【晩秋は駅】お犬さま天国のノルウェー・ベルゲン駅
ノルウェー・ベルゲン
構内は天窓で明るいベルゲン駅ノルウェーの首都オスロからベルゲンへ汽車で移動した時のこと。“国内”と言っても約7時間の汽車の長旅だ。
ベルゲンというと、かの有名なフィヨルドのツアーに参加する人が多い。そこから入り江全長204km、標高1700mを超える山々などを見ながら船で旅をするわけで、厚着をした観光客でベルゲン駅は今日もいっぱいだ。
オーストリアとノルウェーのハーフの友だちがベルゲンで夏休みを過ごしているので、足をのばして再会することにした。彼女はウィーン大学で北欧の研究をしている。毎年長い夏休みは母親の住むベルゲンで過ごすのが約束だ。
ノルウェー国鉄幹線ルートを走る特急列車の発着駅でもある汽車の中には、ノルウェーに養女になって来たというアジア系の女性がいた。オーストリアの汽車と違って、連れていた犬には口輪もしていない。「12歳のおばあちゃん犬なのよ」と笑っていた。とても大人しくて飼い主の足元にうずくまって寝ているか、少しじゃれたかと思うとまた寝ている。そのうちに女性の車掌が来て“切符を拝見”して行ったが、「水飲み用のナップを用意しなくても?」と聞いただけでニコッとして通り過ぎた。
犬の場合、日本ではカートに入れて顔を出さないようにしないといけないし、中型犬や大型犬など乗車しているのを見たことがない。さすがにヨーロッパは犬を飼うという意識からして違うのだなと感心していた。その女性は犬と一緒におばあさんの家に滞在するらしい。長旅もものにせず、とても静かに汽車の旅が終わった。
ここにも愛犬家が1913年創立されたベルゲン駅。駅の建物はノルウェーにある歴史的な建物のひとつで、有名な駅だ。建築家のJens Zetlitz Monrad Kiellandがベルゲン市内で多く見られる石造建築物と同様にデザインした。ガイドブックによるとベルゲン駅は2003年から重要な修復を行なわないよう保護されているとのことで、大都会のガラス張りの立派な、ショッピングモールと間違えるような駅とは違い、ひっそりとでも重厚な感じで存在している。あまり構内にはショップらしいショップもないが、こちらは駅近にホテルを取っているので問題ない。
構内を観察していると、年金暮らしと思しきおじいさんが愛犬と一緒に椅子に座っている。誰かを迎えに来ているらしく、嬉しそうだ。ここでも犬は当然のように待合室にいるし、家族の一員として迎えられている彼らは羨ましい。
03年以降は修復はしないように保護されているワンちゃんに元気をもらって、ホテルを目指して駅を後にした。
これから行くフィヨルドツアーに期待を弾ませながら。
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