鉄、この部屋

【No Train,No Life】別れなければまた出逢えないじゃないかin長野電鉄

2012 / 07 / 27

「習慣的に乗っている鉄道路線」、というものがある。
たとえばJR京浜東北線と京浜急行(本線)、東急東横線は日常使いであり、それに付随して仕事などでJR東海道線や山手線、中央線。東京メトロや都営交通の各線にも縁がある――首都圏在住者としてざっとこんな考えに至ったのだが、たとえば近畿圏ならJR環状線と南海、近鉄であるとか、広島だから広島電鉄だ、福岡なのでJR筑豊ゆたか線と西鉄、私は群馬でわたらせ渓谷鉄道……など、それこそ個人個人、人それぞれにあるはずだ。

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三原から広島までは山側に山陽本線が通っているが、
三原から呉を経由し広島に達する海沿いのルートが呉線
そんな習慣を離れて、いつもは乗らない路線に乗る。それはそれは心躍るものではないだろうか(少なくとも私は)。どんな風景を通るのか、どんな駅に停まるのか、そしてどんな車両なのか……仮に鉄道好きではなかったとしても、それは旅(仕事であっても)という非日常が生むワクワク感、そのひとつにはなっていると思う。以前、広島県の三原からJR呉線に初めて乗り、早朝の瀬戸内海が見えたときの美しさ、そして乗車後に路線図を見て「『桃太郎電鉄』の広島周辺のループは呉線だったのか」と気が付いたとき。このふたつは今でも忘れることのない感動体験だった。後者はちょっとなんですがね(笑)。

さて先日、またそんな感動体験になればと思いつつ長野県に赴いた。いや、実のところ私の実体験としてはその日からちょうど1年遡るのだが、同行者によって新たな情報がもたらされたので今回書いてみようと思った次第である。
場所は長野県長野市、現場は同地を走る「長野電鉄」。
大正時代創業の長野電鉄は、長野から須坂、信州中野などを通って温泉地・湯田中までを繋いでいる(長野線)。以前は須坂から屋代までの屋代線(今年4月に廃線)、信州中野から木島までの河東線(木島線、02年4月廃線)など分岐線もあったが、現在は長野線の一路線で営業しており、路線は減ったものの、北信地方の玄関口として湯田中、渋などの温泉地や志賀高原への観光の足、また長野への通勤通学路線としても欠かせない輸送手段となっている。

その長野電鉄で、長野から小布施という街まで行くことになった。
地下にあるコンコースできっぷを買い、改札を通ってさらに地下のホームに降りようとすると、電車の到着まではホームには入れないという。ほおそれは珍しいと最初の発見を喜びつつも、それだとまだ30分近くある。いったん地上に戻って長野駅周辺を散策後、戻ってみると改札口が開いていた。さあ、まずはどんな車両が待ち受けているのかとホームに向かうと……。

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渋谷でも横浜でも自由が丘でもなく、
長野で再会した"東急線"
右の写真参照。これ、どう見ても東急ですよね(笑)。
車内の広告などはもちろん長野仕様であり(当たり前)、つり革のタグも東急電鉄ではなく長野電鉄になってはいる。しかし、外観だけでなく内装や座席の色なども、日ごろ見慣れた東急の車両で間違いない。
なるほど、これが廃車両の譲渡転用……つまりある事業者が廃車にした車両を他の事業者に譲渡し、再利用するというもので、日本の車両は国内だけでなく世界各地でこのように再利用されている。この車両も東急から長野電鉄に譲渡された物、というわけ。
おお、ここまで来てもまだまだ現役で頑張っているのか……という感慨よりも、なぜ長野くんだり(失礼)まで来て東急に乗らにゃならんのだという無念さ、いや憤りのほうが勝ったことは認めます(笑)。

そして小布施で用を済ませ、長野に戻るべく再び電車を持っていると、今度やって来たのも見覚えのある、東急から日比谷線を抜けて東武まで直通する車両(正確には日比谷線用に製造された営団3000系という車両)。おいさっきからここは自由が丘かどっかか、と思わずツッコミを入れてしまった次第だ。

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かつての小田急ロマンスカーは「特急ゆけむり」に。
展望席もそのままです
もちろんのこと、車窓からの風景やそれぞれの駅舎は長野電鉄でしか味わえないもの。見覚えのある車両に乗ってというのもひとつの旅の思い出……などとまとめるとともに、今年の長野電鉄で同行者が見てしまったものを。
今年、私は長野電鉄に乗車しなかったのだが、その同行者も最初に駅のホームで見た東急の車両に困惑しながら小布施との往復をし、そしてその行き帰りの最中に停車駅の対向ホームで見たというのである。

小田急ロマンスカーと成田エクスプレスを(笑)。

ホントかよと思い調べてみると、たしかにあった。かつてのロマンスカーは「特急ゆけむり」、そして成田エクスプレスは「特急スノーモンキー」として、長野線を毎日疾走している。ロマンスカーの展望席や、成田エクスプレスの個室グリーン席(「Spa猿〜ん」)なども当時のままで、乗車券と特急券(大人100円)だけで利用できる(「Spa猿〜ん」は最大4名使用で1室1000円)。また来年も小布施には行く予定なので、そのときには予定を合わせて乗ってみたいものである。











連載 鉄、この部屋   記:

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