バレンタインとお返し考――ある冴えない日本人男性編
神奈川県・横浜市
日本の、いやそんな最大公約数のはずはないな。単に筆者のバレンタインデー事情をお送りさせていただく。
極端な話、モテるかモテないかの二元論に落ち着いてしまうのが学生時代の2月14日。謙遜でも自虐でもなく完全な後者であった筆者としてはあまり(いやまったく)心躍らない日であった。「オレは仏教徒だ」、「菓子屋の陰謀」、「甘い物は苦手」などと八つ当たりをするでもなく、淡々とその日の下校時間を待ったものである。それで家に帰ったら帰ったで家族からチョコんと置いてあったりする。虚しい反面で嬉しくもあり「そうか、従姉妹の○○子はもう小学6年生か。こんな手作りしちゃって」などと言っていると、翌年からパタッと届かなかったりする。中学生にもなるとオレにはかまってくれんか……いや、理由はともかくいきなり届かなくなるのは寂しいんだよ、○○子を含む親戚女子の諸君。
今年もありがとうございました。なんかしょっぱいものもありますが
そんな後ろ暗い学生時代から早20年。フリーだったある年など女性と会話をしたのが取材先の保健所の受付嬢だけだった、なんてこともありつつ、今のように所属したり、馴染みの飲み屋に入ったりすると気が向いた女性スタッフからありがたくも贈り物をいただけたりする。今年なんざスポーツクラブの受付でもいただいたくらいである、男性スタッフから。
義理だなんだと言っても詮ない話で、素直に喜びつつ、仏教徒でも甘い物が苦手でもなく、かつ親戚に菓子屋がいる筆者は喜々としてチョコチョコ食べ続けている。今年もみなさんありがとうございました。
今年は毛色の違う物も(笑)。
お餅は形が似ているから「なまこ」。焼いて食べます。
缶詰はこれどちらも絶品
さて、そこで気になるのはお返し、である。
「気持ちでいいです」にホントに気持ちで済ますとか「お返しに食事でもしましょう」などと言うのは、これはきっと“本命筋”の話であろうと思う“義理筋”としては、毎年必ず一品をお返しはする。するのだが、ここ数年バレンタインのお返しだけでなく、誕生日のプレゼントなども筆者は基本的に一緒の物を贈っており、たとえばマシュマロであるとかキャンディーであるとかクッキーであるとかホワイトデーらしいお菓子をお返ししたことがない。買うよりも前にいっそのこと自作するか、と思ったことはあるのだが、そこまでの腕はなく、また日常ならともかくホワイトデーというハレの日にハラの出たおっさんがクッキーを手作りして……という自分を想像して引いた(笑)。
故、疑いもなく今年も同じようにハンカチの類を用意する算段ではあったのだが、まさに2月14日当日に入った飲み屋にてこんな会話が交わされていた。女性主人と女性常連客との会話は「なぜ贈り物って“3”が関わっていることが多いのか。月給の3カ月分とか、3倍返しとか」に「ホワイトデーも3倍とか言うよねえ」と流れていく。
うーん、筆者のお返し品は同額かもしくは欠けるような値段でしかない。いいのかなあ……などと思っていると、会話はさらに展開する。
「こないだ来たお客さんの男の子、『モテたいモテたい』って真面目な顔して言うんだけど、ことごとくなにかが違うのね。極めつけがホワイトデーのお返し、3倍にするってことで、女の子にもらったのの重さ(NET)の3倍のキャンディーを“業○スーパー”で買って、その袋のまま渡したってのを真顔で言ってたの。『もうちょっと頑張ろう』って言っておいたよ」
たしかにそれはないなあ……じゃあお勘定を、そう言った筆者に「はい、じゃあこれ」と主人から手渡された贈り物。
重さは……8グラムかあ。
3倍だと24グラム……
ありがとうございます。カバンにしまう際に私はチョコっと箱書きを見た。
何グラムあるんだろう、と。
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特集 : 特集記事 記:松本 伸也(asobist編集部) 2013 / 02 / 25