開会式に見る各国の文化――バルセロナの矢、そしてロンドンの......
英国・ロンドン、スペイン・バルセロナ
以前、この「オリンピック特集」を私が書いたとき、その冒頭に「私はけっこうなオリンピック好きである」と記しているが、同じように「私はけっこうな英国好き」でもある。
親しんでいるゴルフ、競馬、ラグビー(観るだけだが)の発祥の地であり、ロータスやジャガー、ロールス・ロイスなどの高級車(免許はないが)も英国で生まれている。そして我が国の皇室と同様に長い歴史を誇る英国王室、さらには『007』……先日まで連載をしていた『憎いウンチクshow』を読み返してみても、英国自体や英国発祥のネタがしょっちゅう出てきている。世界的に有名な“英国生まれ”なのにあまり興味がないのはサッカーくらいではないだろうか。クリケットとかは置いておくとしても。
ロンドンのオリンピックスタジアム。
開・閉会式と陸上競技が行なわれる
そんな私の(誰のだ)英国にて、1週間後にはもうロンドンオリンピックが開幕する。注目の種目はもちろんあるし、メダル予想もしてはいるのだが、より楽しみなのは「英国である」という演出面である。ロンドン市街を使用し、バッキンガム宮殿の正面広場である「ザ・マル」など名所旧跡を辿るマラソンコースなどはもちろんのこと、たとえば馬術競技の会場は世界遺産の「マリタイム・グリニッジ」内の公園で行なわれたりと、競技会場などからも英国に触れることができる。他にも表彰式でバグパイプ吹いたり近衛兵が出てくるとかそういう演出も期待したいが、今回の英国のみならず開催国の色をもっとも出してくるのは、やはり開会式だろう。
オリンピックの開会式――
「選手がなかなか入場してこない」、「選手入場が始まってもJapanはけっこう後ろのほう」、「日本選手団が登場後も、他の国や地域が山のように残っている」、「いつ聖火がやってくるのか」などなど、いろいろな思いとともに「とりあえず長い」というのが多数のイメージであろう。とりあえずニュースで日本選手団の入場と聖火の点灯だけ観てしまえば堪能した気持ちになれるものなのだが、生中継を根気よく観ているとやはり開催国の文化に触れることができる。
司会役で出てきた人物が実は彼の国の人気俳優であったり(閉会式だが長野での欽ちゃんを想像されよ)、先住民の風習を見ることができたり、朗々とテーマソングを歌い上げて「天才」と持ち上げられた少女が実は口パクだったというまさに○国らしいシーンを見ることができたりと、さまざまな発見がある。その上で選手入場、そして聖火点灯まで続くと、ニュースでピンポイントに観たのをはるかに超えるカタルシスを得ることも可能だ。
私の場合、当時高校1年生、文化に触れるなんて高尚な思いはなかったものの、理解できるわけもないスペイン語を聞きながら夜通し観ていたバルセロナオリンピックの開会式。そのオーラスでウィリアム・テルの国らしく火矢を高々と打ち上げて聖火が点灯した瞬間、得も言われぬ感動を覚えたものである。以前も触れた「山下泰裕vsラシュワン」など印象に残る競技は数あれど、オリンピックの情景としてはあのバルセロナでの聖火点灯が飛び抜けて心に残っている。
史上に残る名場面、バルセロナでの聖火一閃!
さああと1週間。ロンドンオリンピックの開会式はどのように英国らしさを感じさせてくれるであろうか……って、噂によると開会式全体が『007』絡みのストーリーになっており、ダニエル・クレイグ演じるジェームス・ボンドはもちろん、エリザベス女王(まさか本物か)も登場するとかしないとか。これが本当だったら、私はバルセロナ以来の感動をは感じてしまうことだろう。そのときにはもう競技はどうでもいい。あ、いや、それは言い過ぎかっ(笑)。
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特集 : 特集記事 記:松本 伸也(asobist編集部) 2012 / 07 / 20