サクラ咲くサク桜丘
"未知との遭遇"in桜丘――発見、ヒマヲイキル。!
【今回の桜な人々】
ヒマヲイキル。
加藤 夏子さん
〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町29-5-201(マップ)
ホームページ
http://himawoikiru.com/
いつでもどこでもなんにでも、“未知との遭遇”というのは心躍り、また不安なものである。
わかりやすく当コーナーを例に取ろう。ある飲食店に取材の依頼をしに行くとして、それがそれまで訪れたことのないお店だった場合……まず門構えからどんなお店であるとか、どんなご主人であるかを想像して、それなりの覚悟を決めてドアを開ける(ちなみに筆者はそのとき必ず「怖い人じゃありませんように」と心で念じている)。その後、趣旨を説明する際に相槌を打ってくれるか、それとも黙々と耳を傾けてもらっているかで様々に心境は変化し、了承いただければホッとし、ご縁がなければ残念……と。黙々と聞いていただいているとかなり焦ってくるのだが、だからといってダメよりも了承いただけることのほうが多かったりする。おもしろいものですね。
さて、今回ご登場の飲食店、まずその入口までで“構えて”しまったお店である。
場所はといえば『らーめん屋OKZAKI』、『Bar&Kitchn RAIN FROG』と同じ建物の2階。で、その外階段というのがなんともヨーロッパ調であり、ふと通りかかったときにとてもメルヘンチックな……ブランドでいうと「ピンクハウス」ですか、そんなお洋服の女性が階段を上がっていった。そしてそこには2階にあると思しき飲食店の案内板も。
『ヒマヲイキル。』
……うーん、店名からもどんなお店だか想像できない。ピンクハウスな格好の女子が溢れているのだろうか……窓もなく、内部がうかがい知れないドアを前に数分(こんなに躊躇したの初めて)。まさに“意を決して”そのドアを開けた。こんにちわっ。
……目の前に広がるのは木製のカウンターバーであり、奥には大木もあるテーブル席。従業員のみなさまもお客さんもシックな出で立ちでコーヒーやビールを楽しんでいた。
あれ? ピンクハウスなお店じゃないんですかね??
「いらっしゃいませ、昨年11月25日にオープンした『ヒマヲイキル。』です。“毎日寄りたくなる友達の家”を目指して日々営業しております。え、ピンクハウス系? あ、それは大家さんの趣味でして(笑)。こちらを借りたとき、もともとは住居空間だったのを改造させていただいたんですが、改造前はだいぶメルヘンなお部屋でしたよ(笑)」
テーブル席には大木があったりして、なんかジブリ作品のような……?
「あ、あの木に関しましては、店内のデザインもしてくれた友人のアート作品で、それをぜひ取り入れたかったのですね。ちなみにカウンター席は山小屋、木のあるテーブル席は海の家、そしてトイレは深海というテーマなんですよ」
ここまで一気に教えてくれたのは店長の加藤夏子さん。なお、先に階段を上がっていったピンクハウスな女性がまさに大家さんで、並びでアートスクールを開校されているとか。今度行ってみましょう。
インパクトのある木のモチーフと、深海をイメージしたトイレ
『ヒマヲイキル。』……この一風変わった店名にはこんな意味が。
「“忙しい”というのは時間の使い方に無駄があるってことなんですよね。ですから、時間を有効に使ってヒマな時間を楽しむ、“ヒマをしに来る”というお店でありたいってことなんです。で、これは私たちのオーナーである井上慎二郎……『ラムジ』という音楽ユニットのギター兼プロデューサーなのですが、ソロでの曲に『ひまを生きる』というのがありまして。そこから付けられた名前でもあるんですよ」
バーであり、カフェであり、そして貼り出されている和食のメニューなどを眺めると居酒屋のようでもある。「親子丼などいつもあるお料理もありますが、その日その日でメニューは変わると思っていただいたほうがいいですね。なので『今度食べよう』とか考えると、二度と出会えないかもしれません(笑)」と加藤さんが言うあたり、どんなシーンでも使えて、しかも“毎日来たくなる家”になりそうな『ヒマヲイキル。』だが、その魅力は使い勝手のよさだけではまったくない。
店全体から醸し出される圧倒的なフレンドリーさで、肩肘張らない雰囲気のその店内。なにげないやりとりだけでなく、妙なところからも笑いが溢れてくる。
たとえば壁に貼られていた本日のメニュー、いちばん最後に「かずゆき」と朱字で認められている。お料理担当の店員さんに、「今日のイチオシはなんですか、かずゆきさん」と当然のように尋ねたら「いや、僕タカシです」……じゃあ別に料理担当の方が……「いません。僕だけです」……じゃああれは誰? そう困惑していると「あ、あれは『ごま和え』って書いていたら、“和え”が“和之”に見えてきちゃって、それで「かずゆき」って書いたんですね(笑)」と加藤さん。
ね、妙なところでしょ(笑)。
いったいどんなお店なのだろう……まったく想像も付かないまま、意を決して扉を開けた『ヒマヲイキル。』。この“未知との遭遇”を果たした幸運に感謝するとともに、伝え切れていない楽しい“未知”が、このお店にはまだまだ満ち溢れている気がしてならない。
行ってみてよ、『ヒマヲイキル。』に。
“ヒマをしに行く”、その価値あるよ、絶対に。
Q・あなたにとって桜丘とは?
「そうですねえ……って、オープンしてまだ3カ月ですよ!?……こういう場合の模範解答は……「職場」とか? そうですねえ、どうしよう……うんっ『特にありません!』で(笑)」(タカシさん)
「第二の故郷です(棒読み)」(スタッフのヒロミさん)
「(「あるわけないですよ」のヤジのなか)えーっと……私は山形の生まれなのですが、都会の街というと“○○が丘”のイメージがあって、常々そこで生活したいなあ、と。自由が丘とか。そんな桜丘(笑)」(加藤さん)
ドアを開けるとまず広がるのはドーンとバーカウンター。こっそりタカシさんが写り込んでおりますね
カウンターの奥にあるテーブル席。こちらはもうカフェって感じですね
親子丼っていうのはどうしてこうも佇まいだけでおいしそうなのでしょうか。“ヒマイキごはん”でも常設メニューのこちら、800円ですよ
さ、これら二品は取材した日のスペシャルメニュー。「基本的にはその日、その日でお料理メニューが変わりますので、これ見て食べたくても食べられないかもしれません。お気の毒な話です(笑)」(タカシさん)。そんなこと言われたらよけい食べたくなっちゃうじゃないですかっ
最後は美女おふたりで。バンバン取材を盛り上げてくれた加藤さんとヒロミさんでした。ぜひ遊びに行って盛り上がって!
Tweet エンタメ : サクラ咲くサク桜丘 記:asobist 編集部 2012 / 02 / 23