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インタビュー/記者会見
映画『リュウセイ』再上映決定!!
「作品を撮った僕も、一歩前に進もうと......」
谷健二監督インタビュー!
2013年11月にロケ地・長野県の松本シネマライツと長野千石劇場にて先行上映、2014年2月に都内港区の虎ノ門・発明会館ホールにて行なわれたイベント上映会を経て、新宿バルト9他で全国上映された映画『リュウセイ』。上映後に多くの反響があったことから、渋谷ユーロスペースにて12月6日(土)より2週間の再上映が決定した。その再上映を受けて、メガフォンをとった谷健二監督に、今回の映画『リュウセイ』についてはもちろんのこと、映画監督を目指したきっかけや今後の活動について、彼の経営する『BAR CUT』にて話を聞いた。
Q:まずは、影響を受けた映画や監督について教えてください。
谷監督:小学校のころはよく親に連れられて映画館に行っていました。『ゴジラ』(84年)、『グーニーズ』(85年)、『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』(85年)などが印象に残っています。地元・京都は河原町に映画館がいくつもあって、そこに出かけていました。ただ、中高生のころには、部活動に熱中していましたので、映画館に行くことはなくなりましたね。当時は『プラトーン』(86年)、『トップガン』(86年)、『カクテル』(88年)などのヒット作を3歳上の兄のビデオを借りて観るくらい。
その後、高校3年の後半になると部活も終わり、時間に余裕ができたこともあり、また映画を観るようになりました。そのころに観たクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』(94年)は衝撃的でした。日常会話がテンポよく、複数のストーリーと時間構成がシャッフルされていたりと、今まで観ていた映画とはまったく違って、とても斬新でした。「これも映画なんだ!」という驚きがありましたね。それまで映画を単なる娯楽として観ていたものの印象が変わりました。
それから、クエンティン・タランティーノ監督の作品はもちろん、デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』(95年)を始め、当時、新進気鋭といわれた監督の作品を多く観るようになりました。
Q:映画監督を目指したきっかけは?
谷監督:映画製作に興味があったこともあって、まずは東京に出てきました。就職せずに25歳までは、アルバイトで生計を立て、自主映画の手伝いなどに携っていました。その時には自分で監督として映画を製作するという考えはまったくなかったんです。ただ単に映画に携わりたくて。30歳になって、お金に余裕ができたことで、やっと自分でも映画を作ってみようかなと……。
映画製作を手伝っていたときに知り合った、映画プロデューサーの方に予算と大まかなストーリを伝えて撮影をしました。
当時、すでに30歳を過ぎていたので、それから映画を撮り始めるって、ちょっと“痛い人”ですよね(笑)。だから、とある映画祭に応募して、賞金を獲得するためにと理由づけをして製作することにしたんです。もちろん賞金も高額だったので(笑)。
谷監督:最初の作品は、ストリート・ミュージシャンの物語で、タイトルは『コンティニュー』(08年)。田舎から上京した人物が、夢を諦めて田舎に帰るか? どうするか? といった内容で、10分の作品にしました。そこで、とある映画祭の審査員の方から「今回の作品は落選はしましたが、私は応募作品の中でいちばん好きでした」とメールをいただき、その作品に出てくる若者の心情について、いろいろと感想が書かれていて、その文面をみて「これは、イケるのかな?」って思いました。それをきっかけに2本目となる『スレッド』(09年)の制作に……。
その後、年に1本くらいのペースで、仕事をしながら、10分から15分の作品を製作しました。作品を作るにあたって、自分の中に構想があって、1本目は自分の好きな物語で、2本目はコンペ入賞を目標にした作品、3本目はスポンサーをつけて、4本目は芸能プロダクションとコラボして、そして5本目ではその集大成といった作品にと、ステップアップしながら作品を作っていこうと考えたんです。
そして、次のステップは長編をと、それが今回の作品『リュウセイ』になります。
Q:今回の映画『リュウセイ』の企画案についてお聞かせください。
谷監督:もともと、晴彦(馬場良馬さん)の物語を短編作品で企画していて、借金をかかえた若者が田舎に帰るというストーリー。その企画が進まなかったこともあって、その話をベースに長編作品を作ろうと。初めての長編を撮るといったときに、ずっと短編を撮っていたので、そのノウハウを生かした作品にしたかったこともあり、三つの物語をオムニバス形式にして作り上げました。
Q:映画『リュウセイ』のテーマは?
谷監督:現在と過去、親と子、都会と田舎といった感じです。そこに、上京してきた人、上京して帰った人、ずっと田舎にいる人といった3パターンの物語を組み合わせて製作しました。自分自身と近いところをテーマに、青春映画ではなく、二十代後半の若者の次へのステップを描きたかった。夢に向かって突き進む若者ではなく、挫折を含めて生き方を模索して決めていく段階の若者ですね。
Q:三つの物語のキャスティングについてお聞かせください。
谷監督:いちばん最初に決まったのは遠藤要さん。彼の芝居を観た時に、この役にマッチしているなって。佐藤祐基さん・馬場良馬さんは、映画やドラマを観てチェックしていて、以前からいいなって思っていました。キャスティングについては、自分の作品の中の映像と照らし合わせて、マッチする人を選んでいます。事前に今までの作品をチェックさせていただいて、この人なら、この人物にあうかなと。その時点で想像がつかない人は使わないかな?
Q:今回の撮影でのエピソードは?
谷監督:最後の最後まで練るタイプです。現場に入ってからもまだまだ考えたりしています。ロケ場所を直前に変更したりもしました。最後に晴彦が絵日記を持ってくるシーンや享が貼るポスターは、前日に思いついて、美術さんに無理言って用意してもらいました。もともとの脚本にはなかったシーンです。セリフも現場で変えたりと、最後の最後まで粘り強く撮影しました。
Q:出演者からは、あまりNGはなかったとうかがいましたが……。
谷監督:やっぱり、いちばん最初の芝居が集中力も高く良い演技になると思っていますので、セリフを間違えたりとか物理的にNGの場合以外は撮り直しません。正直、編集時に悩んでしまう可能性もあるので、無駄に多くテイクを撮ることはありません(笑)。確か、晴彦と父親(四方堂亘さん)のクルマの中のシーンだけは、NGを出しました。もう少しこんな雰囲気でとその部分だけ注文をつけたと思います。あと、ラストシーンでの晴彦の父親のセリフは、編集時にすべてカットしてしまいした。あまりにセリフが良すぎて、さすがに父親がそんなところでそんなことは言わないかなと思ってしまったんです(笑)。
Q:次回作についてお聞かせください。
谷監督:ちょうど今、先日撮った短編を編集しています。もう1本、短編ではWEBムービーの制作も。長編では、年内になんとか1本を撮ろうと思っています。来年は、夏までに長編を2本撮りたいなと……。みなさん応援のほど、よろしくお願いします。
Q:では最後に、この場所『BAR CUT』を始められたきっかについてお聞かせください。
谷監督:今年の5月に長年勤めた広告代理店の仕事を辞めて、監督業に専念することにしました。『リュウセイ』という作品を撮って、3人の主人公が物語の最後に少し満たされて、一歩前に進むといったことと同じように、その作品を撮った僕も、少し満たされて、一歩前に進もうと思ったんです。お店は、映画人やクリエイティブな人が集まれる場所として提供できたらいいなという思いを込めてはじめました。そういった方々の情報交換の場になれば良いなとも思っています。みなさん、ぜひお越しください。
★オリジナルカクテル「リュウセイ」
12月6日(土)から再上映される、映画『リュウセイ』のチケット付きで1300円。
映画上映終了まで期間限定カクテルセットです。
※18日(木)最終日の前日まで販売
★最強レモンサワー
レモンサワーの名店・小岩『素揚げや』さんから教わってきました。氷の替わりに凍らせたレモンをたっぷり入れた清涼感漂うレモンサワーです。
『BAR CUT』
住所:東京都港区南青山6丁目13-18-105
電話:03-6427-4986
営業時間:20:00-1:00 土・日・祝日休み
※営業日・営業時間以外でもパーティなど各種予約承ります。
HP:http://seven-film.com/CUT/
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■ストーリー
12年前、夢や悩みを抱えながらも普通の高校時代を過ごした3人。偶然ある丘で出会った享(遠藤要)、竜太(佐藤祐基)、晴彦(馬場良馬)。流星(リュウセイ)を見ることが目的だった彼らは、翻って現在、それぞれの人生を歩んでいる。東京でキャバクラの送迎をしている竜太。バンドを辞め地元の居酒屋で働いている享。晴彦は一流企業で働いていたものの借金を作り、金を借りるために実家に帰省していた。そんなある日、彼らに少しだけ変化が訪れる……。
あの日、3人は流星を見ることができたのか? そして何を願ったのか?
監督:谷 健二
製作:河野正人
プロデューサー:赤間俊秀
協力プロデューサー:佐伯寛之/丸山昇司
脚本:佐東みどり
撮影監督:藤田秀紀(JSC)
出演:遠藤要/佐藤祐基/馬場良馬/緑川静香/小原春香/三浦力/阿部亮平/あいはら友子/寺坂尚呂己/仁科貴/片桐千里/暮川彰/四方堂亘/三四六
撮影協力:塩尻・木曽フィルムコミッション 塩尻市 塩尻駅 松本市・松本観光コンベンション協会
配給:株式会社サモワール
公式HP:http://ryusei-movie.com/
★渋谷ユーロスペースで12月6日(土)より再上映
渋谷ユーロスペース http://www.eurospace.co.jp/
©2013「リュウセイ」製作委員会
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エンタメ : インタビュー/記者会見 記:尾崎 康元(asobist編集部) 2014 / 11 / 25