BacchusうなぎのBar-Hopping
本日の1杯 vol.13【庭で取れたゆずを極上のカクテルに仕上げる】
2009 / 11 / 20
あそびすと編集長の小玉さんの家で、ゆずがたくさん取れたという連絡があった。私がもらってももてあましそうなので、一緒になじみのショットバー〜vol3でも登場した「Libero」〜に持って行くことにした。
まずバーへのお土産、差し入れに関して。何回も通って仲良くなり、チャンスがあれば渡したくなるのが人情。実際、バーテンダーに聞いても、お土産や差し入れをいただくことは多いという。結論から言えば、持って行って構わない。ただし……
どこかに旅行して名産を食べてほしいからお土産を買った。いつもお疲れ様、今日もありがとう、という意味で差し入れを渡す。渡して、はいおしまい、が正しい。間違っても、その日の料金を割引してもらえるなんて期待しないように。また、後日、他のお客さんに振る舞っている、もしくは料理として提供していても見ぬふりをすること。これができないなら、渡さないほうがましだ。
ちなみに、バーに持って行くからといって、上等な酒でなければいけないということもない。バーテンダーの好みもあるだろうが、その店にないカテゴリーのお酒もあり。
ただ、海外旅行で聞いたこともない酒を買ってくるのは、賭けだ。バーテンダーも勉強のために1杯は喜んで飲むが、美味しいかどうかがわからない。私も中国やギリシア、アルゼンチンをはじめ、世界各国で飲まれているローカルな酒をたくさんもらったが、全部飲みきったのは少ない。ある程度名の通った銘柄で、そのグレード違いだと失敗しにくいのでオススメだ。バーのシステムにもよるが、営業中に従業員が酒を飲まないようなところなら、缶ビールの差し入れがうれしいという人もいる。まかないが出ないところで、とんかつ屋のサンドイッチに歓喜してもらった。個人で営業しており、毎回突き出しが変わるバーに京都で老舗の漬け物を贈ったら、その週の突き出しに使われたこともある。
さて、大量のゆずを胸まで抱えて「Libero」へ。まずはゆずを贈呈、お礼を言われて1杯目を飲んだ後、どきどきしながら言ってみる。
えー、そのゆずを使って、これひとつ、何か作っていただけたり、したりしないもんでしょうか?
カクテルなら、売り上げになるし、と自分に言い訳。もちろん、他にお客さんがいないのは確認済みだ。バーテンダーのNOBUさんは、かしこまりましたと笑顔で即答。ほっと安心し、楽しみになった。
まずは、ゆずをカットして、絞る。そんなに大きくないので、複数絞ることになるが、大量に持ってきているので問題なし。1杯目に出てきたのは、ロックグラスにウォッカ45mlとゆずを満たして「ゆずブルドッグ」と、ウォッカ20ml、コアントロ20ml、ゆず20mlをシェイクして「ゆずバララライカ」。さっぱりしているが、上物の絞りたてなので、非常に美味しい。のども渇いていたところで、ごくごくといただく。これは、普通の店で飲めるカクテルではない。すばらしい体験だ。
いつもの通り、葉巻に火を付けたが、あまりゆずカクテルと合わない。あとでブランデーやウィスキーになるまで取っておくことにした。ところが、2杯目以降も「ゆずギムレット」や「ゆずスクリュー」「ゆずリッキー」とたたみかけるようにゆず三昧。クラシックカクテルのバランスはやはり最高だ。とはいえ、単にライムやレモンと置き換えるだけでは、酸味のきつさや甘みのなさで美味しくなくなる。そこを調整してくれているようで、さすがはベテランのバーテンダーだ。
さっぱりしているので気がつかなかったが、秋の夜は長い。杯を重ねるうちに良い感じに酔ってきた。さて、次のゆずカクテルは……
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