サクラ咲くサク桜丘
Ku hanare――"離れ"から見る桜丘の10年、そして10年後
【今回の桜な人々】
Bistro Ku hanare
土井 希親さん
〒150-0031
東京都渋谷区桜丘町1-5 5F(マップ)
ホームページ(ぐるなび)
http://r.gnavi.co.jp/g694502/
ダイニングバーと呼ばれる飲食店や居酒屋でおなじみの代名詞に“隠れ家的”というのがある。
それはおおよそのところ、店内が暗めであるとか個室のように区切られているとか、そんな具合だと思う。あと妙に地下率が高い気もする。
今回うかがったお店は、暗くもなければ区切られてもいない。むしろ広々空間であるし、地下どころか地上5階だ。それでもとても隠れ家的に感じたのは、引き寄せられるように入ったビルの、入り口から見えないところにあるエレベーターに乗り、窓のない扉を開けての訪問だったからだろうか。あ、“hanare=離れ”という名前からもそうイメージしたのは間違いないのだが……。
「いらっしゃいませ、『Bistoro Ku hanare』へようこそ。おっしゃるとおり、ここは入り口の目の前にある『Bistro bar Ku』の“離れ”のようなイメージで、約1年半前にオープンいたしました」
ランチタイムの終盤、迎えてくれたのはその二店舗、そして道玄坂にある『Bistro Ku Dinig』を運営する土井希親さん。広々としたテーブルには、日本語で“食堂”とするのがピッタリの“ビストロ”らしく、気軽にピザなどの数種類のランチメニューを楽しむお客さんが見える。
「わかりづらい場所ではありますからね。夜も含めまして、いまのところ前の店(『Bistro bar Ku』)からのお客さんも多いので、そうでない近所のお客さんにもいっぱい知っていただいて、お出でいただきたいですね」
土井さんがここ『Bistoro Ku hanare』をオープンしたのは約1年半前だが、桜丘歴はその約10倍。
「もともと自分のお店をやりたいと思って10年ほど飲食店で働いて、そして10年前にまず『Bistro bar Ku』をオープンしました。桜丘は飲食店や販売店なども老舗が多いように思いますが、実は入れ替わりも激しいんです。いろいろお店が変わったのも見てきましたし、私たちが10年過ごせたのはとても長いことだと思います。そういうことを言うと『調子に乗るな!』と言われそうですが(笑)」
“母屋”が老舗への道を歩き始めたとき、“離れ”が誕生する。
「ありがたいことにお客さんもいっぱい入ってくれましたので、道玄坂のお店に続いてオープンしました。当初は当然、“前の店”のお客さんや、満席のときにご案内をしたり……という感じでしたが、いまは掛け持ちしていただいたり、満席だからこちらのお店に、というよりは、『hanareが満席なら帰ろう』とかお店ごとのお客さんが増えてきたと思います。そうじゃなきゃいけないと思いますし、やっていておもしろくもないですからね」
もともと通っていたバーが閉店するということで、この場を“離れ”にすることに決めたという土井さん。10年間の変化を見続けての今後の桜丘に思うことは……。
「再開発の動きがありますよね。実際に着工するのはまだまだ先なのかもしれませんが、駅と繋がってショッピングモールになったりすると、桜丘が別の街になりますよね。いまは銀座にもチェーン店の居酒屋やコーヒーショップがあったりしますが、桜丘はその色がまだあまり強くない。そうなってしまったら……と思います。道玄坂のお店に行って、戻ってくるとホッとしますもん、桜丘はね(笑)。ただ、そういう面だけでなく、仮にバーッと再開発が始まったら地価とかも上がりますし、お店をやっていくのもまた大変になります(笑)。そういったところで負けないように、これからも頑張っていかないといけませんね」
桜丘を見つめて10年。さらなる時を刻むべく建てた“離れ”にて、若き社長がニッコリと笑った。
「あ、よかったら“前の店”にもいらしてくださいね」
というわけで、近日中に“母屋”も登場いたします。
Q・あなたにとって桜丘とは?
「ホッとする、息抜きができる街です」
隠れ家デートや会食も楽しそうですが、カウンターでひとりワインも絵になります
季節がよくなればテラス席も。5階からの眺めは新たな発見もありそう
さあ行ってみよう! まずは前菜の3種盛り。パテ・ド・カンパーニュ(写真奥)って心躍りませんか。1200円!
チーズたっぷりが嬉しいおなじみマルゲリータ。生地が薄いのがローマ風です。950円!
お店の小野沢一成さん曰く「ピノノワールの産地といえばブルゴーニュですが、こちらは隣のジュラ県でブドウの苗木屋さんが造ったものなんです。ブルゴーニュに味で劣らず、またこの値段でお出しできる、素晴らしい一本です」ドーンとボトル4000円!
Tweet エンタメ : サクラ咲くサク桜丘 記:asobist 編集部 2012 / 03 / 26