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編集長!今日はどちらへ?
リューカン・ノルウェーアイス2018-3・day3
2018 / 03 / 16
2018年2月12日
この日から3日間マルチピッチの予定。ともかくも今朝は現地ガイドさんとの打ち合わせからスタート。
「ジョンです!」
「〇〇です」…
現地ガイドさんはジョンというらしい。
ひととおり「ナイスミーチュ」が終わって席に着く。ジョンがテーブルの上に置かれたトポ本を見て
「これは?」
「昨年クライミングで来た時に見つけて買った」と篠原ガイド。
そしたら
「これね、ボクが書いたのよ」
「ええーッ!」
「あ、ほんとだ!ジョンって書いてある!」とかとか…
ひとしきりワイワイガヤガヤ。
もともと篠原ガイドがフリークライミングで訪れたのがきっかけで「アイスもできる」と聞いてリューカンに足を延ばし入手したのがトポ本で、リューカン行きを決めてインフォメーションセンターに現地ガイドのアテンドを依頼したら依頼に応じたのがジョンだったという巡り合わせのご縁。
「昨日はクロカン行ったのね」「どこどこ登ったよ」
「ちゃんと登れたか?」
「そりゃあもう」
とかなんとか話しながらトポ本をひっくり返し、ジョンが「ここがいいと思うよ」のマルチに出かけることになった。
左下に青い文字でJon Haukåssveenと読める「ジョン・ハウケセヴェン」と読むらしい。
勇んで出かけたはいいが…
こちら二人とジョンの車は難なく駐車場を抜けて行ったんだが、後の二人と篠原ガイドの車が!
2日間振り続けた雪溜まりにはまってしまった。吹かせど吹かせどタイヤは空回りするばかり「いやあ、困った!」。
しばらくして「何かあったか?」とジョンが戻ってきた。タイヤの周りの雪を掻いたり、枝を敷いてみたり、ひとしきり悪戦苦闘するも埒があかず、最終的に業者に来てもらった。
JAFならぬNAF (Norway Automobile Federation)が来た。
車に繋いだ太いワイヤーをウィンチで巻き上げて雪にはまった車を荷台に引っ張り上げ、上の除雪した道まで運び出した。やれやれ。
ジョンの話によると今年は5年ぶりの大雪年で、昨年のクリスマスからこっちずっと降ったり降ったり止んだり降ったりなんだとか。メイン通りは絶えず除雪車が入っているが、1本中に入ると、時間帯によってはなかなか行き届かない。
【UPPER GORGEエリア】Vermok
ルート・Bakvein:WI 4
着いた時は先行パーティーが認められた。写真を見ての通り、右上のクライマーは最右のミックスルートを行った。そのすぐ左下の氷柱も登れる。
2ピッチ目はhidden chimnyとトポにはあるが、行ってみればさほどチムニー感はなく登る方向転換といったところ。
さて、2ピッチ目氷部分を登ると雪の溜まった傾斜面になる。傾斜はさほどないんだが、かといって立って歩けるほど寝てもいない。所々、下が凍っていたりする箇所はいいんだが、雪斜面はアックスの効きが悪い。引かずに押しながら上がることになる。つまり四つん這い状態。そこへ先行パーティーが懸垂で降りてくる。容赦なく、遠慮会釈なく溜まった大量の雪をけ散らしながら。
私、埋まる!斜面にへばりついている私が雪堰になる格好だ。
勘弁してくれよ〜
雪斜面を抜け、短い氷を上がれば終了点。そこからほんの少し歩けば博物館:Norwegian Industrial Workers Museumの前に突き上げる。
*Norwegian Industrial Workers Museumは産業世界遺産群のひとつ。かつては水力発電所でもあった。発電所と併設されていたのが重水素工場。窒素肥料生産の副産物として産出される重水素を工業用として生産していた。第2次世界大戦中にはナチスドイツの核兵器開発を阻止するために連合国による重水工場の破壊工作もあった。重水素工場は戦後取り壊され、発電所もかつての活動を伺わせる重機や歴史背景の説明などを展示する博物館として遺されている。詳しくはこちら。
「しょっぱくて食えねー」と聞いていたが、どうしてそんなことはなく程よいお味で結構でざんす! ただね…
そろそろ醤油味とかソース味とかねえ…
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連載 : 編集長!今日はどちらへ? 記:小玉徹子