サクラ咲くサク桜丘
てやん亭"渋谷店――桜丘のワンダーランド、ここに発見
【今回の桜な人々】
てやん亭”(てやんでい)渋谷店
柳沢 和哉さん
〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町8-19(マップ)
ホームページ
http://www.teyandei.com/tenpo_sibuya.html
桜丘に限ったことではなく、あるエリア内で同一業種のお店が揃っていることはよくある。例えば桜丘であれば桜通りや中央通りの周辺には飲食店が多く、国道246号の歩道橋を越えてすぐの辺りには楽器屋さんの姿が目立つ。お店を選ぶ側からすれば、魅力的なお店ばかりで迷うことになりそうだが、各店が切磋琢磨することでさらにお店選びが楽しくなることは間違いない(同時に迷いも深くなりそうではあるが)。ちなみに税理士事務所が多い場所は近所に税務署、司法書士が多ければ裁判所がある。余談でした。
そんな密集エリアから離れたところには、思わぬ穴場が存在したりしている。密集地から離れた楽器屋さんだった前回の『ウッドマン渋谷店』など、当コーナーでも多くの離れた穴場に登場いただいたが、今回もそんなお店を見つけてしまったようだ。「ようだ」というのは、筆者がいまだにその魅力をすべて体験したとは思えないからである。
中央通りからインフォスタワーを右手に見て右、最初の角にそのお店はあった。
それが『てやん亭”(てやんでい)渋谷店』。
★
「おおーアニキっ、今日はよろしく頼みますよっ」
そうハイタッチで迎えてくれたのが店長の柳沢和哉さん。実は筆者、この取材をお願いに来た際、黙々と仕込みをする店長と思しきこのコワモテ氏(失礼!)がOKしてくれるのかどうか、戦慄に震えながら答えを待っていた。その結果がいまなのであるが、OKをいただいた際の筆者の声は間違いなく裏返っていたはずである。
それが取材日当日はハイタッチでご歓迎、となればあとは粛々と取材を……となるかと思いきや、これが実はカウンターパンチ。油断(笑)したスキにアッサリと“柳沢ワールド”に引き込まれてしまっていた。
「で、なんでしたっけ? ああ、そうです取材でしたね。なにをしたらよかったですか? お話しを聞いて料理の写真を数点? 数点って、20点くらいでいいですかね。あ、そんなにいらない。じゃあオススメを出しましょう。あと4時間ほどで開店しますから、少々お待ちを……そんなに待っていられない? そりゃそうですよね、ウチも困りますし。じゃあすぐ出しますから、はい。
ではまあ、この間を利用してなんでも聞いてください。生まれ? 沖縄料理の店だから沖縄……と言いたいところですが東京……ではなく山形。ハハハ。『心は島人だ』と書いておいてください。よく飲む酒? 泡盛……と言いたいところですけれども、酒の好きずきは人それぞれですからねえ。あ、ところで顔写真が載るんでしたっけ? 全裸とか網タイツでもいいですかね」
……あっという間にノックアウト寸前だが(写真の結果はご覧のとおり)、“ワールド”は会話だけではなかった。ヨタヨタになりながらお店の内観撮影となったが、このお店、入店時にはオープンキッチンのカウンターとテーブル席が一望できるのだが、奥に進むと左手には広大な隣の客室、さらに個室のほか、階段部分を利用した席もある。さらにお座敷仕様の地下まで。外観からは想像も付かない複雑な店内なのだ。
これ、なんか妙に心躍るなあ……そう感じて柳沢さんに聞いてみた。「これ、カウンター席だと柳沢さんとお話ししながらになりますかね?」。
我が意を得たり、そんな笑顔でまた話は続く。
「もう、それが醍醐味ですよね。いまアニキと話しているの以上にバンバンお客さんと会話します。料理やお酒で楽しんでいただくのは当然ですが、さらに接客というか、お店に来てよかった、楽しい時間だったと思って帰っていただく、これがサービスです。それしかないと思います。ウチは入口に席が空くまでの立ち飲みスペースがあるのですが、そこはほとんどサービスができていないとなります。ですから、立ち飲みのお客さんはお金はいらないくらいの気持ちで、席が空くまで懸命にやります。それしかないと思いますから」
そうなのである。簡単な言葉だが「サービス精神」。これが『てやん亭”渋谷店』には満ちあふれている。迷路のような店内に足を踏み入れ、おもてなしに舌鼓を打ち、そして怒濤の店長トーク。取材後半には柳沢さんに声を掛けるのがとても楽しくなっていた筆者だったが、「取材とはいえ、いまはアニキたちも大事なお客さんだから」という言葉に、お願いから取材までの一連のやりとりまでもが“演出”となっていたことに気が付く。
またゆっくり来よう、
そしてもっと、このお店の魅力に触れたいと強く思う。
明日はお休み、そうだ『てや……
「こうやって取材しに来ても絶対にお客としては来ないよなあ。この仕事をする前はバイク便をやっていたから、(名刺を見て)この住所、どこだかわかるよ。来なかったら襲撃するからな、アニキっ」
あああ、必ず行きますってっ。
明日はお休み、そうだ『てやん亭”渋谷店』へ行こう。
Q・あなたにとって桜丘とは?
「仕事の街、あと、あなた方にかかっている街です(笑)」
魅惑のオープンキッチンカウンター(文章部分にある写真ですね)と繋がっているテーブル席。しかしこれだけじゃなく……
階段スペース、地下、天井裏、個室……ありとあらゆる間取りに席がございます。この下右写真が上でもご紹介したウェイティング立ち飲みエリア。あと予約のお客さんにはウェルカムカードも付きますよ
さあお料理いってみよう! 海ぶどうのお刺身(600円)、緑色に輝く海の長命草ですね。プチプチ言わせて食べてみてください。沖縄料理では定番の前菜ですよね
沖縄と言えば......こちらが定番でしょうか、豚さん。特製・黒豚の角煮(680円)は1日以上に込んだ豚肉と、この白い餡がポイント。さて、なんでしょう。はいこれ、マッシュポテトなんですね。合いますよ
こちらは山芋の竜田揚げ(580円)。実はてやん亭"が沖縄料理を謳う前からの 定番であり、人気ナンバーワン。サクサク、ホクホクの食感をお楽しみあれ
もうひとつ定番中の定番、いっちゃいましょう。おなじみゴーヤチャンプルー(680円)はゴーヤの苦味が最高。シェフが「苦いですがお口に合いましたか」とやってきてくれました、こだわりのの一品ですね
甘い物は別腹ってやつで、こちらは究極のパンアイス(400円)、これ、実はもう一工夫されてお店では登場します。「それはお店で確認してくださいよ、アニキ。でも女の子ならばこれ食べて幸せを感じるはずですよ」(柳沢さん)
Tweet エンタメ : サクラ咲くサク桜丘 記:asobist 編集部 2011 / 09 / 22