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インタビュー/記者会見
世界が熱狂したリアルCQC(近接格闘)アクション!!
映画『RE:BORN リボーン』
主演のTAK∴(坂口拓)と下村勇二監督に、
独占インタビュー!!
アルバトロス・フィルム配給にて、『GANTZ』『図書館戦争』シリーズなどの下村勇二アクション監督が、「HiGH&LOW THE RED RAIN」で新時代の戦闘術「ゼロレンジ・コンバット」を採用したアクションを手がけたTAK∴こと坂口拓を主演に迎え、これまで見たことのない究極の壮絶アクション映画『RE:BORN リボーン』が8月12日より公開。共演には、近藤結良、斎藤工、長谷部瞳、篠田麻里子、加藤雅也、いしだ壱成、大塚明夫ら、豪華俳優陣が結集! 戦術戦技スーパーバイザーとして参加したのは、国内外で格闘修行を重ね、米軍特殊部隊の格闘技教官も務める稲川義貴。本作のために坂口は稲川氏のもと、約一年間の戦闘術の訓練を受けた。撮影後、アクションシーンに納得がいかなかった下村と坂口は半年におよび追加撮影を敢行、徹底してアクションにこだわりぬいた!今回は、主演のTAK∴(坂口拓)と下村勇二監督に、映画『RE:BORN リボーン』ついて話を聞いた。
尾崎:この作品を作るきっかけとなったことは?
TAK∴:稲川先生との出会いが、映画『RE:BORN リボーン』に繋がったと強く感じています。
下村監督:TAK∴が俳優を引退後、復帰するタイミングで今まで誰も見たことのないアクション映画作ろうと思っていました。彼は僕の友人でもあったので、その時には監督をすると伝えました。その時点では、まだ先が見えず彼はトレーニングだけを続け模索していました。
TAK∴:『狂武蔵(くるいむさし)』という自主体制での映画を撮ったことがありました。77分のワンシーン、ワンカットでルールはなし。ルートだけを作り、樫の木刀に銀を塗って挑みました。開始5分で木刀の鍔が割れてしまい指の骨が折れました。最終的には肋骨も4、5本折れ、歯を食いしばっていたことで奥歯が4本砕けました。そのシーンでは合計588人を斬りました。その作品の撮影後になぜか虚しさが募り、アクションへの限界を感じ、その時に一度引退をしました。自分の中では、アクション俳優としての道は終わったと思いました。
『狂武蔵』を撮影するにあたり、本物の剣術家を捜していました。色々な人に会いましたが納得のいく結果は得られない日々が続いていましたが、ある時「TAK∴さんの答えを持つ人が1人だけいます」と紹介をされた方が稲川先生でした。先生は異質な存在で、会った瞬間に「ああ、本物がいる」と感じました。先生に自分の動画を見ていただいて、技をふたつだけ教わり、その技は『狂武蔵』の中で僕の助けとなる技になりました。
その後、復帰を考えて模索している中、稲川先生と再会することで、この作品の製作が動き始めました。
下村監督:稲川先生のお話は、僕たちが知らない別世界で生きている人たちの物語でした。様々な紛争地域や戦場の出来事は、僕らからすると、まるで映画のような世界に映りました。その現実を映画の中に取り入れたら興味深い作品になるのではと考えました。今回のTAK∴の演じる元傭兵の敏郎は、実は稲川先生がモデルになっています。映画の中のセリフは、稲川先生が普段話されている言葉も使われています。先生のエピソードを映画用にアレンジして作品に盛り込んでいます。
尾崎:肩甲骨をまわすシーンがこの作品では印象的ですが……。
TAK∴:ボクシングを10年以上、その他にもほとんどの格闘技はやってきました。道場破りもしました。それを一度、全て捨てる所から始まりました。格闘技と殺しの世界はジャンルが違うんです。殺しの世界では三手以上はありません。格闘家は戦うまでにコンディションを作っていきますが、実戦で戦う者は常に準備が必要です。そのためには、酒とタバコを大量に摂取します。
尾崎:本当ですか?
下村監督:本当です。いつでもどんな状況でも対応できるように。
TAK∴:酒とタバコを控えると絶好調になるので、そのために敢えて毎日をバッドコンディションにします。体が極限に疲労している状況で肩甲骨をまわしていると体が肩甲骨に頼ってきます。そうすることで自然とスピードとパワーが増すことになります。戦闘には無駄な筋肉は必要はなく、身体を柔らかく自由自在に動かすことが必要です。
尾崎:下村監督、この肩甲骨をまわすシーンは意識的に使われましたか?
下村監督:肩甲骨の回旋は、もともと古武道や剣術の身体操作のベースでもあります。古武道では肩甲骨をまわしていても着物で相手に分からないですよね。袴を履いてるのは足さばきを悟られないためです。普通は肩甲骨をまわすところは見せませんが、ブルース・リーの映画のように観終わった人たちが真似したくなるように、劇場の外で肩甲骨をまわしてくれればという思いもあり意識的に取り入れました。
尾崎:私も観終わった後に真似をしました。
下村監督:そういう意図があったので、それは嬉しいですね。
尾崎:構えも独特な感じですよね?
TAK∴:手がふわふわとしていて海藻のような感じです。すべての攻撃を逆らわずに流し込むといった構えです。映画的に少々誇張していて、肩甲骨の可動域も広く使っています。
尾崎:『見えない戦争』というキーワードがありますが……。
下村監督:僕たちの知っている戦争はワールドニュースなどで見るような情報だけですが、その裏では想像もできないことが起きています。稲川先生のお話しでは「ちょうど良い湯加減のお風呂に入って少し熱くなったら水を足して、入浴剤を入れ、読書をして、気持ちよく湯船に浸かる・・・といった環境が日本だと。かたや、熱湯風呂に手を入れて皮膚がただれ、冷水に手を入れて心臓が止まりそうになったり、そういう世界をあなたたちは知らない」と。先生はそういった世界を見て来ている。体験した者にしかわからない現実がそこにはある。それが『見えない戦争』という意味です。だから敏郎は戦いを挑みます。戦いが好きで人を殺したいということではなく、その先にある未来を見据えて使命感を持って戦っています。
TAK∴:この作品の物語はリアルです。田舎町で大国と大国の戦争が実際に起きているということです。
尾崎:リアルな物語を表現するという部分で少女サチ(近藤結良)が登場するわけですね。
尾崎:ラスト40分の接近戦、ゼロレンジコンバット(零距離戦闘術)での戦闘シーンは圧巻で、観終わった後に疲れを感じるくらいですが、撮影中のエピソードなどありますか?
TAK∴:ラスト40分の接近戦の中にはリハをやらずに撮影したシーンもあります。全てではないですが自由にリアルに戦っています。“本物”の方にも参加していただいてのガチ勝負です。それを撮影しています。
下村監督:スタントマンも入っていますが、彼らが段取りで自らリアクションをすると、リアルな技にならない。
TAK∴:僕がウエイヴをリアルに使うことで、彼らがリアルに吹き飛ぶ。
尾崎:だから、あの迫力が出るのですね。
TAK∴:今までのアクション映画との違いはリアルであることと、零距離戦闘術のベースであるウエイヴを最大限に活用して体現した戦闘術の新しさ。この作品は、アクションの未来系だと思っています。本物の戦闘術を映画として作り上げました。
尾崎:ラスト40分の段取りのないアクションシーンの撮影はいかがでしたか?
下村監督:カメラが動きを追うことは大変でした。本撮を2015年の4月に行ないましたが、動きがあまりにも速かったためカメラが追いつけず、その上リアル過ぎて映画としては成立していなかった。その後、半年をかけアクションシーンだけ、追撮をしました。森のシーンは全て撮り直しました。ラストの敏郎とアビスの1対1のシーンもそうです。作品を観ていただければ分かりますが、早送りしているの?と思ってしまうほど速い。
尾崎:かなり速かったですね。
TAK∴:映画史上最速だと思います。速くて映っていないシーンもあります。秒速24コマのフレームに入っていないんです。耳の側面から後ろまで手が入っていても、映像では、手が手前で止まっているように映っています。
尾崎:秒速、1/24秒以内の動きということですね。
TAK∴:映っていないのは悲しい……。
下村監督:映っていないと、映画的にはNGですよね。でもTAK∴がリアルを追求して訓練してきた結果です。
TAK∴:映像には映っていませんが、それを生で見ている現場の緊張感は凄かったですね。
下村監督:カメラマンは息が止まっていました。ラストシーンは約束事だけを決めて後はフリーで動いているので、カメラマンの緊張感は計り知れないです。最後はドキュメンタリーになっています(笑)。僕がアクション監督として参加する普段の撮影だったら、カット割を決めて、特機を用意しギミックを入れたり、もっと一般的にわかりやい表現にします……。でも今回は稲川先生とTAK∴の動きが凄すぎて、これをライブで撮りたいと思い、所謂アクションではなくドキュメントになりました。
尾崎:分かる人には、凄さが倍増するんでしょうね。
下村監督:そうですね。試写会の時に“ある方”はこの動きに感動していました。
TAK∴:海外の方に、僕は“本物”だと思われています。“本物”が、なぜ映画に出ているんだと。民間人ではないと(笑)。チラシにも書いてありますが、“世界の戦闘者が認めた本物のアクション映画!!”になっています。マニアック過ぎるかもしれませんが“本物”が認めた日本映画が1本くらいあってもいいですよね!
尾崎:共演者の方々の印象について伺いたいと思います。いしだ壱成さん(最初の刺客ロック)は、凄く不気味さの漂うサラリーマンでした。このシーンの撮影でのエピソードがあれば教えてください。
下村監督:敏郎が初めて見せるアクションシーンです。ファントムと呼ばれる謎の男(大塚明夫)が、敏郎を始末するために近付いて来た。刺客たちは、現地で緊急召集された部隊でプロアマ問わず混在している設定です。彼ら最初の刺客たちはアーバンコンバットといった市街戦の部隊。ここでは、敏郎の圧倒的な強さを見せるためのシーンになっています。いしださんのこの異様な雰囲気は、現場で稲川先生がプロの戦闘者の細かい目線だったりを説明され、それを演技に生かしました。プロの戦闘者は、一点を見ません。イーグルアイといって広範囲を見ていて焦点があっていない状態。そういった所から役作りをしていただきました。
TAK∴:敏郎もイーグルアイだから人と目線を合わせていないんです。目を合わせると愛情が湧くので目を合わせません。命取りです。
尾崎:篠田麻里子さん(女殺し屋ニュート)の、敏郎との電話ボックスでのシーンは、壮絶な死闘が繰り広げられましたが……。
TAK∴:ある兵士の最終試験は電話ボックスのような狭い空間での戦い。その部分を取り入れています。ここはニュートのウエイヴを見せるためのシーンです。
下村監督:篠田さんには、事前にウエイヴを練習していただきました。作品の中での彼女の得意な戦闘術は“イモリ”。ウォールコンバットという壁を利用した狭い空間での戦いです。最初のエレベーターのシーンからウォールコンバットの戦い方で、電話ボックスのシーンも実は壁を使っています。
尾崎:篠田さんのシーンは映像ではもの凄く痛そうでしたが……。
下村監督:狭い場所でウエイヴを使うと、その分威力が増し、実際に当ります。
TAK∴:最初は手加減していましたが、篠田さんが実際にウエイヴを使ってやりましょうと。
下村監督:篠田さんからも、現場で「リアルさが欲しい!」と言われました。
TAK∴:彼女には『リアル鬼ごっこ(柴田一成監督)』でアクションを教えていました。教え子という気持ちもあったので、そこは信頼関係もあり、互いに手加減なく戦いました。かなり痛かったと思いますが、迫力のあるシーンが撮れました。
尾崎:斎藤工さん(敏郎の元戦友・真壁健二)は、この作品の中では、他の傭兵とは違いますが……。
下村監督:斎藤さんの設定も稲川先生から聞いた実話からヒントを得ています。戦闘者は自分の死に場所を求めています。戦って死にたいと。敏郎に対する愛情も深く、戦闘者には家族や仲間以上に戦友への思いがあるようです。その関係を表現したかった。
TAK∴:このシーンで涙する人も多いようです。斎藤さんとは、2004年のTBS『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズからアクションの指導をしてきました。彼が主演の『虎影(西村喜廣監督)』でもアクション監督を務めています。そういった関係性が映画の中に繋がっているのかもしれません。
尾崎:続いて、各映画祭での反響を教えてください。
下村監督:先日、ドイツの「ハンブルク日本映画祭」に出席しました。メイン会場とサブ会場を合わせて3館での上映で、僕たちの会場は、『シン・ゴジラ(庵野秀明監督・樋口真嗣監督)』『アイアムアヒーロー(佐藤信介監督)』『RE:BORN リボーン』『蠱毒 ミートボールマシン(西村喜廣監督)』でした。僕は『アイアムアヒーロー』のアクション監督も務めていましたので、本作の宣伝も出来て、おかげさまで大入りで最後には拍手もいただき大好評でした。
TAK∴:会場で「どこの部隊に所属してるんだい?」って聞かれました(笑)。
下村監督:ミリタリーアクション映画だけど、魂はサムライ映画だと。海外ではそういった評価がありました。生き様がサムライだ。『武士道』だと。嬉しいですね。
TAK∴:アメリカはテキサスの「ファンタスティック・フェスタ」に出席しました。まだ、日本未公開ですが、その年のアクション映画No.3に選ばれました。大絶賛でした。
尾崎:最後にひとことずつメッセージをお願いします。
TAK∴:『RE:BORN リボーン』をたくさんの人に知っていただきたい。新しいタイプのアクション映画になっています。俳優としてではなく戦う者として、この作品に出演しています。この映画を広めたくてガラケイからスマフォへ機種変しました(笑)。ツイッターも始めました。(@tak_ninnin)
下村監督:プロジェクトが始まって公開までに4年。始まりは坂口拓の復活を願って作った作品です。『RE:BORN リボーン』というタイトルの意味には復活という言葉も含まれていて、日本映画の再生という意味も込められています。ラスト40分の今まで見たことのないアクションを映像で体験して衝撃を受けていただきたい。この作品は僕たちにとって、まだスタート地点です。是非、劇場で目撃していただきたい。
★プロフィール
■TAK∴(坂口拓)
1975年生まれ、石川県出身。俳優、アクションコーディネーター、映画監督。日本で数少ない世界に通用する本格アクション俳優として、日本よりも海外での知名度が高い。 しかし2013年、突然の俳優引退発表。今回の復帰を機に「坂口拓」から「TAK∴」へ改名した。主な作品は『VERSUS』(主演/'01)、『地獄甲子園』(主演/'03)、『デストランス』(主演/'05)、『魁!!男塾』(監督兼脚本、主演/'06)、『極道兵器』(共同監督兼脚本、主演/'11)、『地獄でなぜ悪い』('13)など多数。引退後は匠馬敏郎名義で『TOKYO TRIBE』(’14)、『虎影』『リアル鬼ごっこ』('15)、『HiGH&LOW THE RED RAIN』(’16)などのアクション監督を務めた。近年の主な出演作に映画『ブルーハーツが聴こえる』(’17)、TVドラマ『バウンサー』(’17)など。また、ネオ忍者集団『靁凮刄』のプロデュースも務めており、現代の忍者として山梨県の『忍野しのびの里』で公演を行っている。
■下村勇二
アクション監督、映画監督。 倉田アクションクラブを経て、フリーのスタントマンとして活動。 その後、香港のアクション俳優兼監督のドニー・イェンに師事。 現在ユーデンワレームワークスに所属。映画、CM、ゲームなど幅広いジャンルでアクションを演出。 主なアクション監督作品に 『GANTZシリーズ』('11)、『ラッキーセブン』('12)、『図書館戦争』('13)、『安堂ロイド』('13)、『ストレイヤーズ・クロニクル』('15) 他。ゲームのムービー監督に 『デビルメイクライ4』('08)、『ベヨネッタ』('09)、『メタルギアソリッドVファントムペイン』('15)他。 監督作品に坂口拓主演『デストランス』('05)がある。
■STORY
石川県加賀市のコンビニで、店員をしながら少女サチ(近藤結良)と慎ましい日々を送る敏郎(TAK∴(坂口拓))。彼はかつて最強の特殊傭兵部隊に属しながら、自らの手で部隊を壊滅させた過去があった。ある日、彼らがひっそり暮らす田舎町で、不可解な殺人事件が起きる。それはファントムと呼ばれる謎の男からの、敏郎に対する警告だった。
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監督:下村勇二
出演:
TAK∴(坂口拓)、近藤結良 斎藤工 長谷部瞳 篠田麻里子 加藤雅也 いしだ壱成 / 大塚明夫
稲川義貴 望月オーソン 賢太 坂口茉琴 屋敷紘子 三元雅芸 武田梨奈(声の出演)
戦術・戦技スーパーバイザー:稲川義貴
アクション監修:TRIPLE CROWN
脚本:佐伯紅緒
撮影監督:工藤哲也
音響効果:柴崎憲治
音楽:川井憲次
加賀市アソシエイトプロデューサー:石丸雅人 坂井宏行
プロデューサー:藤田真一 井上緑
企画・製作:有限会社ユーデンフレームワークス 株式会社アーティット
製作協力:株式会社ワーサル
配給:アルバトロス・フィルム
公開:8月12日(土)より 新宿武蔵野館にてレイトロードショー!
©「リボーン」製作実行委員会
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エンタメ : インタビュー/記者会見 記:撮影:尾崎 康元(asobist編集部) 2017 / 08 / 07