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撮影年月日 |
2010/08/26 |
撮影場所 |
スイス・ツェルマット:シュワルツゼーからヘルンリ小屋までの山道 |
学名 |
CRASSULACEAE Sempervivum arachnoideum |
科目・属 |
ベンケイソウ科バンダイソウ属 |
季節 |
夏 |
生育地 |
1000mから2600mの岩場、岩盤 |
分布 |
… |
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無念花…
午前11時ほどだったろうか。ロープウェイを降り立ち、Schwarzsee paradise:シュワルツゼー2583mからマッタホルン登頂への基点「ヘルンリ小屋3260m」へ向けてノンキに歩き始めた。
嫌でもすぐに目に留まる。
一緒のYさんとは「撮るのは帰り道にして、とにかくひとまずはヘルンリ小屋まで行こう」と、話してはいたが、あまりにも風変わりないでたちで、つい撮ってしまう。思わず声が出てしまうようなのに出会うと何もかも忘れて、心が草花に添う。至福。
が…
次の一瞬にはあたかも、全てが蜃気楼であるかのように幸福感が見る影もなくしぼんでしまう。だから、どうしても足取りが重くなる。それもそのはずで、Yさんとワタシが行けるのはヘルンリ小屋までで、そこから先は許されない領域となってしまったのだ。つい1日前。
その先からが本番で、マッターホルンの山頂に立つべく、わざわざ日本からツェルマットへやってきたのに。こともあろうに本番前日の体力・技能テストで落とされたのだ。
今度ばかりはノンキに歩きたくはなかった。草花など目の端にも留まらないぐらい張り切ってアグレシブに登る我が姿を想像すると、今でも当て所のない憤怒と虚無と無念がこみあげてくる。
草花に罪はないのは言わずもがな。
スネガーからツェルマットまでのハイキングコースでも見かけたが、個体数は圧倒的にシュワルツゼーからヘルンリ小屋への道すがらが多かった。
いかにもな和名があるのは、日本ではサボテンの一種として園芸栽培されていたりするからと思われる。
花茎基部の葉が球体状で白い綿毛におおわれているところから「クモノス」の名がついた。別名「マキギヌ」も同じ。
花期は6月から8月
*同定は岡田季代子「高山植物ポケットガイド・スイスアルプス」ROTTEN VERLAG社に準じた。ツェルマットの土産品店書籍コーナーで見つけた。博物館でも入手できる。
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