鉄、この部屋
【鉄道ウンチク】新富士駅はどこにあるでしょう。答えは......?
2013 / 08 / 30
前回、田町における「町田」との勘違いについて書いてみた。一方の当事者としてもジョークのような話に思えるのだが、本当に、しかも2回も起きてしまうのだからおもしろいものである。ちなみに話の流れから書かなかったが、もうひとつ仰け反ってしまった勘違いがあった。
「浅草方面はどちらですかね」と聞かれて、田町駅の地下にあたる都営地下鉄浅草線の三田駅に案内したら、いえここが最寄り駅なんですよと出てきた地図の中心にあったのが東京メトロ銀座線の「田原町」。あ……そちらは「たまち」ではなく「たわらまち」です……字面も発音も似てなくはないですね、はい(笑)。
こちら東京メトロ銀座線の田原町。
田原町……たわらまち……たまち……田町……?と、実のところこのように似ている名前の駅、いや、似ているどころか同名の駅というのは、日本中に1万前後の駅が存在していることを考えれば当然のように無数にある。
たとえば「福島」駅。福島といえば県名であり、福島県の県庁所在地の名前でもあるが、その福島県にあるJR東日本などの駅だけでなく、大阪府にもJR西日本大阪環状線と阪神電鉄に福島駅がある。
この福島や「高松」(もちろん香川県と、東京の多摩都市モノレールにある)など“ありそうな地名”だけではない。「新富士」と言えば多くの人は東海道新幹線の駅を思い浮かべるだろうが、JR北海道の根室本線にも同名の駅があったりする。
また、先ほども出た東京の「三田」、こちらは神戸にも「三田」がある。読み方こそ東京が「みた」で神戸は「さんだ」なのだが、漢字表記ではまったく同じ。インターネットの“乗り替え案内”などに「三田」と打ち込み、注釈を読まないまま選択したら、東京都内での移動のはずが“新幹線に乗って新神戸へ”と案内されて面食らった、こんな経験をした人もいるはずだ(「田原町」も東京だけでなく福井にもある)。
こちら新富士駅。
静岡じゃありません、なんたって隣の駅は釧路ですから。さてこうなると、「日本でいちばん多い駅名」はなんなのかが気になってくる。ほぼ同じ場所に違う事業者が乗り入れているという場合も1駅(例・東京駅にはJR東日本、JR東海、東京メトロが乗り入れているが、独立した3駅ではなく1駅とする)として、全国を見てみると……。
日本全国でもっとも多い同名の駅は、
「市役所前」
であった。その数、全国に9駅(2013年8月28日現在)。
市役所の前ですよ、というネーミングからもわかるとおり、こちらは市民の脚として活躍している全国各地の私鉄の駅名として多用されている。
採用されているのは北から、
・北海道函館市(函館市電)
・千葉県千葉市(千葉都市モノレール)
・福井県福井市(福井鉄道)
・長野県長野市(長野電鉄)
・愛知県豊橋市(豊橋鉄道)
・和歌山県御坊市(紀州鉄道)
・広島県広島市(広島電鉄)
・愛媛県松山市(伊予鉄道)
・鹿児島県鹿児島市(鹿児島市電)
以上。また、「京都市役所前」(京都府京都市、京都市営地下鉄)のように地名が付いている駅(こちらも9駅)や、「市役所」(愛知県名古屋市、名古屋市営地下鉄)などそのまんまのネーミングの駅もある。
全国で9駅ある「市役所前」のひとつ、鹿児島市電の駅。
線路の部分に芝生があるのが鹿児島市電の特徴そうか、市役所が多いのか……そこから思い付きで調べてみた「県庁前」も、沖縄県(沖縄都市モノレール)などに7駅、ほぼ同義語(?)である「都庁前」も都営地下鉄に存在している。
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