サクラ咲くサク桜丘
il centro DA東京――伝えるべきは文化、陽気なイタリア語学校
【今回の桜な人々】
il centro DA東京
ファブリツィオ・グラッセッリさん
〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町29-33
渋谷三信マンション702(マップ)
ホームページ
http://www.il-centro.net/dante/
飲食店やスポーツショップ、そして楽器屋さんなどの店舗群はもちろんのこと、プラネタリウムや伝統芸能からアイドルのライブまで行なわれているホールもあり、さらには静かな入り組んだ道......。桜丘とはつくづく"文化的"な街だと思う。
日本だけでなく世界各国の料理店も多いことから、食の面で世界文化に触れることも多い。当コーナーに出ていただいただけでも、中国、インド、ネパール、スペイン、韓国、米国、ペルー......そしてイタリア。イタリア料理が日本人の口に合ったこと、そして歴史的に見ても仲がよかったことからか日本中に無数のイタリア料理店があり、桜丘ももちろん例外ではない。当コーナーで多くのイタリア料理店からイタリア文化を発信していただいたのはごぞんじの通りだ。
今回もそんなおなじみ、イタリアがテーマ。ただしこれまでとは違ってイタリア料理からではない。そこはネイティブのイタリア語が笑い声とともに聞こえてくる空間で――。
桜丘の奥座敷、先日登場いただいた『ON AIR』の手前のマンションの一室を訪ねてみた。突然の訪問者にニコニコと手を差し出してくれたのは、見るからにイタリアのお父さん......いや、むしろシチリア島を舞台にした映画にアル・パチーノと競演していてもおかしくない貫禄を醸し出している紳士。
「どうもこんにちは。私は『ダンテ・アリギエーリ協会』の東京・名古屋支部の支部会長をしております、ファブリツィオ・グラッセッリです。えっ? 生まれはシチリア島ですか、って?? いえいえ、ミラノ近郊にありますクレモナという街ですよ(ニッコリ)」
今回お邪魔したのは、「海外で暮らすイタリア人が母国との精神的なつながりを深めること」、「外国人のイタリア文化に対する関心を育むこと」を目指し、1889年にイタリアの知識人グループによって創設された『ダンテ・アリギエーリ協会』、こちらの東京支部が運営するイタリア語学校『il centro DA(イル・チェントロ、ダンテ・アリギエーリ)東京』。協会支部会長のグラッセッリさんはこの学校の校長先生でもある。
「こちらでは一般的なイタリア語講座から、ビジネスで使うイタリア語や、作文に翻訳のコース、またオペラの発声コースなどもあります。他にも日曜日にしか時間がない人などに集中コースなどもありますよ。詳しい内容や受講料などはHPもご参照ください」
とても流暢な日本語で教えてくれるグラッセッリさん。日本の慶應大学に招かれ教鞭を執るべく来日、『ダンテ・アリギエーリ協会』の東京・名古屋支部の発足とともに大学から協会支部長へ転身された。
「協会自体の歴史は古いですし、イタリアと日本は歴史的にも長い友人なのですが、日本においてこの東京・名古屋支部や大阪支部ができてまだ5年ほどなんですよ。アメリカやドイツではけっこう昔から活動していたのですけれどね」
これまでの生徒さんは約1000人。現在のサッカー人気もあってか、最近は義務教育世代のお子さんが教室を訪れることも多いとか。今後も老若男女、多くの日本人にイタリア語を伝えていってくれるはずだが、グラッセッリさんたちの伝えていくべきものは言語だけではなく......。
「先ほどお話しした協会の発足の目的にもありますが、"イタリアの文化"を私たちは伝えていきたいのですね。たとえば学校の講座に『BAR SPORT』というのがあるのですが、これはイタリア語の講座というよりも、イタリアのBAR(バール)でサッカーなどスポーツを語り合う、そんな文化を感じていただくのがメインだと考えています。また、イタリアに留学を考えている人には、その相談にも乗ります。そんな"イタリアに触れたいとき"にいらしてくださいという存在が、私たちの協会なのですね」
気が付けば教室からはイタリア人の先生による授業が始まっており、笑い声とともにイタリア語が飛び交っている。
「サッカーやイタリア料理を通じてだったり、歴史的に見ても、イタリアと日本の交流はとても深く長いものがあります。イタリア料理だったらパスタやピザというのが、ラーメンのような感覚で浸透していますしね。まあ、私からしてみればもう少し深いイタリア料理も楽しみたいのですがね(笑)。それはともかく、今後もイタリア語講座や様々なイベントを通じまして、よりイタリアが身近になるように活動してまいりたいと思います。ぜひ一度、遊びにいらしてください」
どうもお邪魔いたしました。
Q・あなたにとって桜丘とは?
「渋谷でありながら静かないい街だと思いますが、もうちょっと賑やかになってもいいと思います。そこは少し残念でもあります」
イタリアの大学、そして早稲田大学で日本語を学んだマルコ先生の授業。
生徒さん4人、笑顔が絶えない授業です
アラカン編集長がグラッセッリ校長と話しているとマルコ先生が登場し即席個人レッスンが。
「えーっと、これは……グラッチェ? 言葉は知っていても読めないもんなのねえ……」
グラッセッリ校長をパチリ。ダンディです。佇まいが絵になりますね
Tweet エンタメ : サクラ咲くサク桜丘 記:asobist 編集部 2012 / 03 / 12