころ」

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(撮影・中尾茂幸)
――早いもので12月も半ばとなりました。年の瀬を感じさせるイベント事は数多くありますが、公営競技であるボートレースでは「賞金王決定戦」、そして「賞金女王決定戦」という総決算のレースが行なわれます。「あそびすと」には『旅ゆけば博打メシ』を連載中の、ボートレース誌『BOATBoy』の黒須田守編集長がいるわけですし、今回はそのレースについてうかがいたいと思います。
黒須田●はい、よろしくお願いいたします。
――まず、この“決定戦”はどのようなレースなのでしょうか。
黒須田●「SG賞金王決定戦」は今年で28回目を迎えます。毎年1月1日から11月下旬に行なわれる「SGチャレンジカップ」の最終日、ここまでの獲得賞金ランク12位までの選手が出場できるレースです……って、去年のインタビューでも言いましたけれど、キミは当然知っている話だと思うとわざわざ言っているのがバカバカしいな(笑)。
――そうですね(笑)。まあ、その件はインタビューを再読していただきましょう(笑)。
黒須田●まあいいや(笑)。現在のボートレーサーは約1600人ですから、その上位12人しか出られない狭き門のレースであり、その優勝賞金は1億円です。これは公営競技では競輪の「競輪グランプリ」と同額で、国内公営競技でプレイヤーが1レースで受け取る額としては最高額です。
――補足しますと、競馬では「ジャパンカップ」の1着賞金が2億5000万円だったりしますが、騎手の取り分としては5%、1250万円ということになります。
黒須田●そして、ボートレースには女子の選手もいます。女子選手も全体の上位12位にさえ入れば賞金王決定戦にも出られますが、現在までで出場した選手はいません。そんな中で、女子選手版として昨年から始まったのが「GI賞金女王決定戦」です。選出方法は女子選手限定というだけで、賞金王決定戦と同じ。優勝賞金は1000万円になります。
――ボートレースは6人で1レースを行ないますが、破格の優勝賞金に手が掛かる“優勝戦”に乗れる6人はどうやって選ぶのでしょう。
黒須田●ボートレースは開催の最終日、最終レースの優勝戦へ向けて、開催中の“予選”や“準優勝戦”を勝ち上がることで優勝戦への出場選手を決めます。これはどんなグレードの開催でも基本は同じです。これら決定戦の場合は、各選手3回のトライアル(予選)を走り、着順点の合計で上位6人が優勝戦に進出できます。なにせ1億円ですから、そのトライアルから激しいレースになるのは当然ですね。……ところで、賞金王決定戦も賞金女王決定戦も来年から大きくシステムが変わりまして、上位12人というのは今年までになります。そのお話しはまた来年、でいいですかね?
――そうしましょう。それではまず賞金女王決定戦についてのお話しです。

急上昇中の女子選手たち、そこを勝ち抜いた12人

第2回賞金女王決定戦12月12日(木)トライアル初日11R
1,金田幸子 2.三浦永理 3.長嶋万記 4.海野ゆかり 5.鎌倉涼 6.守屋美穂

第2回賞金女王決定戦12月12日(木)トライアル初日12R
1,平山智加 2.日高逸子 3.寺田千恵 4.山川美由紀 5.谷川里江 6.高橋淳美
※出走表は主催者発表の物とご照合ください

――福岡県のボートレース芦屋にて今日、12月10日から開幕するのが賞金女王決定戦(注・同時に行なわれる「賞金女王シリーズ」が10日に開幕、上位12名の決定戦は12日からスタート)です。
黒須田●はい、そんなわけでいまは芦屋におります。その模様は『BOAT RACEビッグレース現場リポート』をご覧ください。
――さて、賞金女王決定戦についてですが、非常にバラエティに富んだ顔ぶれになったと思います。新鋭から中堅、そしてベテランまで……中でもベテラン勢が幅を利かせている気がするのはこれまでも一緒の印象を持ちますが、それでも、今年は賞金ランク1位の若手選手が大仕事をやってのけています。
黒須田●平山智加(香川)ですね。1月に女子だけでない、男子のトップ選手もいる混合戦のGIレースで優勝を飾りました。
――女子選手による混合戦のGIレース優勝は、賞金ランク8位で選出されている山川美由紀(香川)以来、14年ぶりの快挙です。
黒須田●はい。平山の優勝の価値がまた高いのは……山川の優勝ももちろんスゴいのですが、山川の場合は「GI四国地区選手権」という、四国地区の丸亀、鳴門が地元という選手だけが出られるGIなんですよ。たとえば昨年の賞金王決定戦を優勝した山崎智也(群馬)など、他の地区の有力選手は出られないんです。
――ただ、平山が優勝した「GI近松賞」というのは……。
黒須田●ボートレース尼崎が毎年1回行なうGIで(現在は「尼崎センプルカップ」に改称)、トップ選手が参集するレースです。ここで優勝したというのは――極端なボートレース黎明期に優勝の記録はあるようですが――ほぼ史上初と言っていい快挙です。そりゃ『報道ステーション』でも取り上げられますよ、という快挙(笑)。
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快挙! 男子選手とのGIレースを制した平山智加
(撮影・中尾茂幸)
――私も観ました、それ(笑)。
黒須田●そんな選手が1位で登場なんですから当然注目ですけれども、おっしゃるとおり非常にバラエティに富んだ12人なのは間違いないですね。
――大ベテラン組である12位選出の高橋淳美(大阪)は、13位に付けていた新鋭の宇野弥生(愛知)が、対象となる最後のレースで1着なら逆転というところまで追い詰められましたが、凌ぎ切って出場を決めました。
黒須田●そうですね。非常に見応えのある最終議席争いでした。で、いまのボートレース業界ですが、非常に大きな女子選手、そして女子レースのブームが来ていまして、それだけに注目されて選手たちのモチベーションも上がる、活気のある状態なんですね。
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人はこの大選手を“グレートマザー”と呼ぶ。日高逸子
(撮影・中尾茂幸)
――そういう状態のときに、全体のレベルが上がったりするんですよね。
黒須田●そうですね。現在、女子選手は約180人いますが、たった180人の中に、ものすごいタレントが揃っているってことが改めてよくわかりました。田口節子(岡山)という選手、彼女は女子の中でトップクラス、いや、ハッキリ言ったらトップだと思います。しかし、その田口が今年12人の中に入れなかった。田口が落ちたというだけでなく、先ほど名前が挙がった高橋を含めて過半数の7人が昨年は選ばれていない選手で、それは女子選手たちがドンドン力を付けている、レベルが上がっていることに他ならないですよね。それは若い選手だけでなく、いまだに4位で出てくる52……年齢、言わないほうがいいかもしれませんが(笑)、52歳の日高逸子(福岡)にしたって同じです。
――選手層が厚くなっていっている中、そこでのトップ12人の争いになるわけですね。
黒須田●はい。12日からの賞金女王決定戦だけでなく、今日から開幕した賞金女王シリーズも、そこに入れなかったタレントたちが出ているわけです。それこそ54……大を越える超ベテラン、「女子王座決定戦」を3連覇した実績がある鵜飼菜穂子(愛知)などもシリーズ戦には出てきます。みなさんには一節間を丸々楽しんでいただきたいと思いますね。
――しかしまあ、繰り返すようですがどの世代からファンになった人にも楽しめる12人ですね……。
黒須田●うん。ホント、それはそうだなあ……。
――そんな中で黒須田編集長の注目の選手というのは……。

注目選手は全員!? ただその中で優勝予想は……

黒須田●選べないよねえ(笑)。難しい。もちろん1位の平山ってのは言えるのだけれども……。
――そうですよねえ。
黒須田●個人的に名前を挙げるなら、長嶋万記(静岡)なんですよ。
――今年、6位で選出されていますね。
黒須田●もう完全に個人的なことなんだけれど、弱いときから知っている……というかわりかし近い関係にあったんですよね。イベントのゲストに来てくれたりして。
――それこそ長嶋が最初に出た女子王座のとき、もうボートレースの仕事をしてましたしね。
黒須田●そうそう、そんな選手が……って感じなのよ。『BOATBoy』にも「僕らの万記ちゃんが“長嶋万記”になった」って書いたくらいでね。まあいま、とにかく強いから。
――結婚して産休が終わってからメキメキ強くなりましたよね。
黒須田●昔から、“握って回る”って僕らは言いますが、アクセルレバーを緩めることなくターンマークを回っていく、そんな気持ちのいいレースばかりだったけれども、正直、ここまで強くなるとは思わなかった。いや、いつかなったかもしれないけれど、こんなに早くなるとは……ってホント思います。結婚前からA1(選手の最上位クラス)ではあったけれども、産休という大きなブランクになりえるものがそうならず、さらに強くなった。“ママさんレーサー”というドラマも含めて、やっぱり注目してしまいますよね。我ながらかなり個人的な意見ですが(笑)。
――いえいえ、『BOATBoy』ではあまり語られない、そういったインタビューだと思っておりますので(笑)。
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文才もあります、今年の女子王座を制した金田幸子
(撮影・中尾茂幸)
黒須田●まあ、それを言えば金ちゃんもそうだけどな(笑)。
――金田幸子(かなだゆきこ、岡山)、女子王座決定戦を制して2位で選出です。
黒須田●金田は『BOATBoy』で連載をしてくれていたわけですからねえ。それが女子王座を勝って出てくるんだからなあ。……だから、感慨を言えばね、守屋美穂(岡山、11位)や鎌倉涼(大阪、10位)なんて、僕らがボートレースの仕事を始めた後にデビューした選手が乗ってくるのもそうだし、ファンだったころからバリバリの高橋とか日高さんが乗ってくるのもそう。谷川里江(愛知、9位)が飄々とコース取ってきたりするんだろうなあ、三浦永理(静岡、3位)の連覇はあるのかなあ……なんて考えていたら、誰に注目したらいいかわからなくなるよね。
――楽しみな顔ぶれ、楽しみなレースになるのは間違いないですね(笑)。
黒須田●ホントにね。でも……優勝予想をするとなると、僕はズバリ海野ゆかり(広島)なんですけどね。
――……おお、“水上のタカラジェンヌ”海野、今年は7位ですね。
黒須田●今年はって言うけれど、海野は去年は12位までに入ってなかったんだよね。もともとの実績からしても海野は去年12位までに入ってなかったことのほうがおかしかったと思うけれども、最近になってデータを見てみるとやっぱり強いんだよね。マクリでもマクリ差しでも鮮やかだし、インはもちろん強い。総合力が高いことを再認識しましたよ。
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クロちゃんの優勝予想はこの人、
宮島が生んだスーパースター海野ゆかり
(撮影・中尾茂幸)
――今年は大活躍でした……ってイメージもないですよね。
黒須田●そう。たとえば女子王座を勝ったとか、寺田千恵(岡山、5位)のように女子最高勝率とかそう言った“なにか”があったわけじゃない。それでもちゃんと賞金女王決定戦に駒を進めてきたのは総合力の賜物ではないかな。
――ということは、賞金女王決定戦はシリーズ戦も含めて丸々楽しみ、女王決定戦は誰に注目するか目移りしながら、最終的に海野が優勝するのを見届けることにしますか。
黒須田●まあ海野の優勝というのは、かつて海野の追っかけみたいなことになっていたキミも望むところだろうしな(笑)。
――……それこそ個人的なお話しですね(笑)。懐かしい限りです、はい。……そんなところでありがとうございました。
黒須田●最後に繰り返しになりますが、注目点が多い、楽しい賞金女王決定戦になると思います。芦屋は場内の“B級グルメ”も美味しいですし、なにより黒崎には「エビス食堂」がありますので、どうぞレース場までいらしてください。アッキーナ(南明奈)も来るはずですから。
――そう、イベントとかもありますからね(笑)。では続いて賞金王……というところで紙幅が尽きてしまいました。続きは賞金王決定戦の開幕直前にいたしましょう!
黒須田●そのときもよろしく(ニッコリ)。











エンタメ インタビュー/記者会見   記:  2013 / 12 / 10

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