鉄、この部屋

【鉄道ウンチク】駅名が変わる、というはなし――来たじゃなくて北......?

2013 / 06 / 14

今回は鉄道ウンチクで、「駅名」にまつわるおはなし。

東京、新大阪、梅田、博多、高松、名古屋、札幌、横浜、仙台、新潟……改めて言うまでもない話だが、駅にはそれぞれに名前が付いている。
いま10駅を思いつくままに書いてみたが、これらはどれも地名が元になって駅名となっている。正確に数を数えたわけではもちろんないが、日本にしろ世界にしろ、地名由来の駅名が断然主流、おそらく99%はそうなのではないだろうか。
そして残りの微々たるものがその地域に存在する施設から取ったもの、だと思われる。
たとえば「尼崎センタープール前」。こちらは駅前にある『ボートレース尼崎』から取った阪神電鉄の駅であり、東京メトロには『三越デパート』前だからそのものズバリ「三越前」という駅がある。JR東日本が運営するスキー場と直結、「GALA湯沢」もそんな案配だ。ほかにも「穴守稲荷」(京浜急行)や「偕楽園」(JR東日本、臨時駅)、「成田空港」(JR東日本、京成電鉄)なんてのもあるわけだから、微々たるものと書いてしまったものの、そんな駅名も無数にある。

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尼崎のボートレース場が目の前の「尼崎センタープール前」
さてそんな駅名が、一度は命名されたものから変更される場合、というのがたまにある。それが今日の本題だ。
駅名が変わるというのは、命名した由来が変わったことで起こりうる。たとえば地名由来で付けていたものの、そこに名だたる観光地が出来てしまった場合である。
たとえば東武鉄道の駅であった「業平橋」。こちらは平安時代の歌人、在原業平(ありわらのなりひら)の亡くなった地(諸説あり)にほど近いということで命名された橋、「業平橋」を由来としていた駅名だったが、2012年5月22日に彼の地に開業した一大観光スポットに由来する名前に開業2カ月前に変更されている。
それが「東京スカイツリー駅」。ただ、もともとが在原業平を由来とする由緒ある駅名として、「東京スカイツリー駅(旧業平橋)」とカッコ書きながら以前の駅名も残っている。

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東京スカイツリー開業で「業平橋」は「東京スカイツリー前」に
逆もある。もともと施設由来だったのが無くなってしまった場合だ。
映画『RAILWAYS』で一躍有名になった島根県を走る一畑電車。こちらの「古江」という駅の近所に『ルイス・C.ティファニー庭園美術館』がオープンしたのが2001年。そしてこれを機に駅名も「ルイス・C.ティファニー庭園美術館前」に変更、これによって日本一長い駅名と当時は騒がれたものである。
ところが。ティファニー創始者の息子ルイスの作品を展示していたこの美術館は2007年にて閉館。併設されていた『松江イングリッシュガーデン』は存続したことから、今度は「松江イングリッシュガーデン前」と改称して今に至っている。
あったものが無くなってしまったのだから駅名にしておくのはどうも……という至極当然のことではあるが、おもしろい例では東急電鉄の「学芸大学」と「都立大学」の両駅からは遠い昔に『学芸大学』も『都立大学』も移転してしまっている。それでも改称しないのは駅名としての認知度の高さがあるからだろう。施設由来が形を変えて地名由来になってしまった例である。

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「古江」→「ルイス・C.ティファニー庭園美術館前」→「松江イングリッシュガーデン前」
最後に、地名だろうが施設だろうがまったく関係ない駅名の変更を例をお伝えしよう。
横浜市営地下鉄にある「新横浜」。こちらは乗り替えれば東海道新幹線も通っており、横浜アリーナや日産スタジアムなどのイベント会場やオフィスも数多く、横浜市営地下鉄でもターミナル駅のひとつである。
その新横浜の隣りに「新横浜北」という駅が出来たのが1993年。それが6年後の1999年に「北新横浜」に改称されている。北がアタマに付くようになったわけだが、その改称の狙いはなんだったのか。

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「新横浜北」が「北新横浜」に変わった理由は……?
実は駅到着の車内アナウンスの際、先に“新横浜”と聞こえてしまうところから、新横浜と間違えて降りてしまうお客さんが出てきてしまったのである。「シンヨコハマキタ」が“新横浜の北”ではなく、“新横浜に来た”になってしまったわけだ。
この事象が最初に発生して以後、ホームには「新横浜じゃありません」という旨の貼り紙や、車内アナウンスでもそれを伝えていたのだが、それでもうっかり下車してしまうお客さんがいたための「北新横浜」への変更、なのであった。











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