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今回は久しぶりに当コーナーの“本編”とも言うべき探訪物である。
取材依頼でいろいろと訪ね歩くのも当コーナーの真髄だが、そこで出ていただいたみなさんからの“縁”が取材を繋ぐことも数多くある。
先日のこと。桜丘で行なわれた「東京都の環境についてのフォーラム」の取材後、司会を務めていた「渋谷みつばちプロジェクト」代表理事・佐藤勝さんに呼び止められた。
「あそびすとさん、やっとお目にかかれました。みなさんが桜丘のことを盛り上げていただいているのはよく存じています。私たちの仲間のお店もたくさん取り上げていただいていて……。え、私のところに取材ですか？ それはもう喜んで。実は娘のほうが先に登場させていただいていますから、これで私も並びますね（笑）。……えっ？ いやあ、私たちが『渋谷みつばちプロジェクト』やっているので思い出しませんか？ 昨年夏に出していただいた“ハチミツを使ったかき氷屋さん”、あれ娘です（笑）」
取材先で出会う縁、そして親子の縁。縁が繋がる街、それが桜丘――。

国道246号側の麓から、インフォスタワーや渋谷区文化総合センター大和田のある頂上まで登るには、3種類の道がある。そのうち向かっていちばん右、かつて登場した『Bar Restaurant Kong Shibuya』のある通り、その中腹に今回目指すべき『渋谷駅前不動産（ツインズプランニング）』がある。『Kong Shibuya』のひとつ手前のビルだ。ようこそいらっしゃいました、と迎えてくれたのはもちろん佐藤さん。店内にはケイン・コスギのＣＭでおなじみの不動産会社による「城南地区第１位」という表彰トロフィーがいくつも並んでいる。
「いやあ、お恥ずかしい（照れ）。私はこの仕事をする前、高校を卒業してから自衛隊に3年ほどいましてね。そのときに行なった富士山の麓での演習では、かつてのソビエト連邦を仮想敵国に見立てて、制空権をソ連に抑えられた状態での訓練だったりするんです。夜にしか行動ができず、昼間は塹壕を掘ってそこにいたり……なんてやっているうちに、身体はできあがりましたね。今も元気に動けているのはそれが大きいでしょうね（ニッコリ）」
いまでもガッチリとした体格と精悍なマスクには、その自衛隊での経験が活かされているのですね。
「自衛隊を除隊してからですが、私は実家が保険業の代理店をしていたので、それの勉強で渋谷の保険会社に行っていたんです。そこに不動産業を営んでいる方がいた縁で、方向転換をしまして。その方と一緒に不動産業を始めました。その間で、実はいま真裏にある不動産屋さん、『ワイエス・プランニング』を作ることになり、しばらくそこにいて独立しました。さすがに桜丘で起業するわけにはいかないな……ということで宇田川町のほうに作ったのですが、桜丘で縁があったみなさんが多かったこともあり、結局戻ってきたことになります。真裏になったのは偶然ですよ（笑）」
『渋谷駅前不動産』を設立して14年、佐藤さんはこの桜丘の街づくりにも積極的に関わっている。

「不動産業というのは街づくりにも大いに関わりがある職種ですしね」と言う佐藤さん、その話とともに大いに力を入れている環境問題へ話がリンクしていく。
「ここ最近の夏のことですが、お部屋を仲介した方から『暑くてしょうがない』という連絡が頻発しているんです。それでお部屋に行ってみてもクーラーが故障しているわけでもない。原因は『とにかく暑い』という中で、屋上に上ってみると大きな室外機がドンドンと熱風を出している。これで地球が、環境が大丈夫なわけないですよね。もちろんのこと、今の資本主義の世の中で私たちは生活をする必要がありますから、不動産業であれば物件を仲介しなくてはなりません。すべて更地にしてしまって……なんてことはできないわけです。それでいながらできることはないか……ということで、ＮＰＯの『さくら育樹の会』で緑化運動を展開したりしているのです。たとえば桜丘には桜がありますし、代官山では最近ひまわりを育て始めたのですね。代官山への入り口は我らが桜丘ですから、その道程を桜とひまわりで繋げたらいいな、と思っています。“花の都”といえばパリ、そして東京もそう呼ばれています。その東京というのはやはり銀座とかが似合うのでしょうが、ここ桜丘も“花の都”として存在ができたら嬉しいですね（ニッコリ）」

この佐藤さんの熱い思いのひとつが「渋谷みつばちプロジェクト」。よろしかったら巣箱を今度見に行きましょう！というまたひとつの縁ができたところで、『渋谷駅前不動産』を後にした。
緑とともに繋がった縁、そしてここにも繋がる縁――。

どうもお邪魔いたしました。

Ｑ・あなたにとって桜丘とは？
「磨けば光るダイヤモンドのような街。あとは磨き方次第、ですね」

「桜丘は磨けば光るんです！」熱く語る佐藤さん