BacchusうなぎのBar-Hopping
本日の1杯 vol.20
【蒸し暑い日はさわやかなサイダーを楽しむ】:トリプルクラウン
2011 / 08 / 03
7月下旬で天気はよくないとはいえ、非常に蒸し暑い。そんな時は、さわやかなお酒が飲みたくなる。自ずと「トリプルクラウン」に足が向く。中目黒駅から池尻大橋に向けて5〜600メートルのところにある、知る人ぞ知るモルト&ビアバーで、地元の人たちがこぞって通う穴場だ。
1杯目の注文はサイダー。無色透明の炭酸飲料のことでは、もちろんない。リンゴを発酵させた発泡性のアルコール飲料だ。英国表記はciderだが、フランス語ではcidre(シードル)と表記する。リンゴの酸味とほのかな甘さが夏にぴったり。アルコール度数は4.5%とビールと同じくらいはあるので、酒飲みでも美味しく飲める。
「トリプルクラウン」は2003年12月にオープンした。オーナーバーテンダーは20年以上のキャリアを持つ坂水誠二郎氏。24歳まで横浜のバーで働いたあと、27歳までイギリスに渡った。ウィスキー好きが高じて渡英したのだが、現地の人が普段使いしている「パブ」の居心地の良さを好きになった。そして、自分が店を出す時には、同じような雰囲気の店を作ろうと思った。ではなぜ中目黒で、しかも少々歩く場所に店を構えたのだろうか。
「横浜はカクテルバーが非常に多く、みんなでお客さんを取り合っている感じなんです。そこで、競合が少ないところを探しました。ギネスの担当者と、ブリティッシュパブがないエリアを探したんです」
その結果、中目黒と田町が候補にあがった。
「自分の好きなことをやるなら、ある程度駅から離れた場所のほうがやりやすく、共感してもらえる方に来ていただけるのではないかと思いました」
坂水氏はビールとウィスキーには徹底してこだわっている。例えば、ギネスは樽を冷蔵庫に入れている。樽の状態で保存する際に、鮮度をできる限り維持するためだ。提供する際は適温にするため、グラスを冷やさずに注いでいる。価格はハーフパイント600円、パイント1000円だ。都内では一般的な価格だが、実はこのトリプルクラウン、ノーチャージ、ノータックスなのだ。
チャージがないので、1〜2杯気軽に飲みに来ることもできる。これは、バーホッパーにとってはありがたいところ。
サイダーとギネスでのどを潤したあとは、やはりウィスキーにいきたい。近頃は円高が続いているので、手ごろな価格で面白い物を飲める。例えば、グレンリベットの40年物が1杯2400円。「今までだったら手が出なかった長熟のものが割と低価格で出せる」のだという。これも酒飲みなら逃したくないチャンスだ。オススメを出してもらったところ、どれも垂涎。
「スプリングバンク スモールカスク 1999年」は、9年物で若く感じるが、小さい樽で寝かせた分、色も濃く熟成香も結構ある。坂水氏曰く「あまじょっぱい感じ」で美味しい。ワンショット30mlで、価格は1400円。古いWHITE & MACKAYの21年物。ソニートレーディングが輸入していたところのものだ。こちらの価格も1400円。
フードメニューも充実しており、お腹が空いていても安心。常連が飽きないように、日替わりメニューを用意しているのもありがたい。特に、その日のスペシャルはスペアリブや牛肉のワイン煮、骨付き豚ロースのコンフィのようなボリュームのあるもの。夕食をトリプルクラウンで取る常連が多いのもうなづける。
シガーをたっぷり置いているのも大きな魅力。キューバものを中心に、3つのヒュミドールに詰まっている。しかも、熟成用のシガーはワインセラーに入れているというこだわりぶり。定価で購入でき、ノーチャージで吸える。
モルト好き、ビール好きなら押さえておきたい「トリプルクラウン」。あまり見かけないウィスキーがまだまだある。今夜も遅くまで飲んでしまいそうだ。
Triple Crown
住所:〒153-0043 東京都目黒区東山1-9-11 アントレ目黒東山 1F
営業時間:18:00〜翌3:00 休日:日曜日とハッピーマンデー
TEL:03-3714-8282
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