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アラカン編集長モンブランを行く!
赤岳主稜→南峰リッジ:ギリギリ、セーフ!!!
2011 / 05 / 30
4月23日
赤岳鉱泉への出発時から降り続けた雨は時間経過でどんどんひどくなり、夜にはどしゃ降りになった。どうも赤岳主稜と縁が薄いのかして、今シーズン3度目もどうなるやら、天気予報「明日は晴れ」だけがせめてものよすがなんだが。
心配なのは天気ばかりではなく、恐らく天気は回復するとして、課せられた課題すなわち「スタートから戻りまで6時間以内で行く」を満足できるか胸苦しくもあり、反面わずかな期待もある。
先週末の小川山以来、まあ翌日はメンテ&休養に充てたが、火・水・木の3日間に渡って20kgトレーニングを試してみた。朝、2リットル入りのペットボトル10本を押し込んだザックを背負って近所の神社の石段70段を上がり、だらだら坂を下り、石段下まで回ってまた70段上がるを繰り返すこと10回。家から神社までの往復時間を合わせるとちょうど1時間になる。
初日は1時間を終えて家に戻り、一風呂浴びたら気分が悪くなった。めまいがして、しばらく身体を横たえないと立居振舞いができなかった。2日、3日と続けると、下着もソックスも絞れるほど汗だくにはなるが、気分が悪くなることはなく、むしろ溌剌と仕事に出かけた。
たった3日のザックトレーニングで即の効果を望むべくもないのだが、それでもほんの少しでもいいから変化を感じたかった。
4月24日
夜半過ぎに雨も止み、予定通りの出発。
行者小屋を過ぎ、文三郎尾根を上る。ハアハアに息が切れる。
道筋を左に採り少しトラバースすれば、主稜にとりつけるという段になって
「駄目だ全面ベルグラで。ルート変更だ」
本郷さんの判断で主稜線から南峰リッジへルートを変えることになった。「ベルグラ」とは登山用語で岩肌に薄氷が張った状態を指す。昨夜の夜通しの雨が災いした結果だ。
ルート変更した南峰リッジもむき出しの岩肌にはすべて薄氷が張りついていてテカテカ光っている。
やな感じ~!!!
落ちたくないよ~
何んとかして少し体を上げておいてマントリング(上から押さえつける)かステミング(横に張る)かしないと、まともにつかんで上ろうとすれば滑って落ちることになる。
何より風が強くてメチャメチャ寒い。飯島さんがリードしている間、じっと待っていると手先、足先、目出し帽から出ている目の周りが凍えてちぎれそうに痛い。
雪の時期の八ヶ岳・赤岳登頂。しかもバリエーションルート・南峰リッジを伝って。そんなことが私にできるなんて、わずか1、2年前には夢にも思わなかった。もうそれだけで大満足、大感激。
そればかりか…
「ギリギリだね」
鉱泉の入り口で待ちかえていた本郷さんが時計を見ながら言ってくれる。
たどりついてみれば、出発から6時間を15分ほどショートしてゴールしたと確認できて、内心大喜び。悩みや不安やプレッシャーも雲散霧消する一瞬だ。
よかった~
ザックトレーニング、しんどくても必ず続けよう!
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連載 : アラカン編集長モンブランを行く! 記:小玉 徹子