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アラカン編集長モンブランを行く!
再準備-2・リハビリ登山/乾徳山:山頂へ
2009 / 10 / 26
「渋滞してないといいけどな~」
扇平のしばらく先からはクサリ場の連続らしい。
「攀じってるんだから、どってことないけど、ま、面白いよ」
なんだかワクワク~
2、3小さいクサリ場をやっつけたあたりから、先が渋滞気味なのがわかる。前のパーティーの人らの声がする。
「ムリ~!!!」「ダメ~!!!」
おッ!そんなかッ?!いいね、いいね~
そこそこ倒れていて、スタンスもホールドもつかみ放題、立ち放題。フリークライミングで言えば5.7程度なんだろうが、思いの他、怖いと感じる。怪我をして復帰から2度ゲレンデで練習している。体力低下は痛感したとはいえ、これっぽっちも恐怖感を感じたことはなかったのにだ。
つまりね、やっぱり落ちて怪我をしたのを脳みそは忘れていなかったと改めて知る。確保のロープをつけていないということが脳みそを突くのだ。
クサリにはできるだけ頼らずに手と足で攀じる。特に下のほうではクサリの始点から距離があると、つかまって引けば体が岩から離れることになる。それが怖い。前のパーテーィーの登山者がそうやってクサリだけに頼って、体と岩の角度が開いているのを見ているさえ、お尻がじりじりする。やっぱり、後遺症かな~
5月17日にボルダリングジムの壁から落ちて第2脊椎を骨折して入院した。6月20日に退院してから早いものでもう4ヶ月になる。「雨降りだとじくじくするとかないの?」など友人らは心配してくれるが、申し訳ないほどにどこも何ともない。8月26日の退院後初の登山・硫黄岳:八ヶ岳の時も、膝痛には泣いたが腰がどうのということは、これっぽっちもなかった。
9月5日、6日の幕岩でのクライミング練習の時も体力低下はショックだったが、腰のことなど気にも留めなかった。9月13日の城山、9月27日の城ヶ崎のクライミングでも、これほどに「怖い」と思ったことは一度もなかった。
だが、思わぬ深いところに傷を遺していたと改めて思う。いやもしかしたら、それで当たり前なのかもしれない。ただ能天気の無鉄砲だっただけなんだと認識を新たにした。慎重かつ勇猛果敢。ようやく、真に勇気と力をつかみとる第一歩を踏んだと思いたい。
「あれ登ったら、山頂だよ」
うーん、一般登山道のクサリ場にしては、なかなかなシロモノだ。でも5.7?
ってか、ガイドパーティーがザイルして迂回路を回って登っているので、はけない。壁の前には4パーティーほどが渋滞。
凹凸の少ない壁面。片方はかなり立っていて、とりつく島もない。コーナーにはクラックはない。右壁面もツルンとした壁面だが、そこそこ倒れていてコーナーから30センチぐらいにジグザクにクラックが走っている。クラック幅はクライミングシューズなら余裕で突っ込めるだろうが、登山靴ではしっかりは入らない感じ。
当然、クライミング経験者でない前パーティーの登山者はクサリ頼みになる。見ているさえヒヤヒヤする。大森さんがよく言う「クライミングは安全登山の基本だよ」を痛感する。
クサリは下から引っ張る格好にすると、やはり体と岩が離れるので怖い。細いクラックに登山靴を押し付けて、スタンスの確実を確かめて立ちこみながら、クサリを上から下へ押さえる感じで使うと、体を岩に寄せていく形が作れる。
いやー、ちいとばかし、びびったぜい!
以前にはなかった感覚。確保ロープなしで攀じるのは怖いわ~
山頂着、12:00。
「リハビリ登山-2にしちゃ上出来じゃん!」
タイムロスやら渋滞やら、なんやかやでほぼほぼコースタイムなら上等、上等。
*用語説明
【クラック】crack(英)Kamin・カミン(独)
割れ目。体の入らない狭い岩の裂けめ。拳、肘がはいるくらいのもの。Kamin[暖炉、煙突]。フリークライミングでは、指が入るか入らないくらいのものから体が入るものまですべてをいう。
【コーナー】corner(英)diedre・ディエードル、ジェードル(仏):凹角
岩の角だが、ふつう二つの面が凹角状に面した部分、【インサイドコーナー】をいう。逆に、凸角状になった【アウトサイドコーナー】は、カンテ、エッジという。diedre[二面体]。【スタンス】stance(英)
・岩場や雪上での足の構えかた。足場。本来は両足で立てる足がかりや、両手を放して立てる足場をいうが、片足だけしか立てない狭い足がかりにも使われる。
【ホールド】hold〈英〉
岩登で利用する手掛かり。手でつかんで体を保持できる、岩のデコボコ。
【クライミングシューズ】climbingshoes(英)
岩登りをするための専用靴。登山靴よりも小型で、底はふつうトレッド(でこぼこ)がない。フラットソール。
参考:http://www.sunfield.ne.jp/~tkubota/yougo/
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連載 : アラカン編集長モンブランを行く! 記:小玉 徹子