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アラカン編集長モンブランを行く!
再準備-2:初登山・八ヶ岳/硫黄岳登頂
2009 / 09 / 02
5:05早朝、明るくなるのを待って夏沢鉱泉を出発した。
歩き出すが早いかイヤになった。
「あああ、来るんじゃなかった。何を好き好んで辛い山登りなんて。バッカじゃないの」
歩き始めはいつもそう思う。
呼吸を合わせ、出だしのリズムを崩さないように歩く。
「マイペースで歩いてください」
豆板醤が後ろからぴったりつけてくれる。ありがたい。
足が慣れたころにオーレン小屋到着5:50。ほぼコースタイム。小屋が用意してくれた朝食用の弁当を開く。体が重くなるといけないので半分だけ食べて、早々に出発6:00。
オーレン小屋から赤岩の頭を目指す。標高差およそ500m。
間もなく急登。行けども行けども急登。ストックを左右にさばきながら歩く。2呼吐いて1呼吸ってぐらいの呼吸に合わせてリズムを崩さないように。
もうキツイも辛いもなく、淡々と歩く。そもそも山登りに「きつくない、辛くない」などいうことはないのだ。ただそれを淡々と受け入れて歩けるかということのみだ。
何の問題もなく淡々と歩けていることが嬉しい。
針葉樹林のタニックなエーテルを感じながらえっちらおっちら登ると、やがて急登は落葉樹林の間を縫うように続く。だんだんに空が近づいてくるような気がする。
目の前がふっと開けた。赤岩の頭2656m、到着7:00。
稜線に出たとたんコンディションが急変した。ものすごい風。じっとしていると寒くていられない。少しでも風を凌げればとケルンの陰に入ってみたが何の足しにもならない。
「ピント合ってるか、よくわかんないや~」
体が風に押されてカメラを構える手が定まらない。豆板醤と2人して防寒着を着込んだ。
連なる八ヶ岳の連峰を前に
「赤岳からの大キレット怖かったね~」
「でも面白かった」
など、広々とした稜線に立って、存分に開放感を味わいたいところなんだが、なにせ震えがくるほど寒い。
いや、それもまた「山」なのだ。肌に染み入る寒気こそ「山へまた戻ってきた」ことを強烈に実感させてくれている。なんて激しい愛情表現なんだ!そう思うと胸が熱くなった。
7:15早々に出発。防寒着を着たまま。
さえぎるもののない稜線の上を好き放題冷たい風が巻いて吹く。風に負けじと体を前傾して、せっせと歩くのだが、四方八方から吹き付ける風に、前へ押しやられたり、横なぐりにゆさぶられたり、あおられて「おっとっと」になったり。冷たい風が当って耳がちぎれそうに痛い。
それでも15分ほどで硫黄岳2742m登頂7:30。
ここまでまずまずコースタイム内。
歩調を緩めたつもりもなかったのだが、あまりにもの冷たい強風に、致し方なく時々は立ち止まらざるを得ず、硫黄岳山荘へたどり着くのに30分もかかった。8:00着。
10分休憩程度で横岳へ向かう予定だったが、寒くてやり切れず、思わず山荘の戸をひいて中に入って温かいコーヒーを注文した。ストーブを背にして2人とも座り込んでしまった。
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連載 : アラカン編集長モンブランを行く! 記:小玉 徹子