鉄、この部屋
【No Train,No Life】来る列車、(たぶん)去る列車――E7系と北斗星
2013 / 11 / 29
先日のこと、2015年の春に開業予定の北陸新幹線にて使用される新型車両「E7系」が一般公開された。
メインカラーにはブルーと銅色が使われており、内装は格子模様の座席や伝統工芸品の街・金沢らしい装飾があしらわれている。グリーン車よりもハイクラスの座席として東北新幹線「はやぶさ」に使われている"グランクラス"も採用されており、なかなかハイソな新車両である。なお、2015年を待たずに2014年の春から長野新幹線で先行使用されるそうなので、長野に用事がある方は一足お先にどうぞ。早く乗ってみたいなあ。
報道陣へ公開された北陸新幹線のE7。
まず来春に長野新幹線で運転を開始と、このように来る列車もあれば去る列車もある。まだJR各社から正式な発表こそないが、青い機関車で牽引することから"ブルートレイン"という愛称でおなじみの寝台特急が近年中に全廃される見通し、なのだ。上野と青森を結ぶ「あけぼの」が来春のダイヤ改正時に、そしてあの「北斗星」も2016年春の北海道新幹線開業に併せて廃止と報道されている(「カシオペア」と「トワイライトエクスプレス」も廃止を前提とした検討対象とのこと)。
北斗星。
1988年3月15日、本州と北海道を繋ぐ青函トンネルが開業。それまで陸路での北海道(本州)上陸には、青森からの青函連絡船を経て、函館から再び走り出すというルートだったのが、約54kmの青函トンネル開業により、鉄道では乗り替えなしで北海道と本州が直通できることとなった。そこで同時に開業を果たしたのが、それまでの寝台列車にはない豪華な個室客室や個室内シャワールーム、テレビモニターもあるロビーカー、ディナー後はパブとして利用ができる食堂車など、"日本初の豪華寝台特急"とされた北斗星である。後年、より宿泊機能などを高めた同路線のカシオペアがデビュー後も、上り下りとも週3回の臨時列車であるカシオペアに対し、毎日運行という利便性もあってか根強い人気を誇っている北斗星。高速輸送の時代に合わなくなってきたことや車体の老朽化などが廃止の理由のようだが、「きっぷ売り切れ=採算は取れている」ということだろうから、文化としてでも残してほしいものだが……さて。
私は高校時代に幸運にも乗車経験があるのだが、そのときはまったく"鉄"ではなかったので、「なんでわざわざ16時間も掛けて......」と罰当たりな不満を漏らしていたものである。そんななので、廃止なんて話が出てしまったからには乗っておいてよかったのか悪かったのか、イマイチよくわからないところだ。
廃止が報道されている北斗星。
残しておくのも文化だと思うのだが……上野と札幌から17の駅に停車する16時間強の長旅だが、それこそが寝台列車の旅の醍醐味。いまもって1カ月前の寝台券、特急券の売り出しと同時に申込が殺到する列車ではあるが、これがJRからの廃止決定のアナウンス、そして迫り来る最終営業となればさらなるプラチナチケット化は必至。料金は特急料金と運賃の合計2万870円(大人、通常期)に、至れり尽くせりサービス付きのA寝台「ロイヤル」なら寝台料金1万7180円追加......はお高くても、B寝台なら6300円追加で乗ることができる。ぜひとも一度は北斗星の旅を味わって、いや、私がまた味わいたい次第である。
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