サクラ咲くサク桜丘
【鶯谷町】月箱――アットホームに"箱主さま"探し【いよいよ登場】
【今回の桜な人々】
月箱
人見 沙織さん
〒150-0032
渋谷区鶯谷町7-12(マップ)
HP:http://www.tsukibaco.com/
桜丘の街を歩き続けて2年半。いまとなっては場所場所のランドマークの位置や路地の繋がり方などはもちろん、町の境目なんかは寝ていても(?)わかる。
ただ、歩き始めた当初は残念に思ったことが多々あった。いい佇まいのお店などを発見して、ぜひとも登場いただこうかと地図を確認したら、道一本を隔ててそこはもう桜丘町ではなく、隣町だったということが......。
それで断念していた日々がついに終わる日がやってきた。開始から我らが桜丘町にだけ注目していた当コーナーだが、今回から辻ひとつだけ隣町にもお邪魔をすることにした。そんな記念すべき初回に登場いただくのは、まさに2年半前から注目していたお店である。
場所は桜丘郵便局から西郷通りを線路沿いに進んで数分、おとなり鶯谷町にある『月箱』である。
「いらっしゃいませ。そんな貴重な回に出させていただくなんて光栄です(笑)。どうぞゆっくり見ていってください」
そう迎えてくれたのは穏和な笑顔の男性、桑田さん。「やっぱり前面に出るのは店長がいいですよね。呼んできましょう」と、奥から桑田さんと一緒、いや猫ちゃんとも一緒に出てきたのが......
「こんにちは。店長の人見です。こちらは"看板猫"のルナです(ニッコリ)」
遅くなりましたがお店の紹介を。こちら『月箱』、西郷通りに面している入り口の脇には"レザー(皮)の量り売り"なんて売り物があったり、中をちょっと覗くとなるほどオシャレな雑貨類が並んでいる。そこで気になり始めた早々から安易に"(あの)雑貨屋さん"などと呼んでいたのだが、店内でじっくり見てみると普通の雑貨屋さんとはちょっと様子が違う。無数にある"カラーボックス(=箱)"に様子の異なる品物が並んでいるということは......
「そうです。いわゆる『レンタルボックス』でして、箱のオーナー......当店では"箱主さま"と呼んでおりますが、箱ごとにそれぞれオーナーさんがいて、品物を納品し、それを扱っております」
それぞれの箱やショーケースを覗いてみると、皮やシルバーのアクセサリーなどから水晶の鉱石、ポストカードにマスコット、いま小さなブームの「消しゴムハンコ」などなど......箱主さまの数だけ多種多様な素材、そして商品が並んでいる。中には「ここにないものは注文いただければ作ります!」なんてメッセージが添えられていたり......。
「もともとこの場所ではビデオテープのダビングなど、そういったことを請け負う会社をしていたんです。あ、いまもそれはそれでやっているのですがね。それで『月箱』を始めたのが今から6年前になります」(桑田さん)
「私たちは兄妹なんですが(笑)、母親がもともとクリエイター志望でして、この場所でなにかを始めようと考えたときに、『クリエイターが手軽に活動を伝えられないか......』というアイデアが浮かびました。それで箱主さまの方法にしてみたのですね」(人見さん)
開店に先駆けてSNSなどで参加を呼びかけたところ、その反響は上々。店内の箱には開店直後から箱主さまが勢揃いだが、覗きに来れば「箱主さま募集中!」となっている箱もいくつか見つけられそう。置かれている場所(場所や高さなど)によって"家賃"も異なるが、「たとえば......(レジ前の箱を指して)こちらの3段目までは3カ月で3000円。あと販売手数料として代金の20%をいただきます」(人見さん)など良心的プライス。いきなりお店は持てないというアナタ、一度遊びに行ってみてはいかが?
「この場所、鶯谷には祖母が住んでいまして、私たちも遊びに来たりしているうちにいい街だな......と思っていました。"渋谷のレンタルボックス"と聞いて足を運んでくださる方も、『渋谷でこんなところが......』と驚いたり、喜んだりしてくれます。それは桜丘も同じでしょうね(笑)。こんな場所で、しかも兄妹でやっていますから、否応なく家庭的なお店ではありますが、箱主さま希望の方も、またいろいろな感性に触れたい方も、どうぞ足をお運びください。お待ちしております」(人見さん)
家庭的――たしかにお店に入ったときから感じるその雰囲気。眺めているお客さんも、それぞれの箱主さまが醸し出している空気も、そして店長さんたちの存在感も、とても心地よい。大物芸能人が散歩で"ゆうゆう"と寄りたくなるのも、"オシャレな雑貨店"としてドラマのロケに登場するのもわかるというものだ。
『月箱』
鶯谷町1回目、いいお店がそこにはあった。
お店の商品を構成するのは“箱主さま”ということで、ホントに多種多様なアイテムが並んでいます。桑田さんのオススメは「紙袋のような皮の袋」や近年静かなブームの「消しゴムハンコ」。ハンコはいろいろな“箱主さま”が提供されておりますよ。さらには「中に水が入った水晶」などもいかがでしょう。
人見さんは「ちょっとホラーなマスコット」をオススメに選んでくれました。
そして確かな審美眼・当コーナーの尾崎カメラマンは左下の「皮製品のキーホルダー等々」をお気に入りに選んでくれました。みなさんも『月箱』でいろいろな"箱主さま"を探してみてちょうだい!
お店の雰囲気、とても心地よい。地元の空気を知るご兄妹と看板猫があなたを待っています
Tweet エンタメ : サクラ咲くサク桜丘 記:asobist 編集部 2013 / 05 / 23