鉄、この部屋
【No Train,No Life】愛しの京浜急行・その1
――到着メロディ、そしてvs『横須賀ストーリー』
2012 / 09 / 28
去る24日深夜、京浜急行(京急)の京急田浦駅付近で起こった線路内への土砂流入、それに伴う脱線事故の影響により、運転を見合わせていた金沢八景―逸見が27日の午前中に復旧、約55時間ぶりに全線運行が回復した。まずは事故で負傷したみなさん、そして不便を被ったみなさん、お見舞い申し上げます。
今日も100キロ以上で駆け抜ける“赤い電車”京浜急行京急と言えば、東京と神奈川・三浦半島を繋ぐ街中を、一部区間では時速100キロ超で駆け抜けていく超高速輸送がひとつの名物。また、人身事故や他社線の振替輸送を請け負ってのホーム内混雑の影響など、不可避な出来事での運転見合わせや遅延を除けば、ほとんど運休しないことでも名高い(“春闘”などによるストライキも京急は無縁と言われている)。台風の接近時などに他社線が運転の見合わせを始めるなかバンバン出発させ、ある車内では「どこまで行けるかわかりませんが、行けるところまではみなさんを責任持ってお送りすることが私たちの仕事です」というアナウンスがなされ、拍手と歓声が沸き起こったという伝説もある。
言わずもがな、運転見合わせにしないのは京急の安全基準に則ってのものであり、それでいてもちろん事故には繋がらない。今回のような豪雨による天災が原因(今後の調査で別の要因が出ることはあるかもしれないが)という不幸事に対して、“京急頑張れ”と言う声が多数寄せられているのは(Twitterにはそんなハッシュタグもできていた)、これまでの姿勢が評価された「京急愛」の賜物であろう。
そう、「京急愛」。
数年を除けば生まれてこの方ほとんど最寄り駅が京急である私もそれに魅せられているひとりである。京急の魅力を1回で伝えるなんてことは不可能なので、不定期ながら少しずつ触れていこうと思う。
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たとえばJRの恵比寿で電車に乗り込むと、発車の際に電子案内音で『第三の男』が流れる。これは『エビスビール』のCMに使われている曲で、エビスビール発祥の地であり、現在も発売元のサッポロビールが恵比寿に本社を構えている縁から、他の駅とは違うメロディが使用されている。そんなJRの駅は他にも蒲田が『蒲田行進曲』、大井町がビバルディの『四季』から『春』、高田馬場が『鉄腕アトム』……などなど多数ある。
京急の場合も同じように、独自の案内メロディが設定されている駅がある。ただしこちらは発車の際ではなく、駅で電車を持っていると到着を教えてくれる「到着メロディ」で、特急や快速特急が停まる主要駅に08年11月より設定されている。
そしてこのメロディの設定にあたっては、「京急駅メロディ大募集」と銘打って、16駅を対象に公募で決めたのである。
対象となった16駅は以下の通り。
品川、青物横丁、立会川、平和島、京急蒲田、羽田空港、京急川崎、横浜、上大岡、金沢文庫、金沢八景、新逗子、横須賀中央、堀ノ内、浦賀、京急久里浜、三崎口
横須賀中央駅の到着メロディはやっぱりあの曲……?当時この告知を駅で見て、これは参加しなければと思った私だったが、ご当地ソングから選ぶとなるとなかなか思いつかない。青物横丁……? 全駅応募する必要もなかったので、ひとまず思いついたところを応募した。ボートレースの仕事をしていたから平和島は『SGレースのファンファーレ』、羽田空港は『フラッシュダンス』(『スチュワーデス物語』で)などと出したのだが、そのなかでふと対抗心(?)が出てきたのが横須賀中央だった。
横須賀中央は『横須賀ストーリー』で鉄板なのか?
♪ここは横須賀♪と歌った山口百恵も横須賀出身、確実に選ばれるであろう『横須賀ストーリー』を脅かす曲はないもんかと、いろいろと考えてみた。横須賀ということで真っ先に♪愛が消えてく横須賀で♪というフレーズが頭に思い浮かんだのだが、『そんなヒロシに騙されて』愛が消えていくという曲が採用されるとも思えず却下(同じ理由で品川『別れても好きな人』も取り下げた)。次にこちらも横須賀出身の渡辺真知子から『かもめが翔んだ日』も考えたが、どうも山口百恵と同じ土俵では分が悪い(失礼)気がして断念。ならばいっそのこと逆の角度から……ということで、悩んだ挙げ句にある曲で投票した。
そして決定したのが以下の通り。
品川…………赤い電車(くるり)
青物横丁……人生いろいろ(島倉千代子)
立会川………草競馬(フォスター作曲)
平和島………いい湯だな(デューク・エイセス)
京急蒲田……夢で逢えたら(ラッツ&スター)
羽田空港……赤い電車(くるり)
京急川崎……上を向いて歩こう(坂本九)
横浜…………ブルーライトヨコハマ(いしだあゆみ)
上大岡………夏色(ゆず)
金沢文庫……MY HOME TOWN(小田和正)
金沢八景……道(EXILE)
新逗子………LIFE(キマグレン)
横須賀中央…横須賀ストーリー(山口百恵)
堀ノ内………かもめが翔んだ日(渡辺真知子)
浦賀…………ゴジラのテーマ(伊福部昭作曲)
京急久里浜…秋桜(山口百恵/さだまさし)
三崎口………岬めぐり(山本コウタローとウィークエンド)
駅前に実家がある小田和正の曲を採用した金沢文庫駅やはり『横須賀ストーリー』の牙城、崩れず(笑)。その駅周辺の出身や縁があるという歌手の曲が多く採用されており、その中には堀ノ内の出身として渡辺真知子も(なんかホッとした)。平和島の『いい湯だな』は、ボートレース場の隣にある天然温泉「平和島クアハウス」からで、浦賀の『ゴジラのテーマ』は「日本で最初にゴジラが上陸した土地(!)」ということである。各駅の詳しい理由はこちらのサイトをご覧ください。
いまでも年に二度ほど、横須賀中央の駅で待っていると『横須賀ストーリー』が我が物顔(失礼)で流れ出す。それを聞くだに、京急はまたこんな企画をやってくれないかな、何があるかな、などと考えてしまう私がいる。
……え、横須賀中央には結局なんて曲を入札したのかって? これです。
横須賀中央から徒歩5分のところに、日露戦争で出征した戦艦『三笠』が展示されている三笠公園があるのですね。それで『軍艦マーチ』、はい(笑)。
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